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カスタマイズについて

 パドックⅢでは、豊富なレース活動で得た経験を元に、その知識と技術を傾注して、お客様のご要望に最適なカスタマイズとなるように取り組んでいます。
 また、走行性能に限らず、安全性能や環境性能・保安基準などを含めた取組みで、安心してお乗りいただけるバイク作りを目指しています。

パドックⅢ カスタマイズ計画 ブログ

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オリジナルペイント(モンキー125)

2022-02-13
①シルバーメタリック(キャンディレッド下色)
②抑えクリア
③キャンディレッド上色
④ホワイト
⑤ブルーメタリック
⑥上塗りクリア(完成)
⑦モンキー125
⑧FTRと2ショット
⑨タンクエンブレム貼付
⑩サイドカバーエンブレム
 久しぶりにオリジナルペイントの依頼が来ました。オリジナルペイントは、他の人とは違う自分だけの表現となり、カスタム度は格段にUPします。※満足度も高いものの中古車査定では、逆に下がりますので思い入れが必要です。

 ご依頼はモンキー125です。50cc時代からの「モンキー」らしさを大事にした、カスタマイズを進めて来られていました。カラーリングに関しても、より「モンキー」らしい?デザインに惹かれたそうです。それが、50cc時代後期に定番化した「トリコロールカラー」でした。トリコロールカラーはホンダの代名詞と言えるカラーリングですが、モチーフとなったのはFTR風スラッシュラインのデザインでした。

 モンキー50の純正色では、ストライプ(赤ライン&白ライン&ウィングマーク一体式)部分はデカール(ステッカー)となっていますが、オリジナルペイントですので全色(ウィングマーク以外)を塗装することになります。※ウィングマークは立体エンブレム(純正)を後で貼り付ける予定
 純正色がモチーフになる場合、その「色合わせ」が問題になります。4輪車用には各塗料メーカーから調色表が作られていて、その分量で混ぜ合わせればほぼ同じ色が出来ますが、2輪車用には調色表は作られていません。そのため、現車の色を透かし見るようにして観察して、その成分を推察して「色あわせ=一般的に3~5種類の色を混ぜ合わせて作ります」しています。写真や画像ではかなり困難な作業ですので、可能な限り現実の色見本を用意したいところです。※あまり色を合わせる必要がなければ写真などからでもOKです。
 今回はトリコロールカラーのモンキーは無かったものの、FTRのお客様がいらしたので、本家のFTRをお借りすることが出来ました。

 実際のFTRのフューエルタンクを確認すると、「赤ライン」はキャンディカラー(半透明の上色で下色のシルバーメタリックが透けて見える塗色)・「青部分」はブルー系メタリックカラー・「白部分」はソリッドカラー(メタリックやパールの入らない)となっていました。※ホンダ車のトリコロールカラーでも、他車種では違う組み合わせであったり、色合いが変えてあったります。

 そこで塗装は、以下の工程(順序)にしました。
①キャンディレッドの下色のシルバーメタリック(粒子の粗さは細目と中目の間くらい)
②抑えクリア(シルバーメタリックの表面は細かな凹凸となるため、半透明の濃さにムラが出るのを防ぐ工程=30分から1時間自然乾燥)
キャンディレッド(塗り重ねは色の濃さで決定し、厚み・艶はクリアに変えて塗装)
ホワイト
ブルーメタリック
⑥上塗りクリア(仕上げ専用で②とは別の塗料)

 キャンディカラーは下色のシルバーメタリックに重ねているため、ホワイトの上に塗ると淵(端)の部分にわずかにシルバーメタリックが見えてしまうので、先に塗ってホワイトを上に乗せるようにします。

 また、お借りしたFTRは2003年型で、すでに20年近く経っている車両です。塗装も色あせ・日焼けなど変色しているはずですので、今回の色調は、「発色」が良くなる(明るく見える)ようにしました。※補修の場合は、色あせなど変色した状態に合わせて色合わせします。

追記(3月3日)
 2月末に、塗膜の完全乾燥(当店の使うクリア塗料は3~4週間)を待って貼らずにいた、エンブレムを貼り付けました。タンクエンブレムはモンキー125純正の立体エンブレムです。画像(⑨⑩)
 

油温管理✙

2021-12-18
①オイルタンク保温材
②出発直前
③20km走行直後
④ワイヤーケーブル
 11月下旬から急速に寒くなって、空冷エンジンにとってはオーバークールになりそうな季節になりました。山間部のワインディング路では、未明に降りた夜露が日中になっても乾かなくなってしまいました。路面温度も低く、とても「頑張って」走ることはできないものの、エンジンだけでも「完調」であれば「気持ち良く」走れるのではないかと想像しました。そこで、空冷SRでエンジン温度(油温・シリンダー温度)の適正化が出来ないかと、その方策を考えることにしました。

