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カスタマイズについて

 パドックⅢでは、豊富なレース活動で得た経験を元に、その知識と技術を傾注して、お客様のご要望に最適なカスタマイズとなるように取り組んでいます。
 また、走行性能に限らず、安全性能や環境性能・保安基準などを含めた取組みで、安心してお乗りいただけるバイク作りを目指しています。

パドックⅢ カスタマイズ計画 ブログ

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テール/ストップ&ウィンカー一体型ナノLEDランプ装着・SR

2022-10-31
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 灯火類をフルLEDとして以来、走行前後の「点灯チェック」はこまめにしていたところ、10月上旬の走行後にテールランプが点灯していないことに気づきました。
 ストップランプは点灯することから、配線の不具合(断線・接触不良など)である可能性が高く、とりあえず診断だけははしておこうとすぐに取り掛かりました。

 テール/ストップランプを取外して分解してみると、ラバーベースに共締めされた基盤の裏のハンダ部から配線が断線(画像4)していました。LED式ランプなのに、まるで電球ソケットが内臓されているかのような出っ張り部分の内部は、何も無い空間になっていて配線は浮いた状態でしかなく、振動で断裂したようです。もう少しラバーの厚みを増やして配線をしっかり(且つ柔らかく)と支えられるようにすれば良さそうですが、ごく安価な物だったので仕方のないことかもしれません。
 修復は出来そうですが良い機会なので、走行会の後にでも「ナノタイプLEDウィンカー(テール・ストップ一体型)セット」に、換装することにしました。

 実際の作業では、SRの車体側に必要なサブハーネスもすでに製作してあるので、交換作業だけになります。重要なのは、ハーネスの適度な固定だけです。ナノLEDランプに換装するにあたっての、極細配線の保護対策の仕上げになります。配線に無理な力が掛からないようにすることと、適度に振動を抑えるようにタイラップやクリップを使って固定(画像2)します。

 ウィンカー兼用のテールランプ左右対称2個)になったことで、中心線上にあったテール・ストップランプは必ず取外すことになります。※保安基準では、中心線上の1個を含む左右対称はNG(ハイマウントストップランプを除く)です。また、点灯しない(出来ない)灯火類も許されません。
 SRでも取り外しておきますが、それでは元のスペースが間が抜けたようになってしまいます。そこで、その位置に丸型リヤリフレクターを装着することにしました。ちょうどSR純正のリフレクターが適した大きさだったので、それを使うことにしました。
 テールランプ取付部には、ソケット部に合わせて中央に穴を開けているため、リフレクター用にベース(画像3)を製作してありました。もともと丸型テールランプを想定して「リヤフレーム」をデザインしたため、マッチングも良く、まるでテールランプのように見えます。

 これで、さらにスッキリとしたリヤビューになりましたが、「振動対策」は効果を発揮するのか観察していこうと思います。





 

 

ラジアルマスターシリンダー換装(RC390)

2022-10-18
 気が付けば、もう10月に入って「走行会」が迫ってきていました。※今年度は3年ぶりに「岡山国際サーキット走行会」を、10/25(火)に開催します。

 2022シーズンに入って以来、SRばかり乗っていて、出来ればSRを走行会で走らせたいと思っていました。ただ、リヤショックアブソーバーの「減衰力不足」の問題が残っていて、サーキットを走らせるのは無理が有りそうでした。そんなわけで走行会には、やはり「RC390」で走ることにしました。昨シーズン後半に、「YSSフォークカートリッジKIT」を組み込んで、かなり良い感触だったので、こちらも期待するものはあります。※今シーズン全く乗っていませんが。

 5月に「様号」と共に車検・整備を施して検査を受けていましたが、その際にY様号にフロントマスターシリンダーの「液漏れ」が見つかっていました。その対処として、オーバーホールよりも「換装」を選ばれて、「ブレンボ製RCSラジアルマスターシリンダー」に換装することなりました。
 近年、「RCSタイプ」はサイズ設定(特にシングルディスク用サイズ)が増えていて、そのチョイスは一任されました。比率を計算するとシリンダー径14mm15mmのどちらか(純正は横押し11mm)になりましたが、どちらかと言えば初期から「カッチリ」系が好みということで、15mmを選択しました。RCSタイプはレバーレシオ可変式(20or18=支点から作用点の寸法)ですので、装着後に実走して試された結果、「20=握り代は短目」に設定されました。※ご本人のフィーリングに合うことが一番大事ですので、ここではお任せして口出しはしませんでした。
 試走はしませんでしたが、レバーを握った感触は「ブレンボラジアルポンプ」の好ましいもので、自分のRC390にも是非とも装着したいと思わせられました。

