ワンオフパーツ作品集
チタンサイレンサー
チタンサイレンサー
汎用品を含めて多種・多様な製品が販売されているので、これまでサイレンサーを製作したことは無かったのですが、この度、必要性が生じて製作することになりました。
当店のRC390には、購入当初よりエキゾーストパイプ(サイレンサーを除く)はセンターアップタイプで製作する予定でしたので、オフシーズンの間に少しづつ作製を続け、後はサイレンサーをチョイスして購入すれば良いところまで出来上がったのですが、条件に合う製品が見当たりませんでした。エキゾーストパイプを取り廻してみると、そのサイズ・形状に、かなり制限がある上、性能面での適性を確保しなければならず、適合する物を見つけ出すのは難しいようでした。
◎サイレンサー条件
・シェル(外筒)の長さが30cm前後で外径は100mm以上(音も考慮して)
・シェル前半部はテーパー形状(タイヤとの干渉を避けて)
・差込部の内径・61mm(テールパイプ外径・60.5mm)
・パンチングパイプ内径・42.7mm(性能的な目安として)
などと、かなり限定されてしまいました。(適合する物は在るのか?)
それなら、やはりチタンで作ってみようと思い立ちましたが、シェルに使うサイズのパイプやテーパー管など当店では入手不可能ですし、現状で機械を購入することは出来ないので、手に入らないものは板材からの手巻きでの製作になります。
現在、当店で入手できるチタン板材は、250mmX500mm・厚さ1mmのサイズのみですので、手始めに250mm幅で直径100mmの円筒状にするべく巻いてみました。多少の凹凸や接合面の不一致から来る溶接の不揃い・巻いたことによる外径の変化などに問題が出ながらも、一応、シェルとして使える程度のものができたことで、その他の部材の製作を続け完成したのが、画像3です。(シェル全長300mm/テーパー部70mm/直径101mm程度)
一応の完成となったものの、工夫や改善策も考えられ、この機会に引き続いてできないものかと、一人のお客様に相談を持ちかけてみました。快くオーダー頂き(訓練中につき格安にて)製作した2作目が画像4・5です。車両はカスタマイズで紹介しているGPZ1100です。御本人の好みと製作可能なデザインが一致した砲弾型(シェル全長380mm/テーパー部190mm/直径120mm)で、バッフル無しでのストリートでの使用を前提にパンチングパイプ内径を42.7mmにしてみました。ほぼ狙い通りの音量になり、このことも勉強になりました。
それでも、テーパー管の溶接時の固定やチタン特有の溶接の特性について更に発見したこともあり、RC390用に性能(内径や音量)の異なるものを、もう一本(画像1~2)作りました。GPZ用に対して全長を短く(シェル全長320mm)した形で、内径を38.1mmにしました。比較テストをすることが可能になりました。
この度、チタン材での加工/溶接に本格的に携わることになり(輪切り以外で)、まだまだ習得すべきものは在りますが、 ワンオフすることが出来るようになり選択肢が広がりました。(サイズ/形状に制限が有りますが)
※画像3は、製作した部材で、パンチングパイプの差し込まれるパイプの他は手巻きによる製作です。
※パンチングパイプはステンレス製です。