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カスタマイズについて

 パドックⅢでは、豊富なレース活動で得た経験を元に、その知識と技術を傾注して、お客様のご要望に最適なカスタマイズとなるように取り組んでいます。
 また、走行性能に限らず、安全性能や環境性能・保安基準などを含めた取組みで、安心してお乗りいただけるバイク作りを目指しています。

パドックⅢ カスタマイズ計画 ブログ

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検証Ⅱ・SRエキゾーストパイプ

2021-06-02
新Vrエキゾーストパイプ
補修後フロントEXパイプ
パドックⅢSR エンジン始動
 新しいエキゾーストパイプに合わせた燃調セッティングを進めてきたSRですが、ずいぶんとまとまって来ました。

 1stテスト後、ジェットニードルのテーパー角を変更(F=1.25゜からE=1.00゜へ戻して)して、切り上がり寸法の短い(MからFへ)シリーズを用いてスロットル中開度域(1/2~3/4)を重点的にセッティングを煮つめました。キャブレターセッティングの常で、各パーツ(ジェット類)はそれぞれの受け持ち範囲は有るものの前後に影響し合っているため、一定範囲の燃調が良くなってくると前後も見直す必要が出てきて、ほぼ全ての範囲をセッティング変更することに至りました。
 最終的に、以前(旧バージョンEXパイプ)に対して、低開度域は小さ目(燃料を減量)に中開度後半(3/4)~全開域が大き目(増量)になりました。

 数回のテスト/セッティングを重ねて、おおむね良いセッティングが出たところ(5月下旬)で、新Vr.エキゾーストパイプの実力を本格的に検証します。
 低回転域(2000~4000rpm)でのトルクが僅かに落ちたものの、実用性には問題とならない程度(4速2000rpmで巡行出来、そこからスムーズに加速可能=5速では2500rpm)です。目標である高回転域では明らかに回転の伸びが良くなっていました。2~3速であれば、7500rpmを超えても急激なパワーダウンは無く、このエンジンで始めて8000rpmまで回せるように(4速以上ではテスト未実施)になりました。中回転域(4000~6000rpm)は以前とほぼ変わらないか、僅かに上がったかと感じる程度で、6000rpmを超えた辺りから一段高いパワーが出始めて8000rpm超まで回るようです。パワーの盛り上がりから、ピーク(最高出力の出る回転数)は7500rpm位だと思われます。
 エンジン自体が、8000rpm以上にどこまで耐えられるか疑問なので、当面は回さないようにします。

 実際のワインディング路の走行では、コーナー立ち上がりの加速を始めた(スロットルを開け始めた)ところは大きな変化は無いものの、全開にして本格的な加速に移った頃からの加速力が増して、スピードの乗りが良くなっていきます。特にシフトアップして高回転での全開加速を続ける場面では、次コーナー進入時点での到達スピードが高くなって、以前より長いハードブレーキングが必要となりました。

 もっと高い回転域でしか本領を発揮しないかも?と心配をしていましたが、充分に目標とする結果を得られてホッとしました。欲を言えば中回転域(4000rpm~)でのトルクも増していたらと思いましたが、そこは今後の課題としてエンジン本体の仕様変更を含めて考えていこうと思っています。 

 出力以外では、バンク角対策が功を奏して、右コーナーでエキゾーストパイプを路面に擦ることが無くなり(ワインディング路では)、気にせずに走れるようになりました。

※添付した動画では、タコメーターの指針の動きが、実際のエンジン回転の変動にマッチしていない様子が映っているようです。点火パルスを感知するパルスジェネレーターに不調が出始めたか、撮影時に試験中のLEDヘッドライトバルブの何らかの影響が出たものなのか、現在解明中です。

 


検証・SRエキゾーストパイプ

2021-05-08
①新エキゾーストパイプ
②下=新バージョン
③マフラースプリング設置
④クラック補修
 暖かい日も多かった春先でしたが、なかなか週末には好天に恵まれなかったので、テスト走行に出かけられたのは4月に入ってからとなりました。
 2021シーズンに向けて、エキゾーストパイプパフォーマンスダンパー(PD)ブラケットサブフレームの3点+フレームスライダーとカスタマイズを施しましたが、まずは、エキゾーストパイプ(エンジン系)のテストと、車体系ではPDブラケットのテストから始めました。ここでは、エキゾーストパイプの仕様変更の検証セッティングの様子をレポートします。※PDブラケットのレポートは「テスト報告」に掲載しています。

 エキゾーストパイプ製作直後(2月)に、エンジン始動性に変化が感じられたため、スロー系(スロットル全閉に近い低開度域)燃調を薄めにしておいた程度で、走行テストに向かいました。とりあえず1stテストでは、各領域での「燃調」を把握することを第1目的として、「不完全な燃調」を前提としつつも、そのエンジンフィーリングから新作エキゾーストパイプの特性を確認推測)するのが、次の目的です。

