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カスタマイズについて

 パドックⅢでは、豊富なレース活動で得た経験を元に、その知識と技術を傾注して、お客様のご要望に最適なカスタマイズとなるように取り組んでいます。
 また、走行性能に限らず、安全性能や環境性能・保安基準などを含めた取組みで、安心してお乗りいただけるバイク作りを目指しています。

パドックⅢ カスタマイズ計画 ブログ

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続・続エンジンシュラウド(SR)

2022-09-29
 猛暑対策として製作した空冷SRのための「エンジンシュラウド」ですが、月に入ってもまだまだ暑い日も多くエンジン冷却の必要性は高く、早く効果のあるものにしたいところです。

 とはいえ改修を施して以降、数回はワインディング路へ出かけたのですが、結局は月上旬と同じような気象条件とはなりませんでした。※一度は良い(?)条件(気温30℃以上)だったのですが、珍しく交通量が多く走り込むことは出来ませんでした。それでも、気温2627℃位で走らせられたので、同じくらいの気温だった月の時のデータを比較してみることが出来ました。

 月の時(気温2527℃で2回)のデータは、シリンダー温度=8586℃/油温=8990℃でした。そして、改修したシュラウドでの結果は、シリンダー温度=83℃/油温=89℃となったのでした。改修前には、ワインディング路では冷却効果を得られなかったものの、改修を施したものは3℃とわずかながら温度を「下げる」ことが出来たようです。一般道でも50km/hを超えれば温度上昇を抑えるようになっていましたので、冷却性能を高めたのは確かなようでした。

 これ以上を望めば、さらに導入部分を前方に伸ばせば効果を上げられるとは思いますが、それでは「空気抵抗」が膨大になると思われます。そこで最終的な形として、前後寸法はそのままで、「上下」方向に広げて形を整えたものに作り直すことにしました。左右それぞれの溶接部から切断して、新たに切り出した導入部分を溶接し直して仕上げました。上下方向に「台形」状にして、導風効果にいくらかでもプラスαがあるかもしれません。アルミ7N01材は溶接部の強度がほとんど落ちないので、作り直しをしやすいのもメリットです。

 再改修を施したものの、さすがにもうそんなに暑くなることも無いかと考えていましたが、台風接近の影響でかなり気温が上がった日に走らせることが出来ました。現地では、気温30℃にわずかに至りませんでしたが、2829℃でかなりの蒸し暑さでした。
 この環境下で、シリンダー温度=85/油温=89℃に抑えて、約30分程度を走りきることが出来ました。途中、前走者(4輪車)におとなしく従って低速(40km/h以下)走行すると、たちまちに温度が上昇してしまいますが、ペースを戻すとどんどん温度を下げることが出来ていました。狙った通りとは言えませんが、ある程度効果のあるものになったと思います。

 気温の低下も手伝って、シリンダー温度85℃前後で走ることが出来ましたが、やはりエンジンに「元気」があります。熱ダレによるパワーダウンやレスポンスが鈍くなることも無く、最後まで「気持ちよく」走ることが出来ます。人間の方が、暑さに負けてしまうくらいです。今シーズン中には、もう30℃(現地の)を超えることは無いと思いますが、このシュラウドなら最暑期でも、シリンダー温度を90未満には抑えることが出来そうです。来シーズンには、もう少し工夫を加えてみようと考えています。

※1:ちなみに、再改修してからの復路(多くは下り)では、シリンダー温度・油温とも70前後まで下げられてしまっていて、すでにオーバークールに近い状態でした。とりあえず「ワインディング路専用」と言える結果となりました。

※2:本来ならシュラウドの必要のない季節になってきますが、ワインディング路でエンジン温度70℃台(80℃未満)で走らせるとどんなパフォーマンスになるのか?確かめておきたいので、もう少し装着したまま走らせるつもりです。

 

