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カスタマイズ事例

オリジナルフレームRZ350R
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  •             ⑦PJ38PAXキャブレター
  •            ⑧BIGリードバルブ対応加工
  •                    ⑨
  •         ⑩リジットマウント仕様クランクケース

 カスタマイズ事例に最初に紹介したのは「オリジナルフレームRS250」ですが、その前段階としてフレーム製作したのが、実はこの「RZ350R」(2005年製作)でした。それ以前に、フレーム補強や部分的な作り直しをして来ていたとは言え、ハイパワー&超軽量(94ps/105kg)なレーシングマシンとして完成度の高いRS用に、はじめからチャレンジするのは不安要素が過大で躊躇しました。そこで、すでに製作していたRZ系のカスタマイズ車(公道走行用)と同じ、RZR系エンジンを搭載するオリジナルフレームを製作してみることにしました。カスタマイズ車との比較も出来るので、実験用として最適だと思われました。それでも実際に自らの狙い(設計の)が具現化されるのか?技術的に可能なのか?様々な不安を抱えていましたが、この挑戦がその後に必ずプラスになると思い取り掛かりました。

 エンジンは公道用では250cc(RZ250R)を使っていましたが、サーキット用によりパワーがあり、後のRS用フレームに繋がりやすくするために、「RZ350R」エンジンを使うことにしました。もちろん、こちらのエンジンも新たな試みのチューンアップを施し、エンジンチューニングの可能性にチャレンジしています。

 オリジナルでフレームを製作するにあたり、当初より考案していたのが、トレリスフレーム(このフレームの長所は先述のRSでも紹介)です。ドゥカティ車やモリワキ車(MOTO-GPマシン=MD211V)のフレームを参考に設計して、クロームモリブデン鋼丸パイプを用いて製作しました。キャスター角などのディメンションはRZRエンジンを前提としつつ、RS250並のハンドリングを目指してRSのディメンションに出来る限り近づけた設定です。
 当初の設計では、エンジンをフレーム剛性部材としたものでした。エンジンとの結合にはリジットマウントで最低3箇所(フロント/リヤ・アッパー/リヤ・ロア)を必要とします。RZRエンジンのマウントラバー(前後2箇所)をアルミ製カラーに換えて埋め込んでリジットマウント化した上で、リヤ・ロアマウント部に匹敵させるブロックをアルミ角パイプ(7N01材)を組み合わせて製作して、クランクケース下側(ケースには雌ネジボス2ケ追加溶接=合計4ケ)に取り付けました。振動の心配がありましたが、´85以前のTZ250(RZRと同様の並列2気筒で鉄パイプフレーム)がリジットマウントであったことと、後のRS用フレーム製作に繋がるようにと考えました。
 スイングアームはTZR250(3MA)用を元に加工を施したものですが、その他はフロント足周りをはじめRS250用を多用しています。

 シェイクダウンテストでは、ハンドリングの素性の良さは確認出来たものの、あまりの振動の激しさにフロントディスクパッドが走行中に開いて(フルフローティングディスクが揺れて)しまったり、ステップから足が外れてしまうなど、振動の問題点が大き過ぎることが分かりました。そのため、苦渋の策としてRZR本来のラバーマウントに戻しました。エンジンがフレーム剛性部材では無くなつてしまうため、結合式アンダーフレーム(アルミ7N01材角パイプ製)を製作しました。フレーム剛性は落ちると思われましたが、振動レベルは通常のRZRとなってまともに走らせられるようになりました。パワーがRSほど高くないこともあり、剛性不足はそれほど感じないレベルな上に、狙い通りRSに似たハンドリングを実現出来ており、基本的な設計には間違いはなかったと思いました。
 
仕様・諸元
車体関連
 ●フレーム=トレリスフレーム(クロームモリブデン鋼)
 ●アンダーフレーム=アルミ7N01材角パイプ
 ●シートレール=アルミ7N01材製
 ●フロント足周り=´95RS250用(Fフォーク&ステムセット)
 ●リヤ足周り
  ①スイングアーム=TZR250(3MA)用加工
  ②リヤショックアブソーバー&ボトムリンク=´95RS250用
 ●ホイール
  ①フロント=3.50-17(RS250用マグネシウム鋳造)
  ②リヤ=  5.25-17(TZ250用アルミ鋳造)
 ●ブレーキ
  ①フロント=ブレンボ製ラジアルマスターシリンダー/4Pキャスティングキャリパー(RS250共用)
  ②リヤ=RS用(マスターシリンダー/1Pキャリパー)
 ●フューエルタンク=´95RS250用短縮加工
 ●外装=´01RS250用フルカウリング加工&シートカウル
エンジン関連
 ●エンジン本体=RZ350R(31K)
 ●シリンダー=①BIGリードバルブ対応加工(純正取付部切除~BIG取付部溶接)
        ②TZ125用リードバルブ&インシュレーター
        ③ポート加工
        ④シリンダーヘッドガスケット0.2mm(高圧縮化)
 ●クランクケース=掃気通路加工(スムーズ化&1次圧縮UP)
 ●キャブレター=PJ38PAXキャブレター(NAG製RS250用スペシャルタイプ)
 ●排気系=RS250用エキゾーストチャンバー加工
 ●冷却系=´96RGV-γ250用ラジエーター加工
電装関連
 ●点火系=純正CDI+NGKパワーケーブル(プラグコード・キャップ)
 ●計器類=①TZ250用タコメーター
      ②RS250用テンプメーター&センサー
シリアルナンバー= NOFRZR105

 オリジナルフレーム製作への初チャレンジを通して、製作過程での問題点改善点が明らかになったものが多数ありました。本作ではその都度なんとか対応して、完成までこぎ着けることが出来ました。製作技術の向上に貴重な経験を得ることが出来て、大きな自信となりました。引き続き「RS250用オリジナルフレーム」製作へと進めることを決意しました。

※この車両はフレームを製作すること自体が目的だったので、車体としては煮詰めの段階には進めませんでした。(※日程的にRS用を急いだので) エンジンはその後「カスタマイズRZ」に載せて、走行会等で走らせながらセットアップを進めました。

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