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パドックⅢ カスタマイズ計画 ブログ
ラジアルマスターシリンダー換装(RC390)
2022-10-18
気が付けば、もう10月に入って「走行会」が迫ってきていました。※今年度は3年ぶりに「岡山国際サーキット走行会」を、10/25(火)に開催します。
2022シーズンに入って以来、SRばかり乗っていて、出来ればSRを走行会で走らせたいと思っていました。ただ、リヤショックアブソーバーの「減衰力不足」の問題が残っていて、サーキットを走らせるのは無理が有りそうでした。そんなわけで走行会には、やはり「RC390」で走ることにしました。昨シーズン後半に、「YSSフォークカートリッジKIT」を組み込んで、かなり良い感触だったので、こちらも期待するものはあります。※今シーズン全く乗っていませんが。
5月に「Y様号」と共に車検・整備を施して検査を受けていましたが、その際にY様号にフロントマスターシリンダーの「液漏れ」が見つかっていました。その対処として、オーバーホールよりも「換装」を選ばれて、「ブレンボ製RCSラジアルマスターシリンダー」に換装することなりました。
近年、「RCSタイプ」はサイズ設定(特にシングルディスク用サイズ)が増えていて、そのチョイスは一任されました。比率を計算するとシリンダー径14mmか15mmのどちらか(純正は横押し11mm)になりましたが、どちらかと言えば初期から「カッチリ」系が好みということで、15mmを選択しました。RCSタイプはレバーレシオ可変式(20or18=支点から作用点の寸法)ですので、装着後に実走して試された結果、「20=握り代は短目」に設定されました。※ご本人のフィーリングに合うことが一番大事ですので、ここではお任せして口出しはしませんでした。
試走はしませんでしたが、レバーを握った感触は「ブレンボ製ラジアルポンプ」の好ましいもので、自分のRC390にも是非とも装着したいと思わせられました。
そこで、展示を兼ねて仕入ていたのが、「RCSタイプ14mm」です。15mmに比べて、握り代は長く(深く)なりますが、制動力は大きくなる方向(パスカルの原理による)です。320mmシングルディスク&メタリカ製パットの組み合わせで、そこそこまともな制動力を得られるようになっていましたが、出来ればもっと上げたいと思っていたので、少しでも制動力を上げられればと考えた選択でした。※力学的には「15mm径×18」と「14mm×20」では、同じ程度と言えますが、フィーリングに違いは出るものなのか興味のあるところです。
車検の後に少しは乗ってから換装しようと考えていたものの、全く乗ることが無かったため、ずっと展示品になっていました。結局、走行会にはRC390を走らせることにしたので、その前に換装することにしました。
装着に当たっては、本体とリザーブタンク&ホース(ブレンボ製)の他には特に必要となるものは有りません。ブレーキホースも上下(マスター/キャリパー)を逆にすることで、この仕様でも純正ホースを再使用出来ました。リザーブタンクはトップブリッジにネジ穴加工(強度に問題の無い場所に)を施して、ステーを用いない取付方法としました。ラジアルマスターシリンダーは周辺のカウリング類に干渉することが少なくありませんが、純正マスターシリンダーよりもクリアランスを取ることが出来ました。レバーレシオの初期設定は、20mmにしています。
これで、2022走行会仕様となりましたが、YSSフォークカートリッジと共にサーキットでのパフォーマンスに期待が高まりました。
※16日(日)が思わぬ好天となってくれたので、ワインディング路で試走することが出来ました。ブレンボ製ラジアルポンプのフィーリングは、やはり抜群でした。レバーの引き始めからの制動力の立ち上がりがリニア(比例的)で、引き代に応じた制動力の強まり方は、抜群のコントロール性です。パッドを押す力が大きくなったようで、制動力もいくらか上がっていて、ブレーキング終わり(旋回始め)で速度が少し落ち過ぎるくらいでした。コントロール性はたいへん良いので、あとはサーキットですぐに調整(人間の)出来るでしょう。走行会(走る主催者です)が楽しみです。
続・続エンジンシュラウド(SR)
2022-09-29
猛暑対策として製作した空冷SRのための「エンジンシュラウド」ですが、9月に入ってもまだまだ暑い日も多くエンジン冷却の必要性は高く、早く効果のあるものにしたいところです。
