パドックⅢ カスタマイズ計画 ブログ
光度対策・マッハⅢ(500SS)
2026-08-17
マッハⅢ(500SS=H1D)の車検の際に施した「ヘッドライト光度対策」が、少し手の込んだ手法となったので紹介することにしました。
H4ハロゲン球式ヘッドライトユニットにマッチングの良い「LEDバルブ(25W相当)」が見つかって以来、光度不足(保安基準=15000cd以上)の車両には、この製品に差し換えて対応しています。
通常(標準でハロゲン仕様)の車両で、配線や端子・接点の経年劣化による通電性の低下から60W(または55W)の消費電力に至らなくなり光度低下を起こした車両でも、25W相当の消費電力(電流は約2A)しかないLEDバルブであれば、回路や充電(発電)系に負担を増やすこと無く光度を上げることが出来るため、たいへん重宝して使っていただいています。
今回、車検整備で入庫いただいたマッハⅢのオーナーさんにも、ヘッドライトバルブをLEDに替えることを了承していただき、準備(点検・整備)を進めていました。
ヘッドライトの照射を確認しても、十二分に明るくなっており光度に関しては自信を持って持込検査に向かいました。※光軸もハロゲン球との変化はほぼ無く通常の微調整で済みます。
検査ラインで灯火装置検査を受けていると思わぬ指摘を受けました。
「前照灯」Hi/Lo点灯検査に続き「方向指示器」検査をしている際に、ウィンカーの点滅に合わせてヘッドライトが減光・復元(増光)を繰り返して「点滅」しているような状態だとの指摘でした。
迂闊なことに、ヘッドライトとウィンカーは別々に点検したのみで、ヘッドライト点灯状態での確認をしていませんでした。経年劣化した電気回路にウィンカー点灯時の電力消費による「電圧降下」が影響しているのは明らかなので、エンジン回転を上げて(常時点灯化以前の特に旧車では充電電圧がけっこう上がります)みましたが、多少は改善されるものの許容範囲(ごくわずかと認められれば)には至りませんでした。
その場(1回目)は不合格(ヘッドライト光度・光軸検査は余裕をもって合格)となり、何らかの対処をして再検査(当日内は計3回検査ラインに入れ、日を改めても良い)に回ることになりました。
根本的な現象なので現地で対処するのは難しいだろうとは思いながらも、「対処法」は見つけておきたいと、駐車場に戻って作業を始めました。
まずは、ウィンカーの消費電力(23W×2)を半分にしてみようと、フロントウィンカーの配線を外してみましたが、これも少し改善されるだけでした。この方法(ウィンカーの消費電力を小さくする)であれば、前後のウィンカーを「超低消費電力」のLED(ナノタイプなどは1W以下)に換装するしか可能性は無さそうです。※標準のウィンカーリレーであれば消費電力(電流)が半分になれば、ウィンカーは点滅しなく(多くは点灯状態/種類によっては高速点滅)なりますが、この車両ではLED対応の消費電力の大小に関わらず同じ点滅速度になるリレー(これも回路内抵抗の変化から点滅速度が正常範囲(60~120回/分)を超えたことへの対処です)に換えていましたから、この実験が可能でした。
次に、ヘッドライトの消費電力を上げた場合はどういう変化があるのか確認しようと、元のハロゲン球に戻してみました。当然かなり暗くなるので消費電力の違いかは確定できないものの若干明暗の差は小さいようですが、やはり許容出来そうにはなっていません。
そこで以前から光度不足の車両に採用していた「ヘッドライトリレーKIT」の原理を考え直してみました。
この製品は、車両のヘッドライト系の電流はリレーを作動(スイッチング=電流はごく小さい)するためにのみに使われて、ヘッドライトバルブに流れる電流はバッテリーから直接大容量の配線(通常の2輪車で採用しているサイズよりも太い)を介して流れています。そのため電球の本来の能力を発揮して明るく出来るものです。
これを電圧の視点で考えると、ヘッドライト回路が独立した回路となるため、他の電装品の影響が最も少なくなり、バッテリー端子電圧そのものに起こる電圧変化にとどめることが出来ていると考えられました。
受検の際には光度不足の再検査に備えて、リレーKIT(2灯対応)を持参しているので、その場で仮組みしてみました。
結果は、ほぼ一定の明るさを保つことが出来ていて、ウィンカー点滅の影響を受けなくなっていました。そのまま検査ラインに再入場して2度目の検査での合格となりました。
帰店して、1灯専用品を本組みして完成とさせていただきました。
※結果的に、LEDヘッドライトバルブとリレーKITの2本立てのヘッドライト光度対策になり、コストの掛かることにはなりました。ただ、今後光度が低下する恐れはほぼ無くなり、考えられるトラブルは車両回路の断線・接触不良などによる不灯くらいにリスクは減ることになっています。旧車好きな方の中には、LEDライトの白色光を嫌う方もいらっしゃるとは思いますが、省電力なLEDはハロゲンライト以前の旧車にこそ望ましい(電気的に)物だと思います。
※今回は違う目的で使うことになった「ヘッドライトリレーKIT」ですが、本来の用途(ハロゲンヘッドライトを明るくする)で装着する場合、電気抵抗のごく小さいリレーと配線により、実際にヘッドライト回路に流れる電流が大きく(多くの車種で新車状態を上回るほど)なります。ジェネレーターからの充電電流と消費電流(放電)との相殺でバッテリーを充電していますので、その充電量に影響を与えます。特に旧車の場合は、ヘッドライトを点灯させるとエンジンをかけていても充電不足を起こしかねません。そのため、検査対応で装着した車両のお客様には、出来るだけヘッドライトを点灯させないようにお願いしていました。旧車に限らず、この類の製品を使う場合は、充電状態(特に電流)の管理(レギュレーターの種類・機能より充電不足あるいは過多)は怠ることは出来ません。
※ハロゲン球(60W/55W)では問題となるリレーKIT装着による電流増大ですが、25W相当のLEDバルブでは問題とはなりません。回路内電流は電気負荷(この場合はバルブ)と回路全体の線間抵抗の総量で決まりますので、バルブを流れる(流せる)電流が最大値(25Wであれば約2A)となります。大容量配線はある意味無駄に太いだけとなります。
※画像④は、日中(相当明るい)屋外で棚に映った「ヘッドライト(Lo)」の照射です。Loビームカット(照射された上辺)がくっきりとしてレンズユニットとのマッチングの良いことが分かります。


