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カスタマイズについて

 パドックⅢでは、豊富なレース活動で得た経験を元に、その知識と技術を傾注して、お客様のご要望に最適なカスタマイズとなるように取り組んでいます。
 また、走行性能に限らず、安全性能や環境性能・保安基準などを含めた取組みで、安心してお乗りいただけるバイク作りを目指しています。

パドックⅢ カスタマイズ計画 ブログ

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外装一新・ゼファー400

2025-01-06
    ①FX外装SET
       ②下色
 ③上色(オリジナルブルーマイカ)
④別体調整式リヤタンクブラケット
    ⑤タンクエンド
⑥テールカウル(差込ボス別体)
⑦フェンダーレスKIT(付属)
⑧KAWASAKIエンブレム(純正アクセサリー)
 カスタマイズ事例で紹介している「ゼファー400」ですが、この度外装を一新することになりました。
 
 きっかけは、転倒によってフューエルタンクに凹みが出来てしまったことです。私自身の事故と同じパターン(カーブの出口に停車している4輪車を避けるため)で、衝突には至らなかったものの転倒は避けられなかったそうです。ハンドル周りがタンクにめり込んで作られた凹みは、塗装剥がれは無かったため、一旦塗装を剥がさずに行う「デントリペア」を試してみました。広い範囲(直径約10cm)では引き出すことが出来たのですが、局部的(8×20mm深さ4mm程度)な凹みは出すことが出来ずに残ってしまいました。これ以降はタンク内側から叩く(内板を開いて)か、パテ埋めするかしか手が無いのですが、いずれにしてもペイントし直すことになり、それは当店の現状では難しい(特にこのタンクは以前に鈑金・再塗装歴の有るキャンディカラーのため更に手間が掛かります)ので、程度の良い中古品に換えるなど「交換する方向」で検討していただくことになりました。

 そこで、ひとつの案として提案したのが、ドレミコレクションさんの「FX外装KIT」への換装です。
 ゼファー系のタンクは、ZⅠ/Ⅱ系のデザインを継承していて、タンクエンドの盛り上がりの無い「ティアドロップ形」とされています。バイク単体のシルエットは格好良い(事実人気は今でも高い)のですが、ライディング(特に現代的なスポーツライディング)の面では、コーナリング時のホールドが難しく非常に乗りにくく感じていました。
 ドレミコレクションさんのサイト情報で「FX外装」が発売されているのを知った際に、FX系のデザインならば、若干タンク長が短いものの、タンクエンドの「盛り上がり」が出来るため、ライディングには適しているだろうと考えていました。
 金額的にもセット内容(フューエルタンク・サイドカバー・テールカウル・テール/ストップランプ付フェンダーレスKIT・シート)を考えれば、結構リーズナブルとも言える内容となっていたため、そこを含めて検討していただきました。

 そして出された結論として「FX外装」への換装に進むことになりました。
 ドレミコレクションさんでは、Z400FX各年型のカラーリングを施した塗装済セットと無塗装(タンクはプラサフ仕上げ/ABS製カバー類は無塗装)セットがラインナップされています。お客様自身も元来「FX」にしたいわけではないので、無塗装セットを購入して「オリジナルペイント」を施すことになりました。カラーリングは色々と悩まれたようですが、最終的に「ブルー系一色塗り」とされました。その色合いは、「キャンディカラー風ブルーマイカ」(青系塗料に粗目のパールWを多目に混ぜて奥行・透明感を出しています)にして、塗装工程を少なくしつつ、再塗装(部分塗装)を可能にしています。※キャンディカラーは基本的に部分塗装が出来ません

 セットに含まれるオリジナルシートの形状と併せて、かなりホールドし易くなって、ずいぶんとライディングに適したバイクに変わりました。

※好みは分かれますが、タンクエンドにパット(硬質な)を加えれば、さらに良くなりそうです。

※参考までに、ドレミコレクションさんの外装セットの価格は、塗装済セット221100~259600円(税込)・無塗装セット135700円(税込)で各々シートレザーのデザイン違いの組み合わせが可能で、ラインナップが豊富となっています。
 