とはいえ改修を施して以降、数回はワインディング路へ出かけたのですが、結局は8月上旬と同じような気象条件とはなりませんでした。※一度は良い(?)条件(気温30℃以上)だったのですが、珍しく交通量が多く走り込むことは出来ませんでした。それでも、気温26~27℃位で走らせられたので、同じくらいの気温だった6月の時のデータを比較してみることが出来ました。
6月の時(気温25~27℃で2回)のデータは、シリンダー温度=85~86℃/油温=89~90℃でした。そして、改修したシュラウドでの結果は、シリンダー温度=83℃/油温=89℃となったのでした。改修前には、ワインディング路では冷却効果を得られなかったものの、改修を施したものは2~3℃とわずかながら温度を「下げる」ことが出来たようです。一般道でも50km/hを超えれば温度上昇を抑えるようになっていましたので、冷却性能を高めたのは確かなようでした。
これ以上を望めば、さらに導入部分を前方に伸ばせば効果を上げられるとは思いますが、それでは「空気抵抗」が膨大になると思われます。そこで最終的な形として、前後寸法はそのままで、「上下」方向に広げて形を整えたものに作り直すことにしました。左右それぞれの溶接部から切断して、新たに切り出した導入部分を溶接し直して仕上げました。上下方向に「台形」状にして、導風効果にいくらかでもプラスαがあるかもしれません。アルミ7N01材は溶接部の強度がほとんど落ちないので、作り直しをしやすいのもメリットです。
再改修を施したものの、さすがにもうそんなに暑くなることも無いかと考えていましたが、台風接近の影響でかなり気温が上がった日に走らせることが出来ました。現地では、気温30℃にわずかに至りませんでしたが、28~29℃でかなりの蒸し暑さでした。
この環境下で、シリンダー温度=85℃/油温=89℃に抑えて、約30分程度を走りきることが出来ました。途中、前走者(4輪車)におとなしく従って低速(40km/h以下)走行すると、たちまちに温度が上昇してしまいますが、ペースを戻すとどんどん温度を下げることが出来ていました。狙った通りとは言えませんが、ある程度効果のあるものになったと思います。
気温の低下も手伝って、シリンダー温度85℃前後で走ることが出来ましたが、やはりエンジンに「元気」があります。熱ダレによるパワーダウンやレスポンスが鈍くなることも無く、最後まで「気持ちよく」走ることが出来ます。人間の方が、暑さに負けてしまうくらいです。今シーズン中には、もう30℃(現地の)を超えることは無いと思いますが、このシュラウドなら最暑期でも、シリンダー温度を90℃未満には抑えることが出来そうです。来シーズンには、もう少し工夫を加えてみようと考えています。
※1:ちなみに、再改修してからの復路(多くは下り)では、シリンダー温度・油温とも70℃前後まで下げられてしまっていて、すでにオーバークールに近い状態でした。とりあえず「ワインディング路専用」と言える結果となりました。
※2:本来ならシュラウドの必要のない季節になってきますが、ワインディング路でエンジン温度70℃台(80℃未満)で走らせるとどんなパフォーマンスになるのか?確かめておきたいので、もう少し装着したまま走らせるつもりです。
続・エンジンシュラウド・SR
2022-09-10
お盆休み前になんとか「エンジンシュラウド」のテストが出来たのですが、早速「手」を加えることになりました。
そのテストですが、先にエンジンシュラウド無し(防風シュラウドは装着)でのテストした結果は、シリンダー温度=93℃/油温=101℃(晴れ・現地の気温30~32℃位・ワインディング路30分程度走行後)でした。昨年の最暑期に、油温100~101℃でしたので、ほぼ同じ程度の油温だったことから、「防風シュラウド」の効果が確認できました。
油温の「暖まりを速める」効果とともに、ある程度上昇してから(65℃前後)はシリンダーへの冷却効果で、油温の上昇も「抑える」効果が発揮されるようになるようです。ただ、かねてからの推測通り、シリンダー温度は90℃を超えていました。
次の「エンジンシュラウド」のテストもあまり日を開けることなく、ほぼ同じ気象条件で行うことが出来ました。市内では猛暑日になりそうな天候で、暖気運転を終えて走り出す時点で、シリンダー温度は70℃(油温40℃)になっていました。
