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カスタマイズについて

 パドックⅢでは、豊富なレース活動で得た経験を元に、その知識と技術を傾注して、お客様のご要望に最適なカスタマイズとなるように取り組んでいます。
 また、走行性能に限らず、安全性能や環境性能・保安基準などを含めた取組みで、安心してお乗りいただけるバイク作りを目指しています。

パドックⅢ カスタマイズ計画 ブログ

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続・SRフレームスライダー

2021-04-17
左スライダー
右スライダー
取付用ボスを設置したサブフレーム
強度を抑えた溶接部
 一旦取付けを終えたものの、左側スライダーの装着場所のこともあり、取付方法について引き続き考えてみました。

 前回、記述したように一般公道で使用する車両でのスライダーの役割は、最初の衝撃を「緩和」させることだと考えています。当店のSRのように、サブフレームや他のパーツのブラケットを利用して装着した場合には、スライダーによってそれらを破損させてしまうことは充分に考えられます。他の車種でも、スライダーが逆効果になってしまうケースは少なくありません。そのような場合には、衝撃を「緩和」した直後に、スライダーが「脱落」してしまえば良いというのが、当店の基本的な考え方です。

 そこで、「確実」に「脱落」させる方法を考えました。まずは、共締めでの取付けはやめて、左右サブフレームにスライダー取付用ボス(アルミ7N01材)を単独溶接して設置することにしました。そして、その溶接強度をあえて落としておくようにしました。これで、過大な外力が加わる(限度を超える)とボスの溶接部ごとスライダーがもげて、脱落していくはずです。製作した20mm径のボスは、サブフレームのリブ状の部分に乗る形になるため、そのリブ部とのみ溶接しています。また、溶け込みも少なめになるように溶接を施しました。
 前後方向に弱く、上下方向にはある程度は耐える設定なので、立ちごけ程度にならもげずにすむかもしれません。(実験はしませんので、そんな状況になった時に判明します。そうならないのが望ましいのですが)

 多分に、ドレスアップ的なカスタマイズとも言えますが、狙い通りにいけば役に立ってくれるとも思われ、期待はしています。

※サーキットでは転倒した際に、とにかく良く滑らせて、マシンをコース内にとどまらせない(オイルの流出も防ぎつつ)のが、スライダーの重要な役割です。

SRフレームスライダー

2021-04-02
①左側フレームスライダー
②右側フレームスライダー
③ハンドル右切り状態
④強度UPしたブラケット
 サブフレームやパフォーマンスダンパー(PD)の装着されたSRを見ていて思いました、「フレームスライダー」を付けるのにちょうど良いなと。

 元来SRはスリムなエンジンなので、エンジンを保護する目的では、あまり必要性を感じなかったスライダーですが、アルミタンク横出しステアリングダンパーにした際に、装着した方が良いなとは感じていました。ただ、取付けにあまり適したところがなく、大掛かりな工夫をしなければならないため、そうしてまで必要とは思いませんでした。そんな時に、この度のカスタマイズ(サブフレーム/PDブラケット製作)によって、比較的簡単にスライダーを取付けられる場所が出来たと気付いたのでした。

 まず思い付いた時点で考えたのは、取付けのもっとも簡単な、左側はパフォーマンスダンパー前側と共締め・右側をサブフレーム前側と共締めという取付方法です。

 右側は、タンクやステアリングダンパーを保護するのにも最適と思われるため、そのまま設置場所に決定しました。ディトナ製スライダー(60mm長)を、M10ボルトとカラーを用いて取付けてみました。カラーの長さを調整しながらステアリングダンパーを確実に保護出来るか試しましたが、削れながら(曲がらないと仮定して)も完全に保護するには余程の長さ(突出し量)が必要となるため断念して、現状のダンパーロッド先端と同等の長さ(画像③)に設定しました。
 ただし、ダンパーブラケットにはサブフレームの剛性部材としては充分な剛性があると考えていましたが、転倒の衝撃や他方向の外力が加わることを考えると、強度不足だと思われました。そこで、ダンパーブラケットは補強することにしました。(画像④)