続・エンジンシュラウド・SR

2022-09-10
 お盆休み前になんとか「エンジンシュラウド」のテストが出来たのですが、早速「」を加えることになりました。

 そのテストですが、先にエンジンシュラウド無し防風シュラウドは装着)でのテストした結果は、シリンダー温度=93℃/油温=101℃(晴れ・現地の気温3032℃位・ワインディング路30分程度走行後)でした。昨年の最暑期に、油温100101℃でしたので、ほぼ同じ程度の油温だったことから、「防風シュラウド」の効果が確認できました。
 油温の「暖まりを速める」効果とともに、ある程度上昇してから(65℃前後)はシリンダーへの冷却効果で、油温の上昇も「抑える」効果が発揮されるようになるようです。ただ、かねてからの推測通り、シリンダー温度は90を超えていました。

 次の「エンジンシュラウド」のテストもあまり日を開けることなく、ほぼ同じ気象条件で行うことが出来ました。市内では猛暑日になりそうな天候で、暖気運転を終えて走り出す時点で、シリンダー温度は70℃(油温40℃)になっていました。
 走り始めた市内走行(60km/h以下で約3km)では前回テストと「変化」は見られずにシリンダー温度はどんどん上昇して、83℃まで上がっていましたが、そこから自動車道に乗って速度を上げていく(80km/h位)と、シリンダー温度が下がり出し、約2km76℃-7℃まで落ちました。エンジンシュラウド無し(防風シュラウド装着)でもこの区間で3℃位は下げていましたが、それよりも温度を下げていて、とりあえず冷却効果が上がっていることが確認出来ました。
 目標であるワインディング路での効果にも期待が高まりましたが、実際のワインディング路走行の結果、シリンダー温度=94℃/油温=101℃となり、エンジンシュラウド無しとほぼ同様の温度まで上がってしまいました。
 この結果から、高速度域(60km/h以上)では冷却効果が上がるものの、低速コーナー主体のワインディング路では十分な効果を得られない(足らない)ようでした。

 そこで次のを加えることにしました。手を加えた点は、主に、より多くの走行風を取り込むように、先端の導入部分を延長してみることにしました。加えて、左側のシリンダーに沿う面が短めだと思われたので、前後に延長させて作り直すにことにしました。手持ちの材料(アルミ7N012mm厚板材)が乏しかったため、今回は必要最小限の材料で行いました。

 右側は、現状の先端に約40mm分(上下は同寸)付け足しました。左側は、シリンダーに沿う面を新たに製作した上で、導入部分も延長した物を製作する予定でしたが、材料が足らなかったため、導入部分には元のシュラウドを使える部分をカットして再利用することにしました。※先端付近に穴が個あいていますが、グロメット挿入用の穴が残っているためで、空力的な意味はありません。

 実に間に合わせのようになりましたが、実際に暑い時期のテストに間に合えば良いのですが。※改修自体は8月下旬には終わっていますが、前テストと同じような気象条件にはなかなか恵まれずにいます。

ブレンボRCSラジアルマスター&ステンメッシュホース・隼

2022-08-27
 カスタマイズ事例で紹介している「GSX1300R」に、ブレンボ製ラジアルマスターシリンダー(ブレーキ&クラッチ)とステンレスメッシュホースを装着することになりました。
 
 2代目「」はフロントキャリパーには、「ブレンボ製モノブロックラジアルマウントキャリパー」を標準装備されていますが、マスターシリンダーは「ニッシン製」でなおかつ「横向きマスターシリンダー」となっています。当店で、他のお客様のカスタマイズされた車両を見るたびに、ブレーキ系のスープアップの必要性を感じられたそうです。そこで、「ブレンボ製RCSラジアルマスターシリンダー」に換装することに決められました。

 また、重さ(レバーを握る握力)が気になっていた「クラッチ側」も、いっしょに換装してしまうことにされました。握る力の軽減化と共に、「半クラッチ」のコントロール性向上も見込まれることを説明すると、さらに期待を大きくされたようです。同時に双方とも、タッチやフィーリングに影響するホースも、「ステンレスメッシュホース」に変更することになりました。