 10月までの計測結果から、手始めに通常走行では低すぎる(外気温25でも70台)「油温対策」を考えてみました。SRはドライサンプ(エンジンオイルを別体オイルタンクに貯めて循環させる)式で、メインフレームがオイルタンクとなっています。フューエルタンクが被さっているとは言え、走行風は当たっているはずです。オイルタンク(フレーム)を走行風が当たらないようにしつつ、油温が上がってきたところで保温するように、断熱材を巻いてみました。貼付け式の断熱グラスウールと巻き付け式のグラスウールを組み合わせています。まずは、この「防風保温効果」がどれくらいあるのか?試してみることにします。

 外気温13℃位(夕刻・晴天)の中、テストに出かけました。シリンダー温度61℃まで暖機運転(画像②)したものの、油温は28℃までしか上がってませんが、この段階で出発して20km程走らせてみました。エンジン回転はおおむね3~4000rpmkmも走ると、シリンダー温度は70℃近くに上昇しましたが、油温は低温の走行風の影響からか、なかなか上がって来ません。途中少しだけ5~6000rpmまで回転を上げても、走行中の油温は50℃を僅かに超えた程度まででした。

 走行直後(画像④)には、シリンダー温度89℃・油温66℃を示していますが、これは帰店直前の2回の信号待ちで上がったものです。走行中のシリンダー温度は、70℃前後を行ったり来たりといったところでした。やはり停車時間が長くなると、油温を上げられるもののシリンダー温度が急上昇するので、こちらはオーバーヒートの恐れが出てきます。上手く停車時間を調節出来れば、油温を上げられそうですが、なかなか適正範囲にするのは難しいようです。

 エンジン停止後の温度降下をみても、結果として、油温の「保温効果」は多少有りそうでも、防風による暖まりを速くする効果は、ほぼ有りませんでした。今後は「防風効果」を高める策を考えてみます。

✙其の二
 エキゾーストマフラーの「脱落防止策」として辿り着いた「ステンレス製ワイヤーケーブル」ですが、さらに進めてエキゾーストパイプの保護(振動対策)に役立てないかと思い、試していました。
 脱落防止としては、ほぼテンションを掛けないようにしていたところを、左右のアンダーフレームからエキゾーストパイプに取り付けたステンレスバンドに向けて、1.5mmワイヤーケーブルを一周回して通しています。中間部を絞って、両側から軽くテンションが掛かる程度にしてみました。手でエキパイを振ってみると、それなりに引っ張られて抵抗があるのが分かります。

 エンジンを始動すると、アイドリング(低回転)近辺におけるエキゾーストパイプの振れが、かなり抑えられるようになって、明らかに振幅が「小さくなっていました。SRなどのビッグシングルの振動は、低回転域では低周波の大きな振れ幅、高回転域になると高周波・小さな振れ幅に変化します。このワイヤーケーブルを応用した「振動対策」は、少なくとも低回転付近のエキゾーストパイプの保護には有効だったようです。何度か走行していますが、まだ切断されずにいますので、耐久性も期待できそうです。
 
 

SRタコメーター交換

2021-12-04
①ディトナ製タコメーター(旧タイプ)
②タコメーター配線
③メーターパネル追加工
④SR+「デンタコ」
 LEDヘッドライトバルブを装着した頃から、指針の反応遅れが見られるようになった電気式タコメーター(ディトナ製VELONA)ですが、その後は、針触れ(大きな振れ幅)や高回転域では指針が動かなくなるなど、さらに悪化していきました。

 LEDバルブからのノイズ(電磁波)の影響も疑い検証しましたが、そこには問題はありませんでした。やはり原因は、タコメーター自体の回路に不具合があるようでした。 
 発端は、点火系からの異常なパルスの入力にあったと思われました。症状が出始める少し前に、プラグキャップが抜けて浮いていることがありました。イグニッションコイル(ポッシュ製)と一緒にプラグキャップ(テイラー製)も換わりましたが、ハメ合いが硬目で、しっかりとハマりきらないで使用していたようで、振動で抜けていったと思われます。ハメ直した直後にチェックした時には、問題は無かったのですが、このことが後に影響したと考えられます。※過電圧や振動などの要因も可能性があります。

 VELONAタコメーターは、点火パルスを拾うのに、プラグコードに発生した「電磁波」を電気信号に変換して入力する方式となっています。車種によっては感度が低く上手く拾えない場合もあり、専用の増幅器(製品名・パルスジェネレータ)を用いて作動させることもあります。SRもこのパーツが必要な車種の一つです。
 プラグキャップが浮いた状態では、キャップ内の端子とプラグ端子が離れてしまいますが、その離れた端子間をスパークが飛んで、異常に「過大電磁波が発生していたと思われます。その影響で、上記パルスジェネレータかメーター本体の内部回路が破損したと考えらました。

