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カスタマイズについて

 パドックⅢでは、豊富なレース活動で得た経験を元に、その知識と技術を傾注して、お客様のご要望に最適なカスタマイズとなるように取り組んでいます。
 また、走行性能に限らず、安全性能や環境性能・保安基準などを含めた取組みで、安心してお乗りいただけるバイク作りを目指しています。

パドックⅢ カスタマイズ計画 ブログ

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ブレンボRCSラジアルマスター&ステンメッシュホース・隼

2022-08-27
 カスタマイズ事例で紹介している「GSX1300R」に、ブレンボ製ラジアルマスターシリンダー(ブレーキ&クラッチ)とステンレスメッシュホースを装着することになりました。
 
 2代目「」はフロントキャリパーには、「ブレンボ製モノブロックラジアルマウントキャリパー」を標準装備されていますが、マスターシリンダーは「ニッシン製」でなおかつ「横向きマスターシリンダー」となっています。当店で、他のお客様のカスタマイズされた車両を見るたびに、ブレーキ系のスープアップの必要性を感じられたそうです。そこで、「ブレンボ製RCSラジアルマスターシリンダー」に換装することに決められました。

 また、重さ(レバーを握る握力)が気になっていた「クラッチ側」も、いっしょに換装してしまうことにされました。握る力の軽減化と共に、「半クラッチ」のコントロール性向上も見込まれることを説明すると、さらに期待を大きくされたようです。同時に双方とも、タッチやフィーリングに影響するホースも、「ステンレスメッシュホース」に変更することになりました。

 「カウリング車」の場合、ラジアルマスターシリンダーを装着しようとすると、カウリング等と干渉する可能性が高いのですが、「」でもやはりその問題が起こりました。特にこの車両には、ライディングポジションを楽にするための「ハンドルアップスペーサー」を装着されていたため、双方(ブレーキ/クラッチ)共カウリングに干渉してしまう状態でした。カウリング側を加工するわけにはいかないので、相談して取り外させてもらうことにしました。※「隼」の純正ハンドルはハンドルバーの絞り角などの調整・移動は出来ない構造です。
 するとクラッチ側はクリアしましたが、ブレーキ側はまだハンドルマウントブラケットと干渉している状況で、何らかの加工が必要となりました。考えた結果、差込式のハンドルバーを加工して、僅かに外に移動させることで綺麗に取り付けることが出来ました。

 ABS仕様の「」の純正ブレーキホースは、他社同様にゴムホースと金属パイプの組み合わせなのですが、他社ではフレアナットを使ってホースとパイプを連結している物が多いところ、この車両では「カシメ」てしまっている物(クラッチ側も)でした。そのため、全て(ABSユニットに接続するまでのパイプ部を含め)をメッシュホースに換装するしかありませんでした。フレームとエンジンの狭い隙間を通すレイアウトのため、必要な長さやフィッティング角度を割り出すのはかなり困難だったので、この度は「アクティブ製グッドリッヂ・ビルドアライン」の「車種専用KITをベースにすることにしました。※マスターシリンダーの変更のみの場合、必要な「長さ」はほぼ変わらないためです。

 ホースを取り廻したところ、最終的にマスターシリンダーに接続する「バンジョウアダプター」の角度を変えて適切な配管にすることが出来ました。ちなみに「アクティブ製KITでは、ABSユニットとの接続部にスズキ純正と同じ「フレアナット式」にしてありました。フレアナットのネジ部はバンジョウボルト(M10-P1.00)と同じネジ仕様なので、一般的(ブレーキホースとしては)な「バンジョウアダプター式」にしても良いと思いますが、わざわざ短いフレアパイプにカシメてあり、すごく凝っている印象でした。
 また、RCSクラッチマスターシリンダーには機械式スイッチが設定されていないので、「油圧スイッチ」を追加してクラッチスイッチに対応することなりました。※「隼」のように近年のスズキ車では、クラッチスイッチ回路が「ON」のまま走行するとECUがエラーと判断するらしいです。

※「ABS(アンチロックブレーキシステム)」が、とうとう完全義務化となりました。その効能(前輪がロックしないこと)は認めるものの、「レバータッチやフィーリング」は、とても良いとは言えないシステムですが、だからこそ「ブレンボ」などの、よりコントロール性の高い製品に換装する効果があるのかもしれません。 

エンジンシュラウド・SR

2022-07-28
 6月上旬に乗って以来、都合が合わなかったり天候に恵まれず、SRに乗れないまま梅雨明けを迎えました。その後も梅雨に戻ったような天候が続いていて、いまだに乗れずにいますが、いずれにしても猛暑が返ってくると思い、SRに「猛暑対策」を用意しました。

 SRのエンジンチューニングに取り組んだ当初から、BIGフィン加工を施していましたから、真夏でもオイルクーラーを必要としない程度の冷却効果は得ていました。ただ油温100℃以下に抑えられていたものの、気温30℃超の中30分位高回転まで使う走行を続けると「熱ダレ」の兆候は見られました。軽いオーバーヒート程度ですが、多少パワーダウンを起こし、レスポンスも鈍くなる状態になっていました。
 昨年の最も暑い時期には、シリンダー温度は測ってはいませんでしたが、おそらくは90℃前後になっていたと思われます。水冷車ですが、レースでは4stエンジンの適正水温は70℃台でした。80℃を超えると顕著にピークパワーが落ちていましたので、空冷とは言えSRでももう少し冷却性能を上げて冷やしてやりたいと思っていました。
 すでにBIGフィン加工を施してあるため、次にはオイルを冷やして(オイルクーラー)エンジンの内側から温度を下げる方法が一般的ですが、油温が下がり過ぎるのも心配なので、やはりBIGフィンのように、直接シリンダー&シリンダーヘッドを冷やす方法を考えてみました。

