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One Off Parts

ワンオフパーツ作品集

アルミフレームセット(セミオリジナル)

アルミフレームセット(セミオリジナル)
 元々は、TOT(ツクバサーキットで盛んなレース)に出場するため、レギュレーションに合わせて、リヤフレームのシングルシート対応・メインパイプの補強・TZ250流用リヤ足周りへの対応といった加工が施されたフレームでした。
 メイン部分のディメンション(寸法・配置)は純正のままでしたので、前後TZ足回りとの組み合わせに無理が生じて、操縦安定性に問題をかかえられて、持ち込まれました。
 
1: 長すぎるホイールベース
2: 高い車高
3: 前輪分布荷重の不足
4: リヤサスペンションのリンクの取付位置のズレによるリヤショックの作動の不適切
5: 剛性の不足(特にスイングアームを支えるリヤ周り)
などの、問題があったようです。
 
 オーダーは前後長を詰めつつ、重心の高さは出来るだけそのままで、車高を下げること、スイングアームの剛性に合わせた剛性の高いピボット周りにすることでした。このオーダーでフレームの設計を考えると、どうしてもピボット周辺を作り変えなければならず、補強の入れられたフレームでは難しくなってしまうので、もう1本所有されている純正に近いフレームをベースに製作をすることになりました。
 
 フルオリジナルでの製作も考えましたが、アルミフレームの製作は初めてでもあり、ヘッドパイプ周辺の設計はかなり困難で、やはり元のフロントのボックスセクションを使って、以後のセクションを新たに作り変えることにしました。
 
 ディメンションとしては、ピボットからヘッドパイプ部までの寸法を30mm短く(それに伴って高さは約10mm低く)し、エンジン搭載位置を約20mm上げて、結果的に車高を下げつつ、重心高さの変化の少ない設定にしています。また、ピボットに対しアンチスクワットアングルの適正化も図ることになりました。ヘッドパイプ部からメインパイプの角度はそのままですが、リヤセクションの結合やリヤセスペンション全体の設定を、車体前後の高さ設定をした上で、キャスター角を22.5゜(0G時)に合わせました。ツインチューブのメインパイプやピボット周辺のリヤセクションの構成からも、1990年代のレーシングマシンをモチーフしています。
 材質は周辺の車体部品も含めて、溶接を施すものには、アルミA7N01材を用いています。、溶接部の結合は出来るだけ、はめ合わせや角度を付けて組み合わせた上で、しっかり溶接するようにしています。ただ、理想的な材料が手に入らなかったことと、あまり、ぎりぎりの剛性や強度には設定できず、肉厚は厚めのものにしましたので、少しピボット周辺の剛性過多になっていると思われます。また、スタンダートと比較して、あまり軽量化は図れませんでした。
 
 リヤフレーム(シートレール)は脱着式として、シンプルな構成でありながら、この車両の最大の特徴である、リヤシリンダーのチャンバーを避けつつ、ほぼ理想的な着座位置に設定出来ました。
 
 車体の基本となるメインフレームが大きく変わったため、フューエルタンクやラジエターなどの部品に関しても、作り変えたり取付位置の変更が必要となりました。
 
 走行できるようになるには、いましばらく掛かりそうですが、楽しみです。レギュレーションに関しては、おそらく違うカテゴリーになるでしょうが、気持ち良く乗れる仕上がりを目指しています。
 
製作:2018年2月
 
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