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パドックⅢ カスタマイズ計画 ブログ

実験キックペダル・SR

2024-06-01
 急遽、思いついた発想を実証してみたくなり、SRの「キックペダル」を製作してみました。

 昨年の事故以来、負傷した右脚の影響で当店のSRはエンジンを掛けられず(ノーマルエンジン車は2月頃にはなんとか掛けられました)にいました。その後リハビリの甲斐もあって、かなり回復してきたので、5月に入って間もなくの頃、いよいよエンジン始動にチャレンジしてみることにしました。※エンジン始動さえ出来れば、乗ることは大丈夫そうなので。

 発想発端は、この時です。
 約10か月ぶり(しかも横倒しになってエンジンが止まったままの状態)のエンジン始動ということも大きい原因であるものの、なかなかエンジンは掛かりませんでした。諦めようかとも思いましたが、20回程度キックを試みて何とかエンジンを始動することが出来ました。
 キックをしている間に感じたのが、エンジンを回す「勢いが足りていない」ということでした。SRのキック始動の要領は、よく動画などにも揚げられてていますが、ようは体重を掛けながら一気に踏み込んでクランクシャフトを勢い良く回す(速い回転速度)ことです。

 右脚・股関節は痛みを感じることもなく、踏ん張るような脚力は戻ってきているものの、瞬発力はまだまだ足らないようでした。そこで考えたのが、この脚でも勢いを増して回転速度を上げる方法です。
 それが、「キックペダルの短縮化」でした。

 キックペダルの踏み込みは、その基部のキックシャフトを回して(その後ギヤを介して増速してクランクシャフトを回す)いるので、キックペダルのアーム長(有効半径)が短くなれば、アーム先端の「踏み込み速度が同じ」であれば、シャフトの回転速度(角速度)は「速くなる」ことになります。※その分、踏み込む力を大きくする必要があります。

 その発想を実際に試してみたいと思い、短いキックペダル(アーム部のみ=ボス部は純正)を製作することにしました。
 以前から、軽量化のために軽合金製ペダルにしたいと思っていましたので、まずは、アルミ7N01材(溶接に適したアルミ合金の中では強度は最高クラス)で製作してみました。※アルミ製ペダルは、どこのメーカーも製作していないことから、かなり強度に無理があると思われます。あくまで実験ですので、どこに問題があるか洗い出し、対策法があるかを考えるのも目的です。

 これまで使っていたWM社ペダル(有効半径=180mm/純正=185mm)に対して、有効半径を15mm短い165mmに設定して製作しました。固定式ステップバーを避けるオフセット量も、当店のSRに合わせて小さくしています。軸受部付近の形状はWM製とは変えて、溶接強度を上げるための工夫を施しました。※この部分の溶接は当然のことながら、中心までの全溶接です。さらに溶接ビードの盛りを多目にしています。
 軸受部35mm径・アーム部20mm径・バー部15mm径の丸棒としてストッパー部mm厚板材の4個の部材を溶接して組み立てています。※ペダルラバーのストッパー部はボルト固定 

 製作してすぐにエンジンに仮組みして、しなりなどのチェックをしましたが、結構しっかりとした感触でした。
 本組みし直して、いよいよエンジン始動を試してみると、少し重くは感じるものの、苦にはならない程度で踏み込みが出来ました。そしてクランクシャフトの回転は確かにいくらか勢いが増していました。回目のキックでは始動には至りませんでしたが、空回りの様子が変わったのが確認出来ました。
 そして、回目のキックであっさりと掛かりました。その時は、キック始めのピストン位置が最適位置ではなく若干過ぎたところ(ペダル高さでは低目から始まる)踏み始めていて、ここからでは掛からないかと思ったものの、思ったより勢い良くクランクシャフトが周り始動出来たようです。※ちょうど、これまでのベストな位置から踏み始めた際の回り方と同じような回り方です。

 短くした成果(強度や耐久性は別として)を確認して、気を良くしました。
 本来ならば、このまま使い続けて強度に関する結果を確かめるところですが、それよりも、アームの長さ最適値の方が気になり、さらに短い物を作って検証することにしました。そちらは後日報告します。

※SRは、キック始めの位置出しの際に、カムスプロケットに取付けられたインジケータを見て位置合わせをしますが、ある程度の範囲があり毎回最適なところに合わせるのは、結構むずかしいことです。



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