本文へ移動

Customize

パドックⅢ カスタマイズ計画 ブログ

RSS(別ウィンドウで開きます) 

燃調セッティング(Rapid Bike)

2021-11-01
①セッティング中のPC画面
②USBコード
③ラップタイマーブラケット
④ワンオフ製作ステーKIT
 ここのところサーキットへも頻繫に通われているY様のRC390ですが、ふとした時に少し調子(エンジンの)が悪くなっているのに気付きました。当店前での暖機運転中に、エンジンが止まってしまいそうになったり、ブリッピング(スロットルの細かな開閉)にきちんと反応していない様子が見られました。

 疑問に感じてご本人に聞くと、エンドバッフルを外してみたとのことでした。こちらのRC390にはKTM純正指定の「アクラポビッチ製マフラー」を装着していますが、ワンメイクレース用に指定されている物でエンドバッフルが装備されています。その上で取付スクリューには取外しを困難にする加工が施されていました。単純に音量を抑えるためか?性能(エンジン特性)を考えた結果なのか?判断は難しいため、バッフルを装着した状態で燃調セッティングを出していました。サーキット走行をすることが増えて、もっと「パワー」が出るかも知れないと考えられたそうです。その上で、少し燃調も変えられたようです。

 改めてバッフルを外したサイレンサーを観ましたが、パンチングパイプはかなりの「大径」で抜けの良さが想像されます。ただ、あまり良い結果は得られなかったようで、元に戻した方が良いのか問われましたが、エンジン関連(排気系を含めて)の仕様変更では、それぞれの仕様におけるベストセッティング(出来る限り)の状態で比較しないと良否の判断が出来ないことなので、一度燃調セッティングをやり直すことになりました。

 手始めに工場内でPCを接続(Rapid BikePC画面での調整)して、現状のMAPを確認しつつ、アイドリング回転から3000rpmまでのスロットル開度0~5%範囲を調整してみました。ご本人が変更した分も含めて、濃い目の状態だったようで結構数値を小さく(薄くする方向)していき、徐々に良い燃焼状態に出来ました。上記の範囲から少し拡大した領域も濃い目である可能性も想像されましたが、インジェクション(電子制御燃料噴射)では実際にその領域となる場面で確認しなければ、セッティングには手を付けられません。次の段階で走行・調整を進めていくことにします。走行前準備として、調整のたびのPC接続をしやすいように、USBコードを電装カバーから出しておきました。(画像②)

 実走行による調整は、まずは店舗周辺の一般道や自動車道を走行しつつセッティングを繰り返し、5000rpm以下・スロットル開度40%以内を詰めていきました。後日、ワインディング路にPCを持参して出かけて、残る5000~11000rpmの全ての開度域(0%95%超)の範囲の調整をしました。特にスロットル開度0%20%の開け始めの部分は入念に煮詰めて、スロットルを「開けやすい」特性になるように心掛けています。

 結果として、バッフル装着仕様と比較して、高回転寄りは燃料を増量低回転寄りは減量(純正からは増量)となりました。中回転域のトルクの出方や高回転域のパワー感も増していると感じられ、バッフルを外した仕様は決して悪くないと思われます。

※燃調セッティングは、「キャブレター」も「インジェクション」も基本的には変わりはありません。それぞれの領域で「良い燃焼」を作ることを最優先として、そこにプラスして、スロットルワークに対する反応度合いを好みのフィーリングに仕上げられるようにします。
 ただ、キャブレター(FCR)では、6種類(ジェットなどの部品交換は3種類)の調整機構で全体をカバーしているため、その受け持ち領域であれば異なる条件(例えばスロットル全開での7000rpm10000rpm)であっても推察が出来ます。また、最終的な調整もどこを優先するかで決まります。対してインジェクションでは、全ての領域で個別の調整が可能なため、より細やかなセッティングが必要となるものの、より緻密なセッティングが出来る(簡単ではありませんが)ようになります。

 画像①は、セッティング途中の「Rapid Bike Racing」のモニター画面ですが、中央付近のマス目が噴射量を決めるマッピングです。縦軸=エンジン回転数(250rpm毎)・横軸=スロットル開度(0%~95%)になっています。数値は純正の設定値に対する「変化率)」で表されています。純正MAPの具体的な数値が解らないため、数値の大小だけでは現状の燃焼状態が濃目となったのか、まだ薄目なのかなどの判断は出来ません。サブコンピューター式は各社ありますが、おおむね「変化率」で表しているようです。

●サーキット走行も増えて、ラップタイムを自分で計測するのに便利な「ラップタイマー(Qスターズ)」を装着したいと、ご相談いただきましたましたが、RC390には簡単に装着できる場所や市販のブラケットがありませんでした。そこで、取付ステーKI(組立式)をワンオフ製作(画像③④)することになりました。RCはステムシャフトが中空ではなく,トップブリッジはステムボルトで締め付けられています。このステムボルトで共締めして取付けるようにしました。

TOPへ戻る