パドックⅢ カスタマイズ計画 ブログ
メイン(の無い)ハーネスセット製作・SR
2025-04-30
昨年、Z系(2車)用にメインハーネスを製作しましたが、このオフシーズンにはSR(当店デモカー)用のメインハーネスを作ることにしました。
当店のSR(2001年型)も車齢20年を超えた頃に、「メインハーネス」の交換を考えたことがありました。ただその際には、先に製作したZ系の方達と同様の不満があり、しばらく引き伸ばすことにしました。
その不満は、純正メインハーネスにはメインヒューズ1個だけしかない回路であったことです。当時この車両(下取り車)を観た時には「この年式で?」と驚いたものです。SRは設計年代(初期型は1978年型)は古くロングセラーとなりましたが、初期(Z系とほぼ同年代)は仕方ないとしても、その後には改善されて「多系統ヒューズ」になっているだろうと考えていたからです。※サイドスタンドスイッチ回路(戻し忘れ防止)や常時点灯式ヘッドライトの義務化への対応など、仕様変更がないわけではありません。
SRは「バッテリー(電源)CDI点火方式」ですから、メインヒューズだけの回路だと他の電装系のトラブル(短絡)によるヒューズ切れでも「点火」出来なくなり走行不能になってしまいます。せめて「点火系」だけでも独立して、他の電装系と分離した2系統ヒューズを持つハーネスにしたいと考えていました。※バッテリーを電源としない「マグネトーCDI点火(多くの2stエンジン車)」であれば、ヒューズが無くとも点火可能(イグナイターの起動にバッテリー電源を使う方式を除く)です。
その後は他のカスタマイズを次々と施していたこともあり、どちらからかそうした製品が「発売されれば」くらいにしていましたが、Z系メインハーネスを製作した折には、近いうちにSR用に取り組もうと考えました。※結局翌冬になりました。
SR用の「多系統ヒューズボックス対応ハーネス」製作にあたって、回路を設計しますが「Z系」での経験も踏まえて、かなり独自なものを考えました。
バイクや車のメカに興味がある方ならば、「メインハーネス」と聞けば、一本にまとめられてあちこち枝分かれした「配線の束」だとわかると思います。私自身もそれに疑いなく「そういうもの」だと固定観念を持っていましたが、Z系では、重要な「点火系」「充電系」は独立させて、整備性(故障診断・修復)が良くトラブル(焼損など)の波及を防ぎやすくするように製作(計3本)しました。
今回はその狙いをさらに推し進めて、全系統(出力側は4系統ヒューズ毎+主電源・充電)で独立した「ハーネスセット」にすることを主題にしました。
上記の主題以外の、このSR用ハーネスセットの特徴は
1)出力系4系統〔イグニッション(点火)/ヘッドライト/ランプ類/メーター&アクセサリー電源〕
2)ハーネスを独立させることに合わせて「アース線」を出来るだけ省略し、極力パーツ毎の近くで「ボディアース」させて積極的に車体を「マイナス線」として活用
※結果として各ハーネス内のアース線はごく少なくなると共に、まとめる必要も無くなります。
3)各ハーネス間で連携が必要な配線(イグニッションコイル一次線~タコメーターなど)は「コネクター接続」として、各々のハーネスを単体で取り外すことが可能となり、整備性をさらに向上
4)ハンドル周りのスイッチ類(メインスイッチ/左右ハンドルスイッチ/ブレーキスイッチ)のサブハーネスをフレーム側に引き込み、メインパイプ下のスペースで車体ハーネスと接続させる=ヘッドライト周辺のハーネスを少なくする
5)これまでにカスタマイズで採用したパーツや回路を踏襲するとともに、接続箇所を出来るだけ減らす
以上の点を考慮して設計・製作した物が画像①となります。
ハーネス毎に保護チューブや保護テープで守る(全てをまとめて持つと純正ハーネスより太い)ため、狭いフレーム周りスペースで収まるか?少し心配でしたが、場所により通し方を変えたり縦に並べて固定(各部でタイラップ固定)することで、返ってきれいに収まるようになっていました。
※画像①に写るハーネスセットの内訳は、上側(奥)より以下となっています。
1.主電源(メインスイッチ)系ハーネス
2.充電系ハーネス
3.点火系ハーネス
4.ヘッドライト系ハーネス&4系統ヒューズボックス&ヘッドライトサブハーネス
5.一般ランプ・ホーン(ハンドルスイッチ接続)系ハーネス
6.メーター&アクセサリー電源系ハーネス
※サイドスタンドスイッチ回路は、実際に作動させた場合(スタンドを出したままギヤを入れるとエンジン停止)再始動が面倒(高圧縮エンジンのキック始動はけっこうな負担です)なため省略しました。サイドスタンド戻し忘れ防止装置は、特になくてはならない物でもない(旧車には元々無い)とは思ってはいますが、良い機会なので、後ほどスタンドバーに「ホンダ式」の加工をしてみよう考えています。
※ヘッドライト系にバルブ直前をサブハーネスを設定したのは、今後もライトユニットやバルブの変更の可能性を考慮して、その際に「サブハーネス」のみ製作・加工すれば良いようにするためです。
※入手が可能か?心配していたイグナイター用「防水8Pカプラー」でしたが、なんとか特定出来て(防水カプラーは多種の規格が在ります)入手することが出来ました。現在使用しているPOSH製や純正イグナイターも無加工で取付出来るようになりました。