 走り始めて間もなくの、低回転域(2000~3000rpm)では若干トルクが弱くなった印象ですが、実用出来ないレベルではなく、そこからスロットルを開けていってもエンジン回転はスムーズに上がって行きます。上り勾配の直線路において各領域(スロットル開度と回転域)でのフィーリングを確認すると、中開度から全開度の燃調が少し薄目なのが感じられました。それでもしっかりしたパワーの出具合は確認出来て、トップエンド(7500rpm以上)に向けて回転は伸びようとしていて良好なフィーリングでした。
 燃調の「ずれ」もさほど大きくはないようなので、そのままワインディングを走行してみると中回転(4000~4500rpm)から一気に全開にした際にやはり若干の薄さを感じるものの、レスポンスは悪くなくパワーの盛り上がりと回転の伸びの良さが感じられました。燃調のセッティングを詰めれば更に良くなりそうです。

 1stテストを終えてプラグの焼け具合を確認すると、中心電極周辺のガイシにはわずかに茶色い焼けが付いている程度で、全開域での若干の薄さを表していました。これもふまえて、メインジェットとジェットニードルを少し燃料を増やす方向に調整することにしました。ただ、すでにジェットニードルのクリップ段数は最も下(7段の内最も濃い目)になっているため、切り上がり寸法(直径の変わらないまっすぐな部分の長さ)の違うシリーズのニードルに替えてみたいのですが、既製品としては製造されていませんでした。「テーパー角」違いなど色々試しながら、良いセットを見つけるために、試行錯誤しなければならないようです。
※FCRキャブレターのジェットニードルはロット注文であれば、特注出来なくはありませんが、なかなか難しいので出来る限り既製品を使ってセッティングを詰めていく予定です

 ところで、1stテストの終わり間際に、「問題」が発生しました。走行中に異音(パスパス音)がしたので確認すると、フロントエキゾーストパイプ(排気口直後の曲がり部分内側)にクラック(割れ)が入っていました。今後の仕様変更にも対応出来るように、サイレンサーとの差込口にマフラースプリングを設置しないでいたのが裏目に出たようです。振動で6~7mm程度抜けてしまっていて、エキゾーストパイプを押し(曲がり部分を開く方向)続けてしまったと思われます。
 折損には至らずに済んだので帰店したのちに補修しました。空いたすき間を埋めるのと溶接強度を上げるために、周辺のクラックの入らなかった部分を含めて「盛り付け溶接」(画像④)を施しておきました。新バージョンのフィーリングも良さそうなので、スプリングフックも溶接してマフラースプリングを設置しました。

 また溶接中に気付いたのですが、この曲がり部分(真円パイプの輪切り溶接)の断面が「楕円形」になっていました。ビッグシングルで高圧縮エンジンだと一発毎の燃焼の熱量が非常に大きく、特に高温の排気ガスが当たる曲がり部分の外周の壁が、熱膨張が激しいため引き伸ばされたのでしょう。これには改めて驚きました。走行中は致し方ないとは言え、走行しないで行うプレセッティングは出来る限り控えた方が良さそうです。

続・SRフレームスライダー

2021-04-17
左スライダー
右スライダー
取付用ボスを設置したサブフレーム
強度を抑えた溶接部
 一旦取付けを終えたものの、左側スライダーの装着場所のこともあり、取付方法について引き続き考えてみました。

 前回、記述したように一般公道で使用する車両でのスライダーの役割は、最初の衝撃を「緩和」させることだと考えています。当店のSRのように、サブフレームや他のパーツのブラケットを利用して装着した場合には、スライダーによってそれらを破損させてしまうことは充分に考えられます。他の車種でも、スライダーが逆効果になってしまうケースは少なくありません。そのような場合には、衝撃を「緩和」した直後に、スライダーが「脱落」してしまえば良いというのが、当店の基本的な考え方です。

 そこで、「確実」に「脱落」させる方法を考えました。まずは、共締めでの取付けはやめて、左右サブフレームにスライダー取付用ボス(アルミ7N01材)を単独溶接して設置することにしました。そして、その溶接強度をあえて落としておくようにしました。これで、過大な外力が加わる(限度を超える)とボスの溶接部ごとスライダーがもげて、脱落していくはずです。製作した20mm径のボスは、サブフレームのリブ状の部分に乗る形になるため、そのリブ部とのみ溶接しています。また、溶け込みも少なめになるように溶接を施しました。
 前後方向に弱く、上下方向にはある程度は耐える設定なので、立ちごけ程度にならもげずにすむかもしれません。(実験はしませんので、そんな状況になった時に判明します。そうならないのが望ましいのですが)

 多分に、ドレスアップ的なカスタマイズとも言えますが、狙い通りにいけば役に立ってくれるとも思われ、期待はしています。

※サーキットでは転倒した際に、とにかく良く滑らせて、マシンをコース内にとどまらせない(オイルの流出も防ぎつつ)のが、スライダーの重要な役割です。

SRフレームスライダー

2021-04-02
①左側フレームスライダー
②右側フレームスライダー
③ハンドル右切り状態
④強度UPしたブラケット
 サブフレームやパフォーマンスダンパー(PD)の装着されたSRを見ていて思いました、「フレームスライダー」を付けるのにちょうど良いなと。

