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One Off Parts

ワンオフパーツ作品集

ラジエーターガード&オイルクーラーガード
  •                 ①ラジエーターガード
  •           ②切り出したオイルクーラーガード
  •       ③2枚重ね全溶接(ラジエーターガード上端のみ)
  •                ④
  •                ⑤

 昨今では、各社(ブランド)よりエッチングという工法で作られた製品が販売されている「ラジエーターガードですが、やはりラインナップにない車種はまだまだ有るようです。この度はカスタマイズ事例で紹介している「GPZ1100」(´01=水冷)に装着したいと相談されて探しましたが商品が見つからず、「オイルクーラーガード」と合わせてワンオフ製作することになりました。

 このGPZは、色々な使い方を考慮して、電動ファン付きの純正ラジエーターのままにしています。ラジエーターガード・オイルクーラーガードも純正品をそのまま使っていました。近年、鳥取県では冬期間にこれまでにない大雪や低温に見舞われることがあり、以前には滅多に使われなかった、塩化カルシウム(融雪・凍結防止剤)を多用(しかも大量に)されています。その為、冬季にバイクを走らせると、フロントタイヤで巻き上げてエンジンやラジエーター前面にこびりつかせてしまいます。そのうえ熱で焼き付いてしまい、帰宅して洗車しても落とすことは困難になります。その影響で、純正の鉄製ガードに錆が発生してしまったようです。そこで、ステンレス製のガードに換えたいと要望されることになりました。

 ワンオフ製作することにしたものの、まず「素材の調達に苦労しました。純正のような網状のものは枠の部分との接合が困難なので、パンチングメッシュ(小さな穴の並ぶ)状の板材を使おうと考えました。ただし、ラジエーターガードとして使えるくらい風通しの良いメッシュ状のものが、なかなか見つかりませんでした。しばらくの間素材探しをしたのち、直径3mmの丸穴がかなり狭い間隔で並んだ0.8mm厚のステンレス(SUS304)製パンチング板が見つかりました。作業に着手するまでにかなり掛かりました。

 作業に取り掛かつても、次々と問題が起こりました。まずは枠の部分を0.8mm厚ステンレス板から10mm幅で切り出す(薄板なので金切りハサミを使い1周巡るように)と、「歪み」が起こって形にならなくなりました。この歪み取りをなんとかこなすと、次にやはり接合(溶接)の問題に当たりました。パンチング板をガードの形に切り出すと、その端部はごく僅かな突起しかなくなり枠部との溶接が難しくなります。薄板で多く用いられる「スポット溶接」も考えましたが、接合部が狭すぎ「溶接剝がれ」の恐れが大きいと思われるため、やはり「TIG溶接」が最善(僅かな溶接量でも接合度が高い)と考えました。

 難易度MAX⁉と思いながらも、周囲をTIG溶接によって約2cmおきに点状に溶接して、少し削って整えるという手法で製作することが出来ました。元のパンチング板には1端のみ穴の開けられていない部分が有り、そちらをラジエーターガード上部になるようにして、その面だけ全溶接(画像③)を施して強度を増して(念のため)おきました。取付部は目立たないように裏側にしたかったものの、溶接困難なため表側の板材に溶接しています。本体への取付には全てステンレス製キャップボルトを使いました。

※2021年3月 製作
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