 

サーキット走行記・SR

2024-12-10
 このSRを製作した当初に、お披露目がてら走行会で一枠だけ走らせたことがありましたが、この時はまだチューニングレベルも低く、またエンジンへの不安もあって、ごく軽く走らせただけでした。
 ここのところ、エンジン・車体ともに結構良い感触を持てるようになったので、実際にはどれほどの仕上がり(サーキットレベルで)になっているのか確かめるのに良い機会だと思っていました。サーキットを本格的に走らせるのは初めてと言ってよいので、できるだけパフォーマンスを引き出して走らせるつもりで、走行会にのぞみました。

 当日は枠目の気温が17~18℃でしたが、サーキット走行(高い速度域と高回転の常用)でのシリンダー温度や油温がどうなるのか?予想がつかないので、シュラウドは装着したまま走り出すことにしました。
 慣熟走行の先導では、エンジン回転は低く抑えて(速度は約100km/hまで)いるので、暖まっていたエンジンも温度が下がってしまいます。フリー走行に入っても、いきなりはスロットル全開にも出来ず、まずは暖めながら徐々にアクセル開度とエンジン回転を上げていきます。
 そこそこ温度が上がったところで全開走行に移りますが、それでもエンジン車体周りの確認をするために、まずは枠目は7500rpmまでと定めて走ってみました。
 エンジンは、異音やおかしな振動を起こすことなく油圧も安定していて、まずは安心出来ました。出力的には、まだ上の回転で伸びそう(パワーカーブの盛り上がりの途中)な手応えがありました。中速コーナー(ワインディング路ならば超高速)立ち上がりにおいても中回転域のトルクもしっかり(そこそこ?)出ているようで、なかなか良い加速をしてくれます。スピートの乗りも思ったより良く(全伏するとトップブリッジ上のスピードメーターが近すぎて老眼の目では読めませんでした)、エンジンの仕上がりはまずまず満足出来るものでした。
 温度管理は、1枠目の終了時点で、シリンダー温=85℃(最高値)/油温=90℃近辺でしたので、シュランドは必要なのが分かり、2枠以降も引き続き装着して走ることにしました。(空気抵抗が大きくなるため、出来れば外したかったのですが)

 車体周りは、事前にリヤスプリングのイニシャルプリロードを回転(1mm)強めていたのが大体良かったようで、初期旋回二次旋回良いフィーリングです。ストレートエンドの減速からコーナー進入にかけても、フレームの「ヨレ」もあまり感じないほどで、剛性感にそれほどは不足は感じませんでした。欠点としては、ホイールベースの長さのため、旋回半径(最大バンク中の一時旋回)が少し大きくなってしまい「クルッ」とした向き変えが出来ず、その辺りに鈍さを感じました。その代わり旋回中の安定感は高く、自身久しぶり(2年ぶり)のサーキット走行としては、初めから安心して楽しむことが出来ていました。

 枠目には、エンジン回転の上限を徐々にあげて、終盤には8000rpmまで使うようにしました。やはり7500rpmからさらにパワーが乗ってきて、よりスピードの乗りが良くなりました。ただ、高回転を維持する時間が長くなってなって、油温はラッブを重ねるごとに上昇してきて、走行枠が終わる頃には98℃まで上がっていました。※シリンダー温度はそれほどは上がらず90℃近辺(油温と違い速度によって細かく変動しています)です。
 また、シフトポイントが変わってきて使うギヤに迷うことも有りましたが、まだ「走り」が定まっていないので、スプロケット(2次レシオ)は、そのままで走ることにしました。※サスペンションやキャブレターのセットもおおむ良さそうで、そのままです。