 そこで、展示を兼ねて仕入ていたのが、「RCSタイプ14mm」です。15mmに比べて、握り代長く(深く)なりますが、制動力大きくなる方向(パスカルの原理による)です。320mmシングルディスク&メタリカ製パットの組み合わせで、そこそこまともな制動力を得られるようになっていましたが、出来ればもっと上げたいと思っていたので、少しでも制動力を上げられればと考えた選択でした。※力学的には「15mm径×18」と「14mm×20」では、同じ程度と言えますが、フィーリングに違いは出るものなのか興味のあるところです。

 車検の後に少しは乗ってから換装しようと考えていたものの、全く乗ることが無かったため、ずっと展示品になっていました。結局、走行会にはRC390を走らせることにしたので、その前に換装することにしました。
 装着に当たっては、本体とリザーブタンク&ホース(ブレンボ製)の他には特に必要となるものは有りません。ブレーキホースも上下(マスター/キャリパー)を逆にすることで、この仕様でも純正ホースを再使用出来ました。リザーブタンクはトップブリッジにネジ穴加工(強度に問題の無い場所に)を施して、ステーを用いない取付方法としました。ラジアルマスターシリンダーは周辺のカウリング類に干渉することが少なくありませんが、純正マスターシリンダーよりもクリアランスを取ることが出来ました。レバーレシオの初期設定は、20mmにしています。  

 これで、2022走行会仕様となりましたが、YSSフォークカートリッジと共にサーキットでのパフォーマンスに期待が高まりました。

16日(日)が思わぬ好天となってくれたので、ワインディング路で試走することが出来ました。ブレンボ製ラジアルポンプのフィーリングは、やはり抜群でした。レバーの引き始めからの制動力の立ち上がりがリニア(比例的)で、引き代に応じた制動力の強まり方は、抜群のコントロール性です。パッドを押す力が大きくなったようで、制動力もいくらか上がっていて、ブレーキング終わり(旋回始め)で速度が少し落ち過ぎるくらいでした。コントロール性はたいへん良いので、あとはサーキットですぐに調整(人間の)出来るでしょう。走行会(走る主催者です)が楽しみです。

 



 

続・続エンジンシュラウド(SR)

2022-09-29
 猛暑対策として製作した空冷SRのための「エンジンシュラウド」ですが、月に入ってもまだまだ暑い日も多くエンジン冷却の必要性は高く、早く効果のあるものにしたいところです。

 とはいえ改修を施して以降、数回はワインディング路へ出かけたのですが、結局は月上旬と同じような気象条件とはなりませんでした。※一度は良い(?)条件(気温30℃以上)だったのですが、珍しく交通量が多く走り込むことは出来ませんでした。それでも、気温2627℃位で走らせられたので、同じくらいの気温だった月の時のデータを比較してみることが出来ました。

 月の時(気温2527℃で2回)のデータは、シリンダー温度=8586℃/油温=8990℃でした。そして、改修したシュラウドでの結果は、シリンダー温度=83℃/油温=89℃となったのでした。改修前には、ワインディング路では冷却効果を得られなかったものの、改修を施したものは3℃とわずかながら温度を「下げる」ことが出来たようです。一般道でも50km/hを超えれば温度上昇を抑えるようになっていましたので、冷却性能を高めたのは確かなようでした。

 これ以上を望めば、さらに導入部分を前方に伸ばせば効果を上げられるとは思いますが、それでは「空気抵抗」が膨大になると思われます。そこで最終的な形として、前後寸法はそのままで、「上下」方向に広げて形を整えたものに作り直すことにしました。左右それぞれの溶接部から切断して、新たに切り出した導入部分を溶接し直して仕上げました。上下方向に「台形」状にして、導風効果にいくらかでもプラスαがあるかもしれません。アルミ7N01材は溶接部の強度がほとんど落ちないので、作り直しをしやすいのもメリットです。

