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パドックⅢ カスタマイズ計画 ブログ

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エンジンガード・グース(350)

2022-11-14
 グース350(スズキ)用の「エンジンガード」を製作しました。

 この度、ご購入いただいたお客様がビギナーさんということで、少しでも転倒した時のダメージを減らしたいと考えられ「エンジンガード」のオーダーを受けました。市販されている物がないか探したものの見当たらず、フレームスライダーなどのスライダー類も含めて探してみても同様で、市販されている商品は無さそうでした。その旨を報告して相談した結果、「ワンオフ」製作することになりました。どのようなものにするかは、一任されました。

 ワンオフ製作するにあたり、まずはパイプなどを用いた「エンジンガード」にするか、ジュラコン製の「スライダー」にするか考えました。取付けられる場所(車両本体に加工を加えない前提)は限られていて、どちらにしてもフロントエンジンハンガー部分を基点にするしかないと考えられました。
 グースはアンダーフレームがフロントエンジンハンガーまでのバックボーンフレームの一種の上、幅の狭いエンジンマウント(クランクケース)にそのまま合わせたエンジンハンガーの幅になっています。フレームスライダー(1点支持)にしようとするとかなりの長さになってしまい、フレーム本体を含めて強度が足らないことになりそうでした。結局、前後で分散出来る「エンジンガード」にすることにしました。

 「エンジンガード」に決定したところで、リヤ側の取付位置となるのは、ステップホルダー下側のボルト部が最適だと思われました。ただ、このボルトはリヤロアエンジンマウントボルトM10)になっていて、内側から順に、クランクケース・フレーム(アルミキャスティング製ピボットブロック)・カラー(左右共約5cm)・左右ステップホルダーの全てを貫通して共締め(ボルト長285mm)にされています。
 さらに外側に共締めするパーツを増やしていくと、長さは320mm以上は必要となります。強度のしっかりしたボルトが在るのか?と不安を感じましたが、探してみるとスズキ純正323mmボルトが見つかりました。純正で採用(車種不明)されていることから、強度面では問題は無いと思われ、これをもとに設計することにしました。
※当初、ステップホルダー内側のカラーをエンジンガード用に作り直して、そこにガードを接続する方法を考えたものの、シフトリンケージやエキゾーストパイプに干渉することになり断念しました。

 設計にあたり、前後とも共締めとなるため、一体式の物にしてしまうと整備性が極端に悪くなるのは明らかなので、前後各々「ベースプレート」を設置して、そのプレートにガード部分を取り付ける方式にしました。一般整備(エンジン・ステップなど)でも、それほど整備性は悪くならない上、ガード自体が破損した場合でも部分的修復再製作が可能になります。
 素材はガードとしてはあまり使われないアルミ製としました。エンジンガードの強度が高過ぎると支えている車体側が負けてしまうため、ガード本体が曲がったり削れることで、転倒による衝撃・力を「程よく」逃がしたいと考えました。ガード部分は削れていっても簡単には無くならない「丸棒材」にして、強度が高くなり過ぎないように、細目の17mm径としました。ベース部分の板材(10mm厚)を含めてすべて「7N01材=アルミとしては強度が高い」としました。

 各部の強度バランスには、かなり配慮したつもりですが、実際にはどういう働きをしてくれるのか簡単には検証出来ないので心配は残ります。ガード・スライダー類の設計は本当に難しいものです。

理想とするのは、立ちゴケや極低速での転倒程度では何も曲がらずにいて、激しく転倒した際に、ガード本体がいくらか曲がりつつ削れていって衝撃を逃がすことが出来ることです。フレームは当然のことながら、ヘースプレートが歪まなければ、なお最高です。




 
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