 「カウリング車」の場合、ラジアルマスターシリンダーを装着しようとすると、カウリング等と干渉する可能性が高いのですが、「」でもやはりその問題が起こりました。特にこの車両には、ライディングポジションを楽にするための「ハンドルアップスペーサー」を装着されていたため、双方(ブレーキ/クラッチ)共カウリングに干渉してしまう状態でした。カウリング側を加工するわけにはいかないので、相談して取り外させてもらうことにしました。※「隼」の純正ハンドルはハンドルバーの絞り角などの調整・移動は出来ない構造です。
 するとクラッチ側はクリアしましたが、ブレーキ側はまだハンドルマウントブラケットと干渉している状況で、何らかの加工が必要となりました。考えた結果、差込式のハンドルバーを加工して、僅かに外に移動させることで綺麗に取り付けることが出来ました。

 ABS仕様の「」の純正ブレーキホースは、他社同様にゴムホースと金属パイプの組み合わせなのですが、他社ではフレアナットを使ってホースとパイプを連結している物が多いところ、この車両では「カシメ」てしまっている物(クラッチ側も)でした。そのため、全て(ABSユニットに接続するまでのパイプ部を含め)をメッシュホースに換装するしかありませんでした。フレームとエンジンの狭い隙間を通すレイアウトのため、必要な長さやフィッティング角度を割り出すのはかなり困難だったので、この度は「アクティブ製グッドリッヂ・ビルドアライン」の「車種専用KITをベースにすることにしました。※マスターシリンダーの変更のみの場合、必要な「長さ」はほぼ変わらないためです。

 ホースを取り廻したところ、最終的にマスターシリンダーに接続する「バンジョウアダプター」の角度を変えて適切な配管にすることが出来ました。ちなみに「アクティブ製KITでは、ABSユニットとの接続部にスズキ純正と同じ「フレアナット式」にしてありました。フレアナットのネジ部はバンジョウボルト(M10-P1.00)と同じネジ仕様なので、一般的(ブレーキホースとしては)な「バンジョウアダプター式」にしても良いと思いますが、わざわざ短いフレアパイプにカシメてあり、すごく凝っている印象でした。
 また、RCSクラッチマスターシリンダーには機械式スイッチが設定されていないので、「油圧スイッチ」を追加してクラッチスイッチに対応することなりました。※「隼」のように近年のスズキ車では、クラッチスイッチ回路が「ON」のまま走行するとECUがエラーと判断するらしいです。

※「ABS(アンチロックブレーキシステム)」が、とうとう完全義務化となりました。その効能(前輪がロックしないこと)は認めるものの、「レバータッチやフィーリング」は、とても良いとは言えないシステムですが、だからこそ「ブレンボ」などの、よりコントロール性の高い製品に換装する効果があるのかもしれません。 

エンジンシュラウド・SR

2022-07-28
 6月上旬に乗って以来、都合が合わなかったり天候に恵まれず、SRに乗れないまま梅雨明けを迎えました。その後も梅雨に戻ったような天候が続いていて、いまだに乗れずにいますが、いずれにしても猛暑が返ってくると思い、SRに「猛暑対策」を用意しました。

 SRのエンジンチューニングに取り組んだ当初から、BIGフィン加工を施していましたから、真夏でもオイルクーラーを必要としない程度の冷却効果は得ていました。ただ油温100℃以下に抑えられていたものの、気温30℃超の中30分位高回転まで使う走行を続けると「熱ダレ」の兆候は見られました。軽いオーバーヒート程度ですが、多少パワーダウンを起こし、レスポンスも鈍くなる状態になっていました。
 昨年の最も暑い時期には、シリンダー温度は測ってはいませんでしたが、おそらくは90℃前後になっていたと思われます。水冷車ですが、レースでは4stエンジンの適正水温は70℃台でした。80℃を超えると顕著にピークパワーが落ちていましたので、空冷とは言えSRでももう少し冷却性能を上げて冷やしてやりたいと思っていました。
 すでにBIGフィン加工を施してあるため、次にはオイルを冷やして(オイルクーラー)エンジンの内側から温度を下げる方法が一般的ですが、油温が下がり過ぎるのも心配なので、やはりBIGフィンのように、直接シリンダー&シリンダーヘッドを冷やす方法を考えてみました。

