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パドックⅢ カスタマイズ計画 ブログ

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フロントフォークカートリッジKIT組込・RC390

2021-10-23
①YSS製カートリッジKIT
②フォークトップ
③プリロード&減衰力アジャスター(COMP)
④純正ピストンロッド&スプリング
 ここのところSRばかりで、あまり手を掛けていなかった(乗ることも稀に)RC390ですが、しばらくぶりにカスタマイズを進めることになりました。フロントフォークの内部で減衰力を発生させるカートリッジフォークスプリングがセットになった、「YSS製カートリッジKITの「組込み」です。

 これまでにフロントサスペンションセッティングとして、SKF製フォークシールの組込み(フリクション低減)・リバウンド側フォークオイル粘度の変更・イニシャルプリロード(スプリングカラー厚)の調整をしていました。ただ外部から調整が出来ない純正フォークでは、リセッティング(再調整)も分解しなければならず、なかなかベストセッティングを探り出すのは難しいことでした。減衰特性のアップグレードもしたいと思いフロントフォーク自体の換装も検討しましたが、機種専用ではWP製(レース用)がありますがかなり高価、また、他車種流用ではホイールサイズ(前後)のマッチングが問題となり進展せずにいました。

 近年、SS(スーパースポーツ)クラスのレース用などにカートリッジKITを販売するメーカーが増えてきていたので、RC用が発売されるのを期待していました。ただ、RCの純正フォークは通常のカートリッジ式倒立フォークとは違い、インナーチューブ自体をシリンダーとする「ビッグピストン式」(画像④)なので、インナーチューブの底に当たるアクスルホルダーにはカートリッジをボルト固定する穴は開いていません。そのため、カートリッジ式にするのは困難だと思われたので期待半分で待っていました。※ビッグピストン式のままアップグレードした製品(他車種でも)も見たことはなく、その可能性も少ないと思われました。
 時折、各サスペンションメーカーの新製品をチェックしていましたが、なかなか製品化のニュースを見ることは無かったところ、思わぬことからRC390用がラインアップされているのを知ることが出来ました。卸問屋さんのWEBサイトでキャンペーンリストを観ていると、偶然その中にRC390用カートリッジKITが入っているのを見つけました。それが、「YSSレーシング製」(画像①)でした。

 その時の画像では一般的なカートリッジ式であることしか分からなかったため、日本代理店のYSS・JAPANのサイトを確認してみました。失礼ながら「YSS社」が東南アジアのサスペンションメーカーなのは知っていたものの、スクーター系や小排気量車用のリヤショックアブソーバーを作っているくらいの認識しかありませんでした。
 サイトを閲覧して改めて分かりましたが、YSS社はタイのメーカーであり、近年のアジアでのモータースポーツの盛り上がりの中、高いレベルの技術力で高品質なレース用ショックアブソーバーも供給しているようでした。フォークカートリッジのラインアップには、ツインチューブ式(主にスーパースポーツ系)と、一般的なシングルチューブ式が設定されていました。RC390用カートリッジKITは、このシングルチューブ式でしたが、各車種共通の記述しかなく個別の解説が無かったため、RC用がどのような仕様になっているのかはわかりませんでした。とは言え製品は結構良さそうなので、購入することにしました。

 配送された現物を確認すると、用がリバウンド(伸び)専用・コンプレッション(縮み)専用と独立していて双方にプリロードアジャスターが付けられてフルアジャスタブルとなっていました。スプリングはバネレート8.0N/mm(約0.8kg/mm)のリニアレートが設定されていて、かなり良さそうです。カートリッジはに当たる部分が、台座のようになった形状とされていました。肝心の不明だった取付け方法は、コンプリートになっているインナーチューブのパイプとアクスルホルダーを分離(ネジ式)して、その間にカートリッジ底部の台座の部分を挟み込むようにセットするようです。この作業には専用のバイス・工業用ヒーターなどが必要となり、当店では困難なので、今回はYSS-JAPANに依頼しました。

 組込みの終わったフロントフォークを車体に組付けて、押して感触(沈み具合や伸び具合)を観つつプレセッティングをしておきましたが、なかなか良い感触で期待がもてました。あとは実走行でセッティングを詰めていきますが、どのような「働き」をしてくれるのか楽しみです。

※このカートリッジKITのように、近年、左右のフロントフォークをリバウンド専用・コンプレッション専用とする構成の製品(オーリンズ製NIXフォークなど)が増えました。この仕様ではピストン部がシンプルになりコストダウンになるばかりでなく、伸び側縮み側減衰力調整が双方に全く影響しないので、完全に分けて調整出来ることを可能にしたのが、最大の長所です。また、キャビテーション(泡立ち)を起こしにくくなるなどの利点もあります。



 
 
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