 再改修を施したものの、さすがにもうそんなに暑くなることも無いかと考えていましたが、台風接近の影響でかなり気温が上がった日に走らせることが出来ました。現地では、気温30℃にわずかに至りませんでしたが、2829℃でかなりの蒸し暑さでした。
 この環境下で、シリンダー温度=85/油温=89℃に抑えて、約30分程度を走りきることが出来ました。途中、前走者(4輪車)におとなしく従って低速(40km/h以下)走行すると、たちまちに温度が上昇してしまいますが、ペースを戻すとどんどん温度を下げることが出来ていました。狙った通りとは言えませんが、ある程度効果のあるものになったと思います。

 気温の低下も手伝って、シリンダー温度85℃前後で走ることが出来ましたが、やはりエンジンに「元気」があります。熱ダレによるパワーダウンやレスポンスが鈍くなることも無く、最後まで「気持ちよく」走ることが出来ます。人間の方が、暑さに負けてしまうくらいです。今シーズン中には、もう30℃(現地の)を超えることは無いと思いますが、このシュラウドなら最暑期でも、シリンダー温度を90未満には抑えることが出来そうです。来シーズンには、もう少し工夫を加えてみようと考えています。

※1:ちなみに、再改修してからの復路(多くは下り)では、シリンダー温度・油温とも70前後まで下げられてしまっていて、すでにオーバークールに近い状態でした。とりあえず「ワインディング路専用」と言える結果となりました。

※2:本来ならシュラウドの必要のない季節になってきますが、ワインディング路でエンジン温度70℃台(80℃未満)で走らせるとどんなパフォーマンスになるのか?確かめておきたいので、もう少し装着したまま走らせるつもりです。

 

続・エンジンシュラウド・SR

2022-09-10
 お盆休み前になんとか「エンジンシュラウド」のテストが出来たのですが、早速「」を加えることになりました。

 そのテストですが、先にエンジンシュラウド無し防風シュラウドは装着)でのテストした結果は、シリンダー温度=93℃/油温=101℃(晴れ・現地の気温3032℃位・ワインディング路30分程度走行後)でした。昨年の最暑期に、油温100101℃でしたので、ほぼ同じ程度の油温だったことから、「防風シュラウド」の効果が確認できました。
 油温の「暖まりを速める」効果とともに、ある程度上昇してから(65℃前後)はシリンダーへの冷却効果で、油温の上昇も「抑える」効果が発揮されるようになるようです。ただ、かねてからの推測通り、シリンダー温度は90を超えていました。

 次の「エンジンシュラウド」のテストもあまり日を開けることなく、ほぼ同じ気象条件で行うことが出来ました。市内では猛暑日になりそうな天候で、暖気運転を終えて走り出す時点で、シリンダー温度は70℃(油温40℃)になっていました。
 走り始めた市内走行(60km/h以下で約3km)では前回テストと「変化」は見られずにシリンダー温度はどんどん上昇して、83℃まで上がっていましたが、そこから自動車道に乗って速度を上げていく(80km/h位)と、シリンダー温度が下がり出し、約2km76℃-7℃まで落ちました。エンジンシュラウド無し(防風シュラウド装着)でもこの区間で3℃位は下げていましたが、それよりも温度を下げていて、とりあえず冷却効果が上がっていることが確認出来ました。
 目標であるワインディング路での効果にも期待が高まりましたが、実際のワインディング路走行の結果、シリンダー温度=94℃/油温=101℃となり、エンジンシュラウド無しとほぼ同様の温度まで上がってしまいました。
 この結果から、高速度域(60km/h以上)では冷却効果が上がるものの、低速コーナー主体のワインディング路では十分な効果を得られない(足らない)ようでした。

 そこで次のを加えることにしました。手を加えた点は、主に、より多くの走行風を取り込むように、先端の導入部分を延長してみることにしました。加えて、左側のシリンダーに沿う面が短めだと思われたので、前後に延長させて作り直すにことにしました。手持ちの材料(アルミ7N012mm厚板材)が乏しかったため、今回は必要最小限の材料で行いました。

 右側は、現状の先端に約40mm分(上下は同寸)付け足しました。左側は、シリンダーに沿う面を新たに製作した上で、導入部分も延長した物を製作する予定でしたが、材料が足らなかったため、導入部分には元のシュラウドを使える部分をカットして再利用することにしました。※先端付近に穴が個あいていますが、グロメット挿入用の穴が残っているためで、空力的な意味はありません。