 考えたのは、より効率的に走行風をエンジン(冷却フィン)に当てることが出来るようにする方法です。そこで、「エンジンシュラウド」を作ってみることにしました。。
 水冷車の「ラジエーターシュラウド」のように、走行風をエンジンに向けて取り込むようにしました。また、エンジンとの距離(クリアランス)を小さ目に設置して、より流速を上げて冷却効率を上げることを狙っています。※どの程度の効果があるかは不明です。

 シュラウド本体は、アルミ7N01材の2mm厚板を用いました。本来ならば、薄板を折り曲げて作れば良いので2017材(ジュラルミン)で充分なのですが、ブレーカー(金属板折り曲げ加工機械)を持っていないので、角度を付けて溶接して製作するため溶接に適した7N01材にしました。上下のステーは2017材で、上側はサブフレームに下側はエンジンカバー共締めにしています。シュラウドをラバーマウントにして振動対策としました。冷却性能を考えれば、もっと大きく(特に導入部分)した方が効果を見込めると思いますが、エンジンなどを全て隠してしまうと空冷エンジンに見えなくなってしまうため、いくらかは覗く程度にしておきました。

 実は、このシュラウドを考案・製作したのは、「防風シュラウド」を製作した直後(冬)でした。当初は冬季に「防風シュラウド」、夏季に「エンジンシュラウド」を使い分けるように考えていましたので、画像では単独で撮影(エキパイも旧型)していました。その後「防風シュラウド」のシリンダーフィンへの導風効果(想定外のエンジン冷却効果)があることが判り、現在(7月)でも装着したままなので、併用した状態でテストする予定です。もしかしたら、相乗効果で良い結果が得られるかもしれません。

※まずは「防風シュラウド」の高温時(気温30℃超)での確認をしてから、「エンジンシュラウド」を装着することにしています。
 

続・SRエキゾーストパイプ

2022-07-11
 5月に入ってようやくSRでシーズンインして以来、エンジン温度(シリンダー/油温)管理に留意しつつも、エンジンパフォーマンスも気にかかっていました。
 補修のためとは言え、作り直した「エキゾーストパイプ」により、少しは変化があるものか多少期待しつつ慎重に確認をしていました。

 初回に走り始めた時に、燃調セッティングにそれほど「ズレ」は無いのが確認できました。基本的な仕様はほぼ変わらないため、やはり大きな特性変化は無さそうでした。以前のブログに書いたように、5月は 寒い(10°台)時もあれば暖かい(20°台後半)時もありました。その暖かくなった時に、スロットルレスポンスに若干鈍さを感じたため、帰店後、低~中開度に影響するジェットニードルを替えてセッティング変更をしておきました。

 その後、暖かい日に乗ることが出来た頃には、ずいぶんと体がなじんだこともあり、しっかりと乗り込んでみました。その結果、大きくはないものの、確実に全域でパフォーマンスアップしていることが体感出来ました。
 低回転域では、これまで使ったことのない1800rpm速・40km弱)でもギクシャクすることなく走れるようになり、そこからスロットルを開けてもしっかり加速します。特に中回転域トルクが上乗せされていて、コーナーの立ち上がり加速が良くなっていたのが、うれしい効果でした。

 結果として、排気の「流れ」を良くすることが、いかに重要か体感することになりました。もともと、エキゾーストパイプ内の断面積変化の少ない排気効率の良さを狙った「輪切り溶接」工法ですが、ようやくそのメリットを実現出来たのだと思います。Z1-Rのエキゾーストマフラー製作にあたり、それまでの経験から導き出した製作工程が、間違いではなかったと確信できました。

 ただうれしい結果を得られた反面、リヤショックアブソーバーの減衰力不足が問題となってきました。以前から気になっていたものの、コーナー進入から加速が良くなってきて、より高負荷が掛かるようになってきたため、時には危険な動きになるようになってしまいました。そろそろ純正(ZXR400流用)の限界かなと痛感しました。次を考えようと思います。
 

SRエキゾーストパイプ

2022-05-03
①新作エキゾーストパイプ
②湾曲部分(排気口直後)
   ③フランジ部
     ④
⑤エンジン下側湾曲部分
     ⑥
⑦手前=新作/奥=旧作(補修後)
     ⑧SR
 昨年、クラック補修をして使っていたSRエキゾーストパイプ(フロント側)ですが、いずれは作り直さなければならないと考えていました。割れた部分は影響無く補修することが出来たものの、その時に気付いた湾曲部分の潰れはどうすることも出来ないままだったからです。※排気ガスの熱で湾曲外周部が引き伸ばされて、側方は潰れて細くなっていました。

 先頃Z1-Rエキゾーストマフラーを