 まずは、パルスジェネレータを交換してみましたが、3000rpm位までは正常に戻りましたが、その上の範囲では改善されませんでした。しばらく、その状態で使っていましたが、来シーズンに備えてタコメーターを交換しておくことにしました。

 用意したのは、「旧タイプ」のディトナ製電気式タコメーター(画像①)です。ちょうどスピードメーター(ディトナ製機械式)と同じ本体ケースとなりましたが、選んだ理由は「点火パルス」の入力方式にあります。この製品では、イグニッションコイルに発生した「1次電圧」をそのまま利用して、パルス入力とする方式(VELONAと同じプラグコードの電磁波を使うことも可能)に対応しています。感度に対しても「調整式」となっていて、過去には色々な車種で安定した指針の動きにすることが出来ていましたから、SRには適していると思います。

 取付ピッチは同じですが、ハーネスの取り出しのための穴をあける追加工(画像②③)は必要でした。SRCDI点火ですから、イグニッションコイルの線(フルトランジスター点火では線)を分岐させて、パルス入力線に接続し直しました。エンジンを始動ところ、感度は「標準設定値」で順調に作動(④動画)していました。高回転域は試運転で確認して、必要があれば調整します。

※「旧タイプ」のディトナ製電気式タコメーターは、現在では「廃番」となってしまいました。VELONAのように温度計や時計機能の無い「回転計」だけの製品でしたが、点火方式もCDI点火(SRRZ系などの2st車)・フルトランジスター点火(一般的な4st車)のどちらでも、イグニッションコイルの「1次回路」で対応出来るので重宝していました。
 プラグコードの電磁波を利用する方式は、プラグコードをはじめ「点火系」のチューンアップに対応できないことが多いこともあり、出来れば「旧タイプ」が再販されるか、「同等仕様の新製品」が発売されることを望んでいます。

ブレンボ製キャリパー換装(ZX14R)

2021-11-27
①Rキャリパー
②Lキャリパー
③ブレーキホース配管
④フレアナットアダプター接続
 ´00年代のスーパースポーツ車から採用され始めた「ラジアルマウントキャリパー」ですが、剛性の高いマウント方式でダイレクトな効き味と安定して制動力を発揮することが出来ることから、近年では倒立フロントフォークとの組み合わせは「定番」となりました。

 ハードブレーキングでも、ひずみが起きない剛性の高さは魅力(特にビッグバイクでは)なのですが、その構成上アキシャルマウント(キャリパー取付ボルトが横向き)方式に比べて大きく「重くなってしまうのが残念な点です。※小排気量車用にコンパクトなキャリパーも出てきています。
 キャリパーやマウント部(キャリパーブラケットを兼ねたアクスルホルダー)は、車体としては「バネ下重量」になりますから、重量増加はサスペンションの働きに対してはマイナス要素となりますし、ハンドリングへの悪影響も少なくはありません。特にOEM(純正採用)タイプのキャスティング(鋳造)製品は、かなりの重量となっていますので、削り出し製品に換装して、キャリパーを「軽量化」するカスタマイズの効果は高い(価格も結構お高いのが難点ですが)ものです。

 この度はZX14Rへの「ブレンボ製CNCキャリパー P4 30/40」の換装です。この製品は、削り出し2ピース4ピストン(ポット)キャリパーとなっています。モノブロック(1ピース)と比べると若干低い(理論的に)ものの、実用的には遜色のない剛性の高さで、軽量化を達成しつつ「ブレンボキャリパー」のタッチを味わえるため人気の製品です。このキャリパーにアクティブ製グッドリッヂ・ビルドアラインブレーキホース(ステンレスメッシュホース+ステンレス製フィッシング)を組み合わせて換装しました。

 ZX14RABS仕様ですので、ブレーキホースの配管は、マスターシリンダー~ABSユニットABSユニット~RキャリパーRキャリパー~Lキャリパーの、3ラインとなります。ABSユニット本体へブレーキホースを直接接続する方法もありますが、ZX14Rはフューエルタンクとフレームの狭い隙間を通るため、その間は純正のブレーキパイプを残してパイプとの接続としています。ブレーキパイプ(バイクでは珍しいものの4輪車では一般的)はフレアナットを用いた接続となっていますので、専用のアダプターを使ってメッシュホースと接続しました。(画像③・④)

 ブレンボ製キャリパーの魅力は軽量・高剛性なのはもとより、そのブレーキフィーリングの良さ(効かせ度合や効き具合が分かりやすい)ですが、ABSシステムとの組み合わせではどうなるのか?未知数の部分もあります。ABSシステムも年々進化していますので、その面にも期待して結果を検証したいと思います。