 左側はパフォーマンスダンパー本体と共締めだと、転倒やちょっとした接触でも即・ダンパー破損になりそうなので、前側ブラケットに単独で取付けることにしました。丸棒材接続部に深さ15mm程度のM10ネジ穴を作り、スライダーを取り付けました。あえて締め付けには、ネジ長さ10mmのはめ合いとして締結強度を落としています。過大な力が加わった際には、ネジ山を壊してスライダーが脱落してしまうように想定しています。※右側も同様の考え方ですが、サブフレームの締結強度との兼ね合いで15mmに設定しています。
 左側は、この場所ではタンクの保護にはならないため、今後サブフレームに加工を施してスライダーを装着することも考えています。いずれにしても、スライダーの役割は、最初の衝撃を「緩和してくれれば良いと考えて、各部の強度を想定しています。(想定通りの結果が得られるかは、かなり難しい問題です。)

 一般にも多くの製品が販売されていますが、フレームスライダー(エンジンスライダー)には注意が必要です。スライダー装着によって、転倒時にフレームやクランクケースの損傷を、かえって大きくしてしまうケースがあります。取付の仕方や場所を吟味しなければ、逆効果になりかねませんので、ご注意ください。
 また、スライダーが本来の働きをし続けた場合には、転倒したバイクの滑りが良くなって停止するまでの距離が長くなることも、考慮しておいた方が良いと思います。

続・SRサブフレーム

2021-03-20
①KEDO製フューエルコック
②前=直付け/後=5mmカラー(左側)
③エンジンとのクリアランス
④純正フューエルコック想定仕様
 サブフレームに関連して、フューエルコックを「KEDO」に交換しました。

 左側サブフレームはフューエルコックレバーをぎりぎりに避けた設定にしていました。フューエルコックの大きさや形状によっては、その張り出しを抑えられるため、製作段階ではカラー(前10mm厚=M8ネジ用/後15mm厚=M10ネジ用)を挟んだ取付方法にしておきました。また、サブフレーム本体を極端に折れ曲がった形状にしたくないということもあり、この方法としました。結合剛性を考えるとカラーを挟まない直付けが最良で、どうしても必要な場合でも出来る限り薄くしたいところです。サブフレームの製作が終了したのちに、良いフューエルコックがないかと探してみました。

 他車種流用も含めて探したところ、「KEDO製」に行きつきました。この製品は、純正の負圧式オートコックを、シンプルな開閉式(ON/OFF/RES)にすることで流量を上げて、FCRキャブレターなどに換装した際に用意されている商品のようです。シンプルな故にコンパクトに出来ています。また、ヤマハ車のコックは2点止め式で取付方向が変わらないのに対して、中央の差込口の大ナット1点止めに変換されており、取付方向の調整が可能になっているのも望ましい製品でした。

 コックベースをタンクに取付けコック本体をセットすると、レバーの位置は純正コックとほぼ変わらない高さになるものの、コンパクトになった分少しはサブフレームとのクリアランスが出来ました。その後、取付方向を回して変えていくと、クリアランスが最大限に広がりつつ、吐出口も周りに干渉しないところが見つかりました。

 その結果、「=カラーmm」にすることが出来ました。製作時点で前後5mm差だったので、最善の結果となりました。

SRサブフレーム

2021-03-06
①真上から見た左右サブフレーム
②右側サブフレーム
③左側サブフレーム
④右側面
⑤左側面
 モノショック仕様SRを製作しようとフレーム加工をした際に、ハイグリップラジアルタイヤを想定して補強は施していました。ヘッドパイプ周辺やメインパイプ/アンダーパイプなど各部連結部・ピボット周辺といった箇所への補強です。SRのフレームは基本的にはセミダブルクレードル(アンダーパイプ下方で2本に分かれた型)で、メインパイプがオイルタンク(ドライサンプ方式=エンジンの外にオイルを貯める)を兼ねた極太丸パイプとした構成になっています。シンプルな構成のわりに、極太メインパイプで思ったよりしっかりとしていますが、シンプルな構成であるがために、補強出来る箇所も限られています。現状から更に剛性アップをねらうには難しいものがありました。

 サーキット専用であればメイン部材から作り直すことも考えられますが、あくまで公道を走らせられるSRにしておきたいので、ここではサブフレームを装着することにしました。以前にも考えたことはありましたが、SRの雰囲気を壊しそうで躊躇していました。それでも、エンジンが良くなるにつれて剛性不足(特にネジレ方向)が顕著になってきたので、なんとかしたいと決断しました。

 市販のサブフレームではエンジンマウント間(前/後)を繋ぐ型が多いのですが、SRのようにエンジンがリジットマウントの場合には、ほぼ無意味(エンジンその物のほうが剛性が高い)となります。理想はサイドパイプ式ダブルクレードルフレームのメインパイプのように、ヘッドパイプとピボット部近辺を直接結ぶ線を描くことだと思いますが、現状のフューエルタンクやエンジンを避けるレイアウトで、出来るだけこれに近いところに装着するようにしました。