 午後の枠目に入る頃には、かなり雲が厚くなり、いつ雨が降り始めてもおかしくない状態でしたので、早めペースアップ(タイヤのウォームアップは欠かしませんが)するつもりでコースインしました。
 周目後半(Q5暖まり性は良く、1ラップで手応えは出ていましたが念のため)の、全開走行開始から8000rpmまで引っ張るようにしてペースアップに挑んだものの、そこそこペースが上がってきた周目にはポツポツとが降り出しました。コースの一部だけなのと、勢いが増すことが無かったので、少しベースを落とした走行を続けながら3周ほど様子をうかがっていましたが、また雨の勢いが増し始めたところで、残念ながら走行を終わることにしました。
 
 SRでの初サーキット走行を無事に終えましたが、その仕上がりにも満足(とりあえず)のいくものとなりました。

スピード的には、ストレートエンドのエンジン回転数(最終的に5速8000rpmにギリギリ届くかどうかといったところ)から計算(目視では確認出来ず)して170km/h程度は出てくれました。最近の体感では、RC390のノーマル同等程度のパワーかな?と感じていましたので、ほぼ実証出来ました。
 ストレートエンドの回転数や各コーナーのつながりを考えて、リヤスプロケットはもう1T小さい(ロング)方が良かったようです。

タイム的には、2枠目の終盤に2’04’’台が出ていて、一昨年に自身の「RC390公道仕様(インナーサイレンサー装備)」で出した秒台に近いタイムを記録出来ました。枠目でもう少し縮める余地はあったとは思いましたが、周目に秒台に入れたところでペースダウンして終わりました。ちなみにRC390サーキット仕様(インナーサイレンサー無し)では、1‘59‘‘台でしたので、それが今後のSR目標です。

※油温は、走り始めから8000rpmまで使った枠目(気温も上昇)には105℃まで上がっていましたので、やはりオイルを冷やす必要性(オーバーヒートには至りませんでしたが)がありそうでした。実質サーキット走行のためだけとなりますが、来年に向けて「オイルクーラー」の装備を考えています。
 また、もう少しパワーも上乗せしたいところなので、サーキット用に「オリジナルサイレンサー」(現在はJMCA規格品)を製作しようと思います。 

2024走行会仕様・SR

2024-11-23
        ①
        ②
        ③
  ④クロモリ鋼フロントシャフト
   ⑤改良型シュラウド
 ⑥リヤスプロケット&ホルダー(表)
      ⑦同(裏)
 今年の夏は、シュラウド改良オイルポンプ強化油圧センサー移設など、主にエンジン冷却効果保護効果を進めて、猛暑を乗り切るためのカスタマイズを進めて来ました。その後は、天候や予定がかみ合わず乗れずに過ごしていたら、もう10月に入って走行会も迫る時期になっていました。

 本年のカスタマイズ計画のために用意していた物で、残るは車体系の「クロモリ鋼製フロントアクスルシャフトPeo製ゼロポイント」でしたので、事前に組み替えておきました。出来れば、走行会前にいつものワインディング路で比較しておきたいと思っていたところ、なんとか走らせる機会を得られました。
 実際に走って感じるのは、フロントタイヤの接地感が高く(良く)なったようです。フロント周りの剛性が上がって余分な(細かい)しなりが減って、タイヤからダイレクトに伝わっているように感じました。

 これで走行会へのぞもうと思って、タイヤを「ダンロップQ5」に履き替えて走行会の準備をしましたが、もう1日走る機会が出来たので、タイヤの比較もしてしまうことにしました。
 「α14」からの履き替えですが、グリップ力が高くなっているのは明らかでした。特にフロントタイヤの旋回性が上がっているのが印象的で、接地感も高く(クロモリシャフトの効果と相まって)安心してコーナーに進入出来ます。ただ、リヤタイヤのグリップが良すぎるのが影響しているのか、コーナー立ち上がり(二次旋回)で外に押し出されて、想定よりも「はらむ」ようになっていました。その辺りはリヤ周りのセッティングで解消できそうでしたので、走行会で試すことにして、走行会仕様となりました。
 SRでの本格的なサーキット走行は初めてですので、どんな走りが出来るのか楽しみです。

