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パドックⅢ カスタマイズ計画 ブログ

オイルポンプ&クラッチ換装・SR

2024-09-14
    ①オイルポンプ配置
  ②左=純正/右=KEDO製
 ③強化クラッチKIT(FCC製)
        ④完成
 シュラウドでの冷却強化策が一段落したところで、今夏に予定していた「オイルポンプクラッチ換装」に取り掛かりました。昨夏の予定で用意していた「KEDO製強化オイルポンプ」と「アドバンテージFCC製強化クラッチKIT」を、ようやく組込むことになりました。

 SRオイルポンプは、2気筒以上のエンジンで一般的な独立したアッセンブリとなった物と違い、クランクケース直接組込まれているタイプです。SRはドライサンプ(エンジン外部にオイルを貯めるタンクを持つ)式ですので、オイルポンプはエンジン内潤滑用(フィード側ポンプ)と、主にオイルタンクへの送油用(スカベンジャー側ポンプ=ミッション系の潤滑も兼ねる)の2種類のポンプを重ね合わせたような構造となります。※ポンプの種類は一般的(4stエンジンでは)なトロコイド式です。

 場所はクラッチ裏の上方(画像①)に設置されています。奥(内)側のスカベンジャー側ポンプは、右クランクケース自体をポンプボディとして収納されて、仕切りを兼ねた手前のフィード側ポンプボディとカバーが突き出された形で取付けられます。フィード側ポンプの外に突き出たシャフトにギヤが取付けられクラッチアウター内側のギヤとかみ合い駆動されています。

 そこで作業はクラッチ関連部品を全て外して、オイルポンプの組み換えをすることになります。純正の状態でもあまり周辺(オイル通路を含めて)に余裕は無さそうでしたので、どのようにして強化(送油量約1.6倍らしい)されているのか?あらためて純正オイルポンプとKEDO製オイルポンプを比較してみました。
 KEDO製オイルポンプはフィード側だけを強化されたものなので、スカベンジャー側は純正をそのまま使用します。フィード側の専用トロコイドを、厚く(同径で純正mm~KEDO製6.8mm=画像②)することで、ポンプ容量を増しているようでした。※ちなみに、スカベンジャー側はやはり同径ながら、遥かに厚く13mm厚とされています。
 KEDO製オイルポンプKIT純正部品を組み合わせてクランクケースに組付け、クラッチ関連を組直す際に、フリクションディスククラッチスプリングを「アドバンテージFCC製」に置き換えて組付ければ、換装は終了です。

 これで送油量が増して潤滑不良(不足)のリスクが確実に減っているでしょうから、高回転を使った走行での心配が少なくなったと思います。※潤滑不良はポンプの送油能力だけではなく、スラッジによるストレーナー・フィルター・吐出口の詰まりや油膜切れなどからも起こりうるため、リスクが完全に無くなることはありません。

 組み終わってしまえば、エンジンの外観はなんら変わらず、送油量の変化(潤滑状態)も走って感じ取れるものではないのですが、油圧にはなんらかの変化は現れるのかもしれないと、次の走行機会にチェックしてみました。

 油温の低い暖機運転(アイドリング回転)の間から、油圧はこれまでより高目0.20.3kg/cm²)に表示されていて、時折回転を上げると、上がり幅はさらに大きくなっていました。走り出して油温の上昇とともにオイル粘度が下がってきても、徐々に圧力は低くなるものの換装前より確実に高い数値を示していました。
 本格的な運転状態(油温90℃近辺)では、低回転(3000rpm以下)では相変わらずkg/cm²を示しますが、回転を上げた際の圧力上昇の度合いが大きくなり、0.5kg/cm²くらいまでに高くなっているのが確認出来ました。※純正では高くても0.3kg/cm²でした。
 これ位の圧力アップを確認しつつ走行出来れば、安心感は高まり、より集中して走れそうです。

 加えて、もう一つ思わぬ効果があったのが確認できて、うれしい収穫となりました。
 前段で、本格的な運転状態を油温90℃近辺と書きましたが、油温・シリンダー温度共にオイルポンプ換装前(油温95℃/シリンダー温度90℃前後)ほど上がらなかったのでした。一回の結果では気象条件の違い(当日は薄曇り)も考えられるため、もう一度走行機会を持って確かめたところ、天候:晴れ(日差し強い)・外気温30℃の状況で、シリンダー温度85℃油温92℃という結果となりました。

 本来エンジンオイルには「冷却効果」があり、エンジン内部部品から熱を奪う役目を果たしているのですが、いくらか多くのオイルが供給されても、オイル自体を冷やさなければ(オイルクーラーなど)油温はさらに上がってしまうか、あまり変わらない程度の温度になるのではないかと考えていました。
 実際には、送油量の増したオイルがエンジン温度を下げ、冷やされたエンジンがオイルを冷却するというような好循環が起こったのではないかと思われます。

 これまで「ビッグフィン加工」「シュラウド装着」で、なかなか達成出来ずにいた冷却策の目標(シリンダー温度80~85℃/油温90~95℃=外気温30℃超時)がギリギリではあるものの、この「強化オイルポンプ」の効果を加えたことで、予想外に達成することが出来ました。
 目的であった安定した潤滑性能と共に冷却効果も得られて、期待以上の「オイルポンプ換装」となりました。

 シリンダー温度80℃台をキープ出来るようになって、炎天下でもタレる様子は全く無く、パフォーマンスを維持できるようになってくれました。(人間がタレて限界が来ます)

※シュラウドでの冷却強化策目標に達することが出来なかったので、次にはオイルクーラーの装着案も考えていましたが、その必要が無くなりました。(オイルクーラーの機能美は魅力なのですが)

※強化クラッチに関しては、切れ・つながり共に若干良く(シャープに)なった(純正の新品との比較ではありません)ようです。スプリングは硬くはなっているものの、ZETA製レバーKITに換えていることもあって、それほど重くは感じない程度でした。
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