 左側はヘッドパイプ下方のアンダーパイプに炭素鋼(S45C)製ボス(M8ネジ2個)・ピボット上方にM10ボス(1個)を溶接してサブフレームを取り付けます。右側はステアリングダンパーブラケットをすでに取り付ける加工を施していたので、このダンパーブラケットに接続することにしました。
 サブフレーム本体には、以前に入手(特注品のおすそ分け)していた、アルミ7N01材製「桜パイプ」(通称=4隅がリブ状になった角パイプ)を用い、同じく7N01製の板材(10mm厚)とボスを製作して溶接しています。連結するダンパーブラケットはやはり7N01材の丸棒を組み合わせて溶接して製作していました。連結してサブフレームの一部として使うのにも、充分な剛性があると考えています。
 形状はあまり横へ張り出さないように、シリンダーヘッドのフィンの上部を通し横方向軽く曲げたものにしました。右はカムポジションインジケーターを覗けるように、左側はフューエルコックレバーを避けるぎりぎりに設定にしています。

 さて、これで実際に剛性アップが図れたのか?効果のほどは?

※2021冬(オフシーズン)に予定していた、SRカスタマイズ3点(ワンオフパーツ作品集にパフォーマンスダンパーブラケットを掲載)の製作が出来ました。バイクシーズンを待ちそれぞれ順にテストをしていきます。セッティング作業を含めて忙しくなりそうですが、シーズン到来を待ち遠しく感じています。(ぼちぼち進めていく予定です)

※心配していたルックスですが、サブフレームの描くカーブのおかげで、アルミタンクやエンジンとのマッチングが意外と悪くないな(個人的に)と感じました。いかがでしょうか?



SRエキゾーストパイプ仕様変更

2021-02-11
新(下)旧(上)テールパイプ
最低地上高変更(UP)
 エンジン本体の仕上がりがかなり良くなってきたところで、排気系を見直してさらに煮詰めてみようと思います。

 現状では、実用出来るエンジン回転数は約2000rpm~7500rpmの範囲で、4000rpm前後からしっかりしたトルクがのってきて、7200rpm前後でピークパワーを発揮し7500rpmまで回転が伸びるといったところです。最高回転数はもう少し伸ばせそうですが、これ以上引っ張ってもパワーは落ち始めているので加速は鈍るため、7500rpmをシフトアップのタイミングにしています。現状の中回転域のトルクを含め、特に6000rpm位からの高回転域にパワーの上乗せが出来ないかと考えて、排気系を見直すことにしました。サイレンサーをもっと抜けの良いものにすればパワーは乗りますが、明らかに音が大きくなってしまうので、エキゾーストパイプの仕様変更でパワーアップを狙うことにします。

 RC390でも試しましたが、シングルエンジンでは脈動効果を上手く(エンジン本体の特性に合わせて)使うと、結果として高い充填効率(燃焼室内の)を得ることが出来ます。排気ガスの膨張・収縮による圧力変動を起こさせている、細目のパイプから太いパイプへと導くタイミングとその後の細く絞るタイミングまでの長さを変えると特性を変化させることが出来ます。※それぞれの内径を変えることなど、その他の要因でも特性は変化します。
 この度は、主にテールパイプ側の太い部分(60.8mm径)の長さを短くしてみます。旧バージョンに比べて約2/3の長さに設定して製作しました。サイレンサーのレイアウトやパイプの取り廻しのスペースを考えて、細い部分(42.8mm径)は約120mm延長しています。この仕様変更に加えて最低地上高が低めなのが気になっていたため、フロントエキゾーストパイプのエンジンから下向きに配管されている部分を20mm短縮しておきました。結果、細いパイプ部は差し引き100mmの延長となりました。テールパイプはバンク角対策も考慮して車体に沿う形状にして、後端は追加工の余地(短縮/延長)を持たせるため、直線部を110mmに設定しています。

 7000~7500rpmの回転数は、SRにとっては高回転域になりますが、他車種(RC390など)では中回転くらいに相当します。RC390では良い効果(最高速6~7km/h向上=岡山国際サーキット)が得られましたが、SRではどういう結果が出るでしょうか?シーズン到来次第、セッティング&テストを行う予定です。
 
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