※走行会のためではないのですが、リヤスプロケットを変更(43Tから44Tへ=画像⑥⑦)しました。オイルポンプを強化して、かなり安心感を得られたので、8000rpmのリミットまで常用(特定のシチュエーションですが)出来るように設定しました。(RC390もそうなのですが、ファイナルレシオ=二次減速比が通常使っている物で、岡山国際サーキットにほぼ合っていたので、走行会前でしたが変更することにしました)

※このブログを書き始めたのは走行会に向けた準備中でしたが、走行会前には書ききれませんでした。その後の忙しさから掲載までずいぶんと遅れてしまいました。すでに走行会の実施報告も掲載していますので、そちらもご覧ください。

油圧センサー移設・SR

2024-09-28
        ①
        ②
        ③
         ④
 前回「オイルポンプクラッチ換装」を紹介した際の完成画像で、本来エンジン外観には何の変化も無いはずのところ、クラッチカバー純正には無い物が付いていることに気付いた方もあったと思います。

 オイルフィルターカバー隣の突起状の物ですが、 あれは「オイルプレッシャー(油圧)センサー」取付用に新設した「センサーアダプター」です。※その画像では、オイルポンプ換装による油圧変化の観察用にブラインドプラグで塞いでいます。

 油圧計を装備しようと考えた際に、デリバリーパイプ(シリンダーヘッドへの外部通路)のオイルボルトを使って、センサーアダプターをネジ止めする方法ならば、エンジン本体に加工をしなくても済むと思い、デリバリーパイプ基部から油圧を検出することにしたのでした。この検出点は、オイルフィルターを通過したオイルが、クランクシャフト(~コンロッド~ピストン)系と分岐した後の、シリンダーヘッド(ロッカーアーム~カムシャフト)系へと圧送される途中となり、本来の値より低い油圧を示す地点になります。
 潤滑状態を観察する目的なので、その目安となる程度の数値であれば問題無かったのですが、結果的にあまりにも低い数値にしかならず、とても状態の変化(異常の兆候)をつかむことは出来そうにありませんでした。

 そのため、潤滑経路が分岐する前の段階に設置し直したい(エンジン側の加工を前提に)と思っていました。「オイルポンプ」を換装するに当たって良い機会だと思い、SRの「潤滑系統」に関して、あらためて調べてみることにしました。※通常の整備では、オイル通路内をキレイに洗浄することに気を使ってはいても、そのエンジンの潤滑経路がどうなっているのかを、調べることはありません(特有のトラブルが無ければ)でした。

 ドライサンプ式SRでは、図面上の経路(2系統の連携)を辿っていくだけでも、けっこう複雑になっています。その上、幅の狭い「縦割りクランクケース」で、クランクケース内だけではなく、クラッチカバー内にもオイル通路(オイルフィルターを含む)を設けてあり、現物の部品に置き換えて確認すると更に複雑さは増しています。オイルポンプの構造をはじめ、よく考えられたものだということが分かりました。

 本題の、油圧センサーの新たな検出点として、アダプター取付のための「加工」が出来そうなポイントは、ただ一箇所だけ見つかりました。それが、クラッチカバーのオイルフィルターに隣接した場所でした。
 その内部通路は、フィード側ポンプから圧送されたオイルがクランクケース内通路(約5cm)を経てクラッチカバー側に移った直後に当たります。「この通路」(画像④)から直接オイルフィルター収納部に流れ込み、フィルターを通過した直後(クランクケース側)ですぐに分岐してしまうため、候補になるのはこの点しかありませんでした。※クランクケースには、通路の外部に加工する余地はありませんでした。

