カスタマイズ事例
Z1(900RS)
この車両は、旧車系好きなオーナーさんが、大型二輪免許取得とともに憧れの「Z1」に乗りたいと相談を受け、中古車探しから始めた車両です。ご相談当初より自身の望むカスタマイズの意向があることと、何よりも旧車とは言え近代のマシンのように、しっかりと走ることが出来るようにしたいと考えておられました。
そこで、すでに中古車相場が高騰していることもあり、カスタマイズ&レストアをしっかりと施す前提として、車両はレストアベースと割り切り輸入直後の未登録車を手配することにしました。ベースとして入手された車両の状態でメニューを考察していくため、総合的なプランを作成・見積りするのに時間が掛かりますが、状態の確認とカスタマイズの優先順位を考慮して進めていきました。
入手出来た車両は、幸いエンジンのコンディションがそれほど悪くないものだったので、第一段階として車体関連を重点的にカスタマイズするプランとなりました。オーナーさんの意向は、Z1のイメージを色濃く残すところとして、ノーマル外装/火の玉カラー/4本マフラー/スポークホイールといったオーダーでしたが、スイングアームのワイド化やフレーム加工プランとの兼ね合いを相談して、エキゾーストマフラーは集合タイプにして頂きました。
そうして、「Z」らしさと近代的走行性能を備えるマシン作りを目指して、18インチラジアルタイヤ仕様を中心としたプランで車体全般のカスタマイズを進めました。
第1ステップのプランの内容は、フレーム補強・前後足周り・ブレーキなどの車体関連と、エキゾーストマフラー・キャブレター・オイルクーラー・点火系などのエンジン関連となりました。
そののち(数年後)に、エンジン本体のオーバーホール・チューンアップ、また、次の仕様変更へと進めてきました。
カスタマイズ仕様
◆車体関連
●フレーム=①18インチラジアルタイヤ対応各部補強
②リヤショックアブソーバー取付部加工(レイダウン加工)
③ステッププレート取付用ボス加工(タンデムステップ対応含む)
※純正マフラー/タンデムステップ取付部を含め切除
●スイングアーム=OVERレーシング製 角断面アルミスイングアーム(スタビライザー無)
●リヤショックアブソーバー=オーリンズ製グランドツインショック
●フロントフォーク=オーリンズ製43mm正立フォーク(当初は純正フォーク仕様)
●ステアリングステムセット=ウィリー製オフセット可変式
●前後ホイール=RK高砂製アルミワイドリム
(F=3.00-18/R=4.50-18)
ステンレススポークセット(純正ホイールハブ)
●タイヤ=18インチラジアルタイヤ
F=110/80ZR18
R=150/70ZR18
●ブレーキ=①PMC製フロント320mmフローティングディスク
②ニッシン製ラジアルマスターシリンダー(キャスティングタイプ)
③ブレンボ製4Pキャスティングキャリパー
④グッドリッヂ製ステンレスメッシュホース
●ポジション関連=①PMC製ステップKIT(リヤドラムブレーキ用)
※リヤブレーキ作動リンク・アーム関連加工
②ハーディー製ハンドルバー
◆エンジン関連
●排気系=ナイトロレーシング製フルエキゾーストマフラー(手曲げチタン)
●吸気系=①JB-ケイヒンFCR37キャブレター(ファンネル仕様)
②ラムエアフィルター
③アクティブ製ハイスロットルKIT
●冷却系=プロト製ラウンドタイプオイルクーラー
●点火系=①ASウオタニ製SPⅡフルパワーKIT
※デジタル制御フルトランジスター点火方式
※パルサーコイルSET/イグナイター/イグニッションコイル
②テイラー製プラグコード・キャップSET
●その他=①ワンオフ製作オイルキャッチタンク
②ワンオフ製作ドライブチェーンカバー
※スイングアーム側取付部加工
③PMC製電気式タコメーター(Z1/2専用ホワイトパネル)
④PMC製機械式スピードメーター(同上)
近年の18インチラジアルタイヤは、高いグリップ力と良好なグリップ特性を持ち、しっかりとスポーツライディングをこなすことができますが、そのハンドリングは決して鋭すぎないもので「Z」らしさを感じられるものとなりました。スポークホイールをはじめ往年の「Z」のイメージを残しつつ、近代的なバイクに仕上がりました。
サーキット走行会にも参加しつつスポーツ走行を楽しまれるようになられた結果、さらにスポーティーなハンドリングの「Z」に興味をいだくようになられ、17インチハイグリップラジアルタイヤ仕様への転換を決意されました。
Z1のフレームで、18インチ対応から17インチ対応への追加工は根本的に作り替えることになるため、新たに用意したベースフレームで製作することにして頂きました。レーシングスタイルのライディングへの適応も考慮して、「Z1-RⅡ」の意匠を盛り込んだ車体作りとして、先述の「Z1-R」へと進みます。
※エンジン関連はそのまま移植されたため、この車両は現在エンジンレスとなっていますが、「Z」らしさを感じられながら、格段に基本性能を上げたハンドリングやエンジンパワーのバランスは、一つの「形」だと思われ紹介しました。