 考えたのは、より効率的に走行風をエンジン(冷却フィン)に当てることが出来るようにする方法です。そこで、「エンジンシュラウド」を作ってみることにしました。。
 水冷車の「ラジエーターシュラウド」のように、走行風をエンジンに向けて取り込むようにしました。また、エンジンとの距離(クリアランス)を小さ目に設置して、より流速を上げて冷却効率を上げることを狙っています。※どの程度の効果があるかは不明です。

 シュラウド本体は、アルミ7N01材の2mm厚板を用いました。本来ならば、薄板を折り曲げて作れば良いので2017材(ジュラルミン)で充分なのですが、ブレーカー(金属板折り曲げ加工機械)を持っていないので、角度を付けて溶接して製作するため溶接に適した7N01材にしました。上下のステーは2017材で、上側はサブフレームに下側はエンジンカバー共締めにしています。シュラウドをラバーマウントにして振動対策としました。冷却性能を考えれば、もっと大きく(特に導入部分)した方が効果を見込めると思いますが、エンジンなどを全て隠してしまうと空冷エンジンに見えなくなってしまうため、いくらかは覗く程度にしておきました。

 実は、このシュラウドを考案・製作したのは、「防風シュラウド」を製作した直後(冬)でした。当初は冬季に「防風シュラウド」、夏季に「エンジンシュラウド」を使い分けるように考えていましたので、画像では単独で撮影(エキパイも旧型)していました。その後「防風シュラウド」のシリンダーフィンへの導風効果(想定外のエンジン冷却効果)があることが判り、現在(7月)でも装着したままなので、併用した状態でテストする予定です。もしかしたら、相乗効果で良い結果が得られるかもしれません。

※まずは「防風シュラウド」の高温時(気温30℃超)での確認をしてから、「エンジンシュラウド」を装着することにしています。
 

続・SRエキゾーストパイプ

2022-07-11
 5月に入ってようやくSRでシーズンインして以来、エンジン温度(シリンダー/油温)管理に留意しつつも、エンジンパフォーマンスも気にかかっていました。
 補修のためとは言え、作り直した「エキゾーストパイプ」により、少しは変化があるものか多少期待しつつ慎重に確認をしていました。

 初回に走り始めた時に、燃調セッティングにそれほど「ズレ」は無いのが確認できました。基本的な仕様はほぼ変わらないため、やはり大きな特性変化は無さそうでした。以前のブログに書いたように、5月は 寒い(10°台)時もあれば暖かい(20°台後半)時もありました。その暖かくなった時に、スロットルレスポンスに若干鈍さを感じたため、帰店後、低~中開度に影響するジェットニードルを替えてセッティング変更をしておきました。

 その後、暖かい日に乗ることが出来た頃には、ずいぶんと体がなじんだこともあり、しっかりと乗り込んでみました。その結果、大きくはないものの、確実に全域でパフォーマンスアップしていることが体感出来ました。
 低回転域では、これまで使ったことのない1800rpm速・40km弱)でもギクシャクすることなく走れるようになり、そこからスロットルを開けてもしっかり加速します。特に中回転域トルクが上乗せされていて、コーナーの立ち上がり加速が良くなっていたのが、うれしい効果でした。

 結果として、排気の「流れ」を良くすることが、いかに重要か体感することになりました。もともと、エキゾーストパイプ内の断面積変化の少ない排気効率の良さを狙った「輪切り溶接」工法ですが、ようやくそのメリットを実現出来たのだと思います。Z1-Rのエキゾーストマフラー製作にあたり、それまでの経験から導き出した製作工程が、間違いではなかったと確信できました。

 ただうれしい結果を得られた反面、リヤショックアブソーバーの減衰力不足が問題となってきました。以前から気になっていたものの、コーナー進入から加速が良くなってきて、より高負荷が掛かるようになってきたため、時には危険な動きになるようになってしまいました。そろそろ純正(ZXR400流用)の限界かなと痛感しました。次を考えようと思います。
 
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