 実に間に合わせのようになりましたが、実際に暑い時期のテストに間に合えば良いのですが。※改修自体は8月下旬には終わっていますが、前テストと同じような気象条件にはなかなか恵まれずにいます。

ブレンボRCSラジアルマスター&ステンメッシュホース・隼

2022-08-27
 カスタマイズ事例で紹介している「GSX1300R」に、ブレンボ製ラジアルマスターシリンダー(ブレーキ&クラッチ)とステンレスメッシュホースを装着することになりました。
 
 2代目「」はフロントキャリパーには、「ブレンボ製モノブロックラジアルマウントキャリパー」を標準装備されていますが、マスターシリンダーは「ニッシン製」でなおかつ「横向きマスターシリンダー」となっています。当店で、他のお客様のカスタマイズされた車両を見るたびに、ブレーキ系のスープアップの必要性を感じられたそうです。そこで、「ブレンボ製RCSラジアルマスターシリンダー」に換装することに決められました。

 また、重さ(レバーを握る握力)が気になっていた「クラッチ側」も、いっしょに換装してしまうことにされました。握る力の軽減化と共に、「半クラッチ」のコントロール性向上も見込まれることを説明すると、さらに期待を大きくされたようです。同時に双方とも、タッチやフィーリングに影響するホースも、「ステンレスメッシュホース」に変更することになりました。

 「カウリング車」の場合、ラジアルマスターシリンダーを装着しようとすると、カウリング等と干渉する可能性が高いのですが、「」でもやはりその問題が起こりました。特にこの車両には、ライディングポジションを楽にするための「ハンドルアップスペーサー」を装着されていたため、双方(ブレーキ/クラッチ)共カウリングに干渉してしまう状態でした。カウリング側を加工するわけにはいかないので、相談して取り外させてもらうことにしました。※「隼」の純正ハンドルはハンドルバーの絞り角などの調整・移動は出来ない構造です。
 するとクラッチ側はクリアしましたが、ブレーキ側はまだハンドルマウントブラケットと干渉している状況で、何らかの加工が必要となりました。考えた結果、差込式のハンドルバーを加工して、僅かに外に移動させることで綺麗に取り付けることが出来ました。

 ABS仕様の「」の純正ブレーキホースは、他社同様にゴムホースと金属パイプの組み合わせなのですが、他社ではフレアナットを使ってホースとパイプを連結している物が多いところ、この車両では「カシメ」てしまっている物(クラッチ側も)でした。そのため、全て(ABSユニットに接続するまでのパイプ部を含め)をメッシュホースに換装するしかありませんでした。フレームとエンジンの狭い隙間を通すレイアウトのため、必要な長さやフィッティング角度を割り出すのはかなり困難だったので、この度は「アクティブ製グッドリッヂ・ビルドアライン」の「車種専用KITをベースにすることにしました。※マスターシリンダーの変更のみの場合、必要な「長さ」はほぼ変わらないためです。

 ホースを取り廻したところ、最終的にマスターシリンダーに接続する「バンジョウアダプター」の角度を変えて適切な配管にすることが出来ました。ちなみに「アクティブ製KITでは、ABSユニットとの接続部にスズキ純正と同じ「フレアナット式」にしてありました。フレアナットのネジ部はバンジョウボルト(M10-P1.00)と同じネジ仕様なので、一般的(ブレーキホースとしては)な「バンジョウアダプター式」にしても良いと思いますが、わざわざ短いフレアパイプにカシメてあり、すごく凝っている印象でした。
 また、RCSクラッチマスターシリンダーには機械式スイッチが設定されていないので、「油圧スイッチ」を追加してクラッチスイッチに対応することなりました。※「隼」のように近年のスズキ車では、クラッチスイッチ回路が「ON」のまま走行するとECUがエラーと判断するらしいです。

※「ABS(アンチロックブレーキシステム)」が、とうとう完全義務化となりました。その効能(前輪がロックしないこと)は認めるものの、「レバータッチやフィーリング」は、とても良いとは言えないシステムですが、だからこそ「ブレンボ」などの、よりコントロール性の高い製品に換装する効果があるのかもしれません。 
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