走り始めた市内走行(60km/h以下で約3km)では前回テストと「変化」は見られずにシリンダー温度はどんどん上昇して、83℃まで上がっていましたが、そこから自動車道に乗って速度を上げていく(80km/h位)と、シリンダー温度が下がり出し、約2kmで76℃(-7℃)まで落ちました。エンジンシュラウド無し(防風シュラウド装着)でもこの区間で3℃位は下げていましたが、それよりも温度を下げていて、とりあえず冷却効果が上がっていることが確認出来ました。
目標であるワインディング路での効果にも期待が高まりましたが、実際のワインディング路走行の結果、シリンダー温度=94℃/油温=101℃となり、エンジンシュラウド無しとほぼ同様の温度まで上がってしまいました。
この結果から、高速度域(60km/h以上)では冷却効果が上がるものの、低速コーナー主体のワインディング路では十分な効果を得られない(足らない)ようでした。
そこで次の手を加えることにしました。手を加えた点は、主に、より多くの走行風を取り込むように、先端の導入部分を延長してみることにしました。加えて、左側のシリンダーに沿う面が短めだと思われたので、前後に延長させて作り直すにことにしました。手持ちの材料(アルミ7N01材2mm厚板材)が乏しかったため、今回は必要最小限の材料で行いました。
右側は、現状の先端に約40mm分(上下は同寸)付け足しました。左側は、シリンダーに沿う面を新たに製作した上で、導入部分も延長した物を製作する予定でしたが、材料が足らなかったため、導入部分には元のシュラウドを使える部分をカットして再利用することにしました。※先端付近に穴が2個あいていますが、グロメット挿入用の穴が残っているためで、空力的な意味はありません。
実に間に合わせのようになりましたが、実際に暑い時期のテストに間に合えば良いのですが。※改修自体は8月下旬には終わっていますが、前テストと同じような気象条件にはなかなか恵まれずにいます。
ブレンボRCSラジアルマスター&ステンメッシュホース・隼
2022-08-27
カスタマイズ事例で紹介している「GSX1300R・隼」に、ブレンボ製ラジアルマスターシリンダー(ブレーキ&クラッチ)とステンレスメッシュホースを装着することになりました。
2代目「隼」はフロントキャリパーには、「ブレンボ製モノブロックラジアルマウントキャリパー」を標準装備されていますが、マスターシリンダーは「ニッシン製」でなおかつ「横向きマスターシリンダー」となっています。当店で、他のお客様のカスタマイズされた車両を見るたびに、ブレーキ系のスープアップの必要性を感じられたそうです。そこで、「ブレンボ製RCSラジアルマスターシリンダー」に換装することに決められました。
また、重さ(レバーを握る握力)が気になっていた「クラッチ側」も、いっしょに換装してしまうことにされました。握る力の軽減化と共に、「半クラッチ」のコントロール性向上も見込まれることを説明すると、さらに期待を大きくされたようです。同時に双方とも、タッチやフィーリングに影響するホースも、「ステンレスメッシュホース」に変更することになりました。
「カウリング車」の場合、ラジアルマスターシリンダーを装着しようとすると、カウリング等と干渉する可能性が高いのですが、「隼」でもやはりその問題が起こりました。特にこの車両には、ライディングポジションを楽にするための「ハンドルアップスペーサー」を装着されていたため、双方(ブレーキ/クラッチ)共カウリングに干渉してしまう状態でした。カウリング側を加工するわけにはいかないので、相談して取り外させてもらうことにしました。※「隼」の純正ハンドルはハンドルバーの絞り角などの調整・移動は出来ない構造です。
するとクラッチ側はクリアしましたが、ブレーキ側はまだハンドルマウントブラケットと干渉している状況で、何らかの加工が必要となりました。考えた結果、差込式のハンドルバーを加工して、僅かに外に移動させることで綺麗に取り付けることが出来ました。
ABS仕様の「隼」の純正ブレーキホースは、他社同様にゴムホースと金属パイプの組み合わせなのですが、他社ではフレアナットを使ってホースとパイプを連結している物が多いところ、この車両では「カシメ」てしまっている物(クラッチ側も)でした。そのため、全て(ABSユニットに接続するまでのパイプ部を含め)をメッシュホースに換装するしかありませんでした。フレームとエンジンの狭い隙間を通すレイアウトのため、必要な長さやフィッティング角度を割り出すのはかなり困難だったので、この度は「アクティブ製グッドリッヂ・ビルドアライン」の「車種専用KIT」をベースにすることにしました。※マスターシリンダーの変更のみの場合、必要な「長さ」はほぼ変わらないためです。