 加工出来そうなポイントが見つかったところで、「センサーアダプター部材」(アルミ丸棒7N0115mm径・PT1/8ネジ・連絡通路孔3.5mm径)を製作しましたが、取付(溶接)には少し工夫が必要でした。
 上記通路は通路だけが突出した形状(円筒形でおよそ2/3が突出)となっていて、その外径は製作したアダプターより小さいものでした。また、周辺の形状からその部分に直接溶接することは不可能てしたので、まずは周辺との空間を橋渡し状に溶接で盛り上げ土台(画像②③)を作り、その上にアダプター部材を溶接する手法を施しました。その後、連絡通路からクラッチカバー側に通路孔を穿孔して完成させました。※一旦ブラインドプラグで塞いで、オイルポンプ換装による油圧変化を確認したのちに、油圧センサーを移設しました。

 これで、ようやく本来の油圧(フィード側潤滑系統の)を計測出来るようになりました。
 実際に計測(走行)してみると、油温90℃近辺で、0.1kg/cm²(2000rpm)~0.8kg/cm²(7000rpm近辺)と表示されました。この数値であれば、油圧の変動から、「潤滑系トラブル」を察知出来そうです。

※帰路の途中で停車している際の、アイドリング(1500rpm弱)回転では、kg/cm²を表示しました。これは、油温が高く流れやすい(吐出しやすい)状態で、送油量と吐出量がほぼ同量になって、通路の壁に掛かる圧力が極小さくなっているからです。ポンプの「エア噛み」や「故障」でオイルが送られていない状況での「kg/cm²」とは区別が必要です。少しエンジン回転を上げて圧力値が上がれば、送油はされていると確認できます。
 実際に、信号待ちの時に確認してみることがありますが、以前だとそこそこ回転を上げないと表示が変化してくれなかったので、今後は僅かなブリッピング(2000rpmまで上げれば良いので)で済むのも安心材料となりました。

オイルポンプ&クラッチ換装・SR

2024-09-14
    ①オイルポンプ配置
  ②左=純正/右=KEDO製
 ③強化クラッチKIT(FCC製)
        ④完成
 シュラウドでの冷却強化策が一段落したところで、今夏に予定していた「オイルポンプクラッチ換装」に取り掛かりました。昨夏の予定で用意していた「KEDO製強化オイルポンプ」と「アドバンテージFCC製強化クラッチKIT」を、ようやく組込むことになりました。

 SRオイルポンプは、2気筒以上のエンジンで一般的な独立したアッセンブリとなった物と違い、クランクケース直接組込まれているタイプです。SRはドライサンプ(エンジン外部にオイルを貯めるタンクを持つ)式ですので、オイルポンプはエンジン内潤滑用(フィード側ポンプ)と、主にオイルタンクへの送油用(スカベンジャー側ポンプ=ミッション系の潤滑も兼ねる)の2種類のポンプを重ね合わせたような構造となります。※ポンプの種類は一般的(4stエンジンでは)なトロコイド式です。

 場所はクラッチ裏の上方(画像①)に設置されています。奥(内)側のスカベンジャー側ポンプは、右クランクケース自体をポンプボディとして収納されて、仕切りを兼ねた手前のフィード側ポンプボディとカバーが突き出された形で取付けられます。フィード側ポンプの外に突き出たシャフトにギヤが取付けられクラッチアウター内側のギヤとかみ合い駆動されています。

 そこで作業はクラッチ関連部品を全て外して、オイルポンプの組み換えをすることになります。純正の状態でもあまり周辺(オイル通路を含めて)に余裕は無さそうでしたので、どのようにして強化(送油量約1.6倍らしい)されているのか?あらためて純正オイルポンプとKEDO製オイルポンプを比較してみました。
 KEDO製オイルポンプはフィード側だけを強化されたものなので、スカベンジャー側は純正をそのまま使用します。フィード側の専用トロコイドを、厚く(同径で純正mm~KEDO製6.8mm=画像②)することで、ポンプ容量を増しているようでした。※ちなみに、スカベンジャー側はやはり同径ながら、遥かに厚く13mm厚とされています。
 KEDO製オイルポンプKIT純正部品を組み合わせてクランクケースに組付け、クラッチ関連を組直す際に、フリクションディスククラッチスプリングを「アドバンテージFCC製」に置き換えて組付ければ、換装は終了です。

