パドックⅢ カスタマイズ計画 ブログ
移動式門型クレーン(2輪車用小型)製作
2025-08-24
今回製作したのは、バイクのカスタマイズパーツではありませんが、整備(特に重整備)で重宝する「移動式門型クレーン(通称=門柱)」です。※フレーム修正機導入の際には、車体の吊り上げを行う「手動式チェーンブロック」を据え付ける「梁=頑丈なH鋼」が真上に在ったため必要ありませんでしたが、この梁が無ければ同様の物(サイズが変わりますが)が必要でした。
昨年のCB1100R(エンジン整備)の際に、大排気量エンジンを抱えて持ち上げるのも、かなり限界に近いと実感しました。そのような折、本年にはGSX1300R(隼)の「エンジン載せ替え」の依頼を受けました。※2台の車体からエンジンを降ろし、生かす車体に1機のエンジンを載せることになります。
大排気量車とは言え、エンジンは「吊り下げ式(ツインスパーフレーム)」ですから、通常車体周りはそのままで、エンジン下にセットした「ジャッキ」で支えて下していけば良く、抱え上げるのは、ジャッキ上から移動のための台車への載せ降ろし位となり、なんとかなりそうだと考えて普通に取り掛かりました。
まずは、エンジン取り用車両から取り掛かりましたが、この段階で苦労することになりました。
エンジンを支えたジヤッキを下げていったところ、エンジンが大き(特に高さ)すぎてジヤッキ(最低地上高=約10cm)に乗ったままではフレームをかわして横に取り出すことが出来ませんでした。※フレームのフロントエンジンハンガー部分の形状も関係しています。
すでにエンジンは外れて不安定な状態ですので、仕方なくエンジンを抱え上げ(フレームをまたいで)ジヤッキを抜き取り、徐々に低い土台に差し替えつつ最後にリフト上に降ろし、ようやく引き出すことが出来ました。※もちろん二人で作業しますが、一人は土台の差し替えをしてもらいますので、エンジンの抱え上げは一人で行わざるをえず、相当こたえました。
先例を踏まえて2台目では、あらかじめ足周りをほぼ取り外し(残るはステアリングステムとスイングアーム周りくらい)た車体(エンジン搭載状態)ごとリフト上に下ろして、最後にフレーム側を引き上げるようにしました。※作業工程はかなり増えて工数は上がりますが、よりリスクも少なく確実にエンジン脱着作業を行うことが出来ます。
それでも、車体をリフト上に下ろす際には持ち上げることになり、それなりに力を要します。※メンテナンススタンドでささえた箇所を支点とする「てこの原理」で持ち上げることになりますから、エンジン単体を持ち上げるよりは小さい力で済みます。
エンジンを降ろす作業とエンジン交換に関連する周辺部品を全て取り外して、載せ直すまでに少し間が空いた(前後サスペンションのメンテナンス=専門ショップ外注)ので、その間にあらためて考えました。※この間に合わせて、手術(抜釘術)のため入院していたので、考えるのに良い期間になりました。
次のエンジン搭載作業をより確実に行うために、また、今後も「大排気量車の重整備(エンジン整備など)」を続けていくためにも、何らかの「吊り上げる道具」を導入することにしました。
近年では、この手の専門的な道具や設備も比較的入手が容易になってきていますので、いろいろと探してみました。ところが、当方の望む物が見つかりませんでした。
先述のフレーム修正機導入の際に引き合いに出したのは、若い頃に勤めていた会社で使っていた「4輪車整備用門柱」でしたが、その製品では大き過ぎて当店の工場内ではとても使えない物です。もっと小型の物はなかなか無いようでした。※安価な「小型アーム式(クレーン車のような)」が有りましたが、土台部分が「V形」で2輪車用リフトを跨ぐことが出来ないため 使えそうにありませんでした。
それならばと自分で製作することにしました。
製作に当たっては、2輪車用リフトを跨ぐ幅で、工場玄関(アルミサッシ)を通せる高さに抑えて、自在(外倉庫へも)に移動出来る「移動式門型クレーン=門柱」としました。
炭素鋼60mm角バイプ(主要部材=2.4mm厚/補強部材=1.6mm厚)を組み合わせて門型を作り、移動用のキャスターは6点支持としました、チェーンブロックを掛ける「アイボルト」を通す穴周辺は、2.4mm厚高張力鋼板材で補強(上下)しておきました。
縦部材(柱)1500mm/横&土台部材1200mmとして、完成後(キャスターとアイボルトの突き出しを含む)の寸法は、約173cm×120cmとなります。
サスペンションがメンテナンスから帰ってきたところで、実際に使用したのが画像⑤⑥です。狙い通りに仕上がり、強度的にも問題無いようで、「使える物」となっていました。今後も役に立ってくれそうです。
※ツインスパーフレーム車ではフレーム+エンジンを直立状態で作業しますが、ダブルクレードルフレーム車(主に鉄フレーム)では、エンジンを抜く側(主に右サイド)を下にして横倒しにして作業を行います。
※以前に、梁(H鋼)の増設をして吊り上げてはどうか?との助言もありましたが、それではトロリー(H鋼をレールとする移動用滑車)を使用した直線移動しか出来なく、最後は台車への載せ降ろしをしなければならなくなってしまいます。高額な工事をしてもあまり使い勝手が良くないため、決断は出来ませんでした。