ホースを取り廻したところ、最終的にマスターシリンダーに接続する「バンジョウアダプター」の角度を変えて適切な配管にすることが出来ました。ちなみに「アクティブ製KIT」では、ABSユニットとの接続部にスズキ純正と同じ「フレアナット式」にしてありました。フレアナットのネジ部はバンジョウボルト(M10-P1.00)と同じネジ仕様なので、一般的(ブレーキホースとしては)な「バンジョウアダプター式」にしても良いと思いますが、わざわざ短いフレアパイプにカシメてあり、すごく凝っている印象でした。
また、RCSクラッチマスターシリンダーには機械式スイッチが設定されていないので、「油圧スイッチ」を追加してクラッチスイッチに対応することなりました。※「隼」のように近年のスズキ車では、クラッチスイッチ回路が「ON」のまま走行するとECUがエラーと判断するらしいです。
※「ABS(アンチロックブレーキシステム)」が、とうとう完全義務化となりました。その効能(前輪がロックしないこと)は認めるものの、「レバータッチやフィーリング」は、とても良いとは言えないシステムですが、だからこそ「ブレンボ」などの、よりコントロール性の高い製品に換装する効果があるのかもしれません。
エンジンシュラウド・SR
2022-07-28
6月上旬に乗って以来、都合が合わなかったり天候に恵まれず、SRに乗れないまま梅雨明けを迎えました。その後も梅雨に戻ったような天候が続いていて、いまだに乗れずにいますが、いずれにしても猛暑が返ってくると思い、SRに「猛暑対策」を用意しました。
SRのエンジンチューニングに取り組んだ当初から、BIGフィン加工を施していましたから、真夏でもオイルクーラーを必要としない程度の冷却効果は得ていました。ただ油温は100℃以下に抑えられていたものの、気温30℃超の中30分位高回転まで使う走行を続けると「熱ダレ」の兆候は見られました。軽いオーバーヒート程度ですが、多少パワーダウンを起こし、レスポンスも鈍くなる状態になっていました。
昨年の最も暑い時期には、シリンダー温度は測ってはいませんでしたが、おそらくは90℃前後になっていたと思われます。水冷車ですが、レースでは4stエンジンの適正水温は70℃台でした。80℃を超えると顕著にピークパワーが落ちていましたので、空冷とは言えSRでももう少し冷却性能を上げて冷やしてやりたいと思っていました。
すでにBIGフィン加工を施してあるため、次にはオイルを冷やして(オイルクーラー)エンジンの内側から温度を下げる方法が一般的ですが、油温が下がり過ぎるのも心配なので、やはりBIGフィンのように、直接シリンダー&シリンダーヘッドを冷やす方法を考えてみました。
考えたのは、より効率的に走行風をエンジン(冷却フィン)に当てることが出来るようにする方法です。そこで、「エンジンシュラウド」を作ってみることにしました。。
水冷車の「ラジエーターシュラウド」のように、走行風をエンジンに向けて取り込むようにしました。また、エンジンとの距離(クリアランス)を小さ目に設置して、より流速を上げて冷却効率を上げることを狙っています。※どの程度の効果があるかは不明です。
シュラウド本体は、アルミ7N01材の2mm厚板を用いました。本来ならば、薄板を折り曲げて作れば良いので2017材(ジュラルミン)で充分なのですが、ブレーカー(金属板折り曲げ加工機械)を持っていないので、角度を付けて溶接して製作するため溶接に適した7N01材にしました。上下のステーは2017材で、上側はサブフレームに下側はエンジンカバー共締めにしています。シュラウドをラバーマウントにして振動対策としました。冷却性能を考えれば、もっと大きく(特に導入部分)した方が効果を見込めると思いますが、エンジンなどを全て隠してしまうと空冷エンジンに見えなくなってしまうため、いくらかは覗く程度にしておきました。
実は、このシュラウドを考案・製作したのは、「防風シュラウド」を製作した直後(冬)でした。当初は冬季に「防風シュラウド」、夏季に「エンジンシュラウド」を使い分けるように考えていましたので、画像では単独で撮影(エキパイも旧型)していました。その後「防風シュラウド」のシリンダーフィンへの導風効果(想定外のエンジン冷却効果)があることが判り、現在(7月)でも装着したままなので、併用した状態でテストする予定です。もしかしたら、相乗効果で良い結果が得られるかもしれません。
※まずは「防風シュラウド」の高温時(気温30℃超)での確認をしてから、「エンジンシュラウド」を装着することにしています。