 これで送油量が増して潤滑不良(不足)のリスクが確実に減っているでしょうから、高回転を使った走行での心配が少なくなったと思います。※潤滑不良はポンプの送油能力だけではなく、スラッジによるストレーナー・フィルター・吐出口の詰まりや油膜切れなどからも起こりうるため、リスクが完全に無くなることはありません。

 組み終わってしまえば、エンジンの外観はなんら変わらず、送油量の変化(潤滑状態)も走って感じ取れるものではないのですが、油圧にはなんらかの変化は現れるのかもしれないと、次の走行機会にチェックしてみました。

 油温の低い暖機運転(アイドリング回転)の間から、油圧はこれまでより高目0.20.3kg/cm²)に表示されていて、時折回転を上げると、上がり幅はさらに大きくなっていました。走り出して油温の上昇とともにオイル粘度が下がってきても、徐々に圧力は低くなるものの換装前より確実に高い数値を示していました。
 本格的な運転状態(油温90℃近辺)では、低回転(3000rpm以下)では相変わらずkg/cm²を示しますが、回転を上げた際の圧力上昇の度合いが大きくなり、0.5kg/cm²くらいまでに高くなっているのが確認出来ました。※純正では高くても0.3kg/cm²でした。
 これ位の圧力アップを確認しつつ走行出来れば、安心感は高まり、より集中して走れそうです。

 加えて、もう一つ思わぬ効果があったのが確認できて、うれしい収穫となりました。
 前段で、本格的な運転状態を油温90℃近辺と書きましたが、油温・シリンダー温度共にオイルポンプ換装前(油温95℃/シリンダー温度90℃前後)ほど上がらなかったのでした。一回の結果では気象条件の違い(当日は薄曇り)も考えられるため、もう一度走行機会を持って確かめたところ、天候:晴れ(日差し強い)・外気温30℃の状況で、シリンダー温度85℃油温92℃という結果となりました。

 本来エンジンオイルには「冷却効果」があり、エンジン内部部品から熱を奪う役目を果たしているのですが、いくらか多くのオイルが供給されても、オイル自体を冷やさなければ(オイルクーラーなど)油温はさらに上がってしまうか、あまり変わらない程度の温度になるのではないかと考えていました。
 実際には、送油量の増したオイルがエンジン温度を下げ、冷やされたエンジンがオイルを冷却するというような好循環が起こったのではないかと思われます。

 これまで「ビッグフィン加工」「シュラウド装着」で、なかなか達成出来ずにいた冷却策の目標(シリンダー温度80~85℃/油温90~95℃=外気温30℃超時)がギリギリではあるものの、この「強化オイルポンプ」の効果を加えたことで、予想外に達成することが出来ました。
 目的であった安定した潤滑性能と共に冷却効果も得られて、期待以上の「オイルポンプ換装」となりました。

 シリンダー温度80℃台をキープ出来るようになって、炎天下でもタレる様子は全く無く、パフォーマンスを維持できるようになってくれました。(人間がタレて限界が来ます)

※シュラウドでの冷却強化策目標に達することが出来なかったので、次にはオイルクーラーの装着案も考えていましたが、その必要が無くなりました。(オイルクーラーの機能美は魅力なのですが)

※強化クラッチに関しては、切れ・つながり共に若干良く(シャープに)なった(純正の新品との比較ではありません)ようです。スプリングは硬くはなっているものの、ZETA製レバーKITに換えていることもあって、それほど重くは感じない程度でした。
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