 実は、このカスタマイズは昨シーズンに行う予定だったものです。コロナ渦の影響によりブレンボ社の生産が遅れたようで、入荷の目途が立たない状況で1年以上もお待たせしてしまいました。当初予定では、「マルケジーニ製アルミ鍛造ホイール」と同時に換装して、バネ下重量ジャイロ効果低減化で、「路面追従性ハンドリング性能向上」を狙ったものでした。この車両は前後サスペンションは「純正」のままですが、ZX14Rのように、ある程度基本性能が高く、アジャスト機構を備える足周りの車両であれば、「ホイール・ブレーキ関連の軽量化」を優先するのも、効果の高いカスタマイズとなります。 
 

 

サスペンションセッティング・RC390(YSS製カートリッジKIT)

2021-11-13
①フォークトップ
②プリロードアジャスターノブ
③カートリッジKIT
 YSS製カートリッジKITを組込んだ、当店のRC390ですが、その効果に期待しつつもその後すぐにはテストに出かけられませんでした。セッティングを進めていく上でも、しっかりと走り込みたいと思い、試運転もしないでいましたので、プレセッティング(走行前調整)をしたままでした。

 そのプレセッティングでは、市販のサスペンションとしては「珍しく」少しハードな手応え(純正フォークの多くは硬目)で、イニシャルプリロードコンプレッション(縮み側減衰)の調整は「標準設定」のままにして、リバウンド(伸び)側のみスプリングの反発力に合わせて少し強めていました。サスペンションは高荷重が掛かった時に底付きしないことが「絶対条件」ですので、多少ハードに感じてもやみくもに柔らかくしていくのは禁物です。サスペンションセッティングでは必ず高荷重(フロント側はフルブレーキの状態)を掛けた状態を確認しつつ進めていかなければなりません。※サスペンションの慣らし運転のためにいったん柔らかくして、よく動くようにすることはOK(慣らし完了後に標準に戻す)です。

 10月下旬の好天の下で、テスト&セッティングに出ることが出来ました。走り始めた一般路では「減衰」が良く効いているのは感じられますが、効きすぎている印象です。動き出し(沈み始め)も硬く感じましたが、とりあえずワインディング路に向かいました。
 ワインディング路で徐々にペースを上げていき、特にブレーキングに集中して走ってみましたが、やはり硬過ぎのようで、あまり動いていない状態でした。ストローク量を確認しても底付きには程遠い状態なので、まずイニシャルプリロードを2回転抜いて(バネの力を弱めて)みると、入りやすくなった分「伸び減衰」の効き過ぎなのもはっきりと感じられるようになり、こちらは少し強めていたのをほぼ標準に戻しました。
 これで、そこそこストロークするようになりましたが、まだ足りないようで引き続きプリロードを抜いていきました。

 ある程度ストローク出来るようになると、コーナー進入(減速)でフロントを沈めた姿勢を、しっかりと減衰も効いて安定させて「旋回」につなげられるようになり、リズム良く走れるようになって来ました。さらに加速から減速への切り替え(スロットルのON/OFF)でフロントの入りをよくするように、コンプレッション側を少し抜いて、S字路の切り返しでのピッチングを起こしやすくしました。このころから高い安定感や「安心感」を持って走れていることに気付きました。

 純正フォークでも、ある程度は姿勢変化や姿勢制御は出来るようにセッティングしてはいましたが、路面をつかむ感覚(グリップ感)が格段にアップしているようです。グリップ感の高さは、沈んだ状態でしっかりと踏ん張りながらも、路面の細かな起伏に対して素早くスムーズに動いて、タイヤから路面にかかる圧力を逃がさないことが出来ている(高い路面追従性)おかげだと思います。この性能が良いサスペンションの「条件」で、純正フォークから格段にグレードアップしています。

 セッティングはもっと煮詰めていきますが、まずは高いポテンシャルを実感できて満足しています。ただ、ここまでのセッティングの傾向から見て、YSS製カートリッジKITは結構ハードな標準設定となっているようで、サーキット走行を前提にしているのではないかと思われます。特にスプリングに関してはイニシャルプリロードをかなり抜いたこともあり、今後のセッティングの進み方によっては「バネレート」を下げることも考えても良いかもしれません。

※初回テストには間に合わなかったのですが、イニシャルプリロードの調整に便利な「アジャスターノブ」を装着しました。これで工具を使わずにプリロード調整が出来るようになりました。(画像②)

※追記
 その後もテストに出かける機会はありましたが、フルドライ路での走り込みは出来ませんでした。所々乾いているハーフウェットとしかならず、本格的なセッティングは進められませんでしたが、その状況の路面でもグリップ感は伝わってきて、かなり安心感は高く走りやすく(無理は禁物ですが)感じます。
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