 元来SRはスリムなエンジンなので、エンジンを保護する目的では、あまり必要性を感じなかったスライダーですが、アルミタンク横出しステアリングダンパーにした際に、装着した方が良いなとは感じていました。ただ、取付けにあまり適したところがなく、大掛かりな工夫をしなければならないため、そうしてまで必要とは思いませんでした。そんな時に、この度のカスタマイズ(サブフレーム/PDブラケット製作)によって、比較的簡単にスライダーを取付けられる場所が出来たと気付いたのでした。

 まず思い付いた時点で考えたのは、取付けのもっとも簡単な、左側はパフォーマンスダンパー前側と共締め・右側をサブフレーム前側と共締めという取付方法です。

 右側は、タンクやステアリングダンパーを保護するのにも最適と思われるため、そのまま設置場所に決定しました。ディトナ製スライダー(60mm長)を、M10ボルトとカラーを用いて取付けてみました。カラーの長さを調整しながらステアリングダンパーを確実に保護出来るか試しましたが、削れながら(曲がらないと仮定して)も完全に保護するには余程の長さ(突出し量)が必要となるため断念して、現状のダンパーロッド先端と同等の長さ(画像③)に設定しました。
 ただし、ダンパーブラケットにはサブフレームの剛性部材としては充分な剛性があると考えていましたが、転倒の衝撃や他方向の外力が加わることを考えると、強度不足だと思われました。そこで、ダンパーブラケットは補強することにしました。(画像④)

 左側はパフォーマンスダンパー本体と共締めだと、転倒やちょっとした接触でも即・ダンパー破損になりそうなので、前側ブラケットに単独で取付けることにしました。丸棒材接続部に深さ15mm程度のM10ネジ穴を作り、スライダーを取り付けました。あえて締め付けには、ネジ長さ10mmのはめ合いとして締結強度を落としています。過大な力が加わった際には、ネジ山を壊してスライダーが脱落してしまうように想定しています。※右側も同様の考え方ですが、サブフレームの締結強度との兼ね合いで15mmに設定しています。
 左側は、この場所ではタンクの保護にはならないため、今後サブフレームに加工を施してスライダーを装着することも考えています。いずれにしても、スライダーの役割は、最初の衝撃を「緩和してくれれば良いと考えて、各部の強度を想定しています。(想定通りの結果が得られるかは、かなり難しい問題です。)

 一般にも多くの製品が販売されていますが、フレームスライダー(エンジンスライダー)には注意が必要です。スライダー装着によって、転倒時にフレームやクランクケースの損傷を、かえって大きくしてしまうケースがあります。取付の仕方や場所を吟味しなければ、逆効果になりかねませんので、ご注意ください。
 また、スライダーが本来の働きをし続けた場合には、転倒したバイクの滑りが良くなって停止するまでの距離が長くなることも、考慮しておいた方が良いと思います。

続・SRサブフレーム

2021-03-20
①KEDO製フューエルコック
②前=直付け/後=5mmカラー(左側)
③エンジンとのクリアランス
④純正フューエルコック想定仕様
 サブフレームに関連して、フューエルコックを「KEDO」に交換しました。

 左側サブフレームはフューエルコックレバーをぎりぎりに避けた設定にしていました。フューエルコックの大きさや形状によっては、その張り出しを抑えられるため、製作段階ではカラー(前10mm厚=M8ネジ用/後15mm厚=M10ネジ用)を挟んだ取付方法にしておきました。また、サブフレーム本体を極端に折れ曲がった形状にしたくないということもあり、この方法としました。結合剛性を考えるとカラーを挟まない直付けが最良で、どうしても必要な場合でも出来る限り薄くしたいところです。サブフレームの製作が終了したのちに、良いフューエルコックがないかと探してみました。

 他車種流用も含めて探したところ、「KEDO製」に行きつきました。この製品は、純正の負圧式オートコックを、シンプルな開閉式(ON/OFF/RES)にすることで流量を上げて、FCRキャブレターなどに換装した際に用意されている商品のようです。シンプルな故にコンパクトに出来ています。また、ヤマハ車のコックは2点止め式で取付方向が変わらないのに対して、中央の差込口の大ナット1点止めに変換されており、取付方向の調整が可能になっているのも望ましい製品でした。

 コックベースをタンクに取付けコック本体をセットすると、レバーの位置は純正コックとほぼ変わらない高さになるものの、コンパクトになった分少しはサブフレームとのクリアランスが出来ました。その後、取付方向を回して変えていくと、クリアランスが最大限に広がりつつ、吐出口も周りに干渉しないところが見つかりました。

 その結果、「=カラーmm」にすることが出来ました。製作時点で前後5mm差だったので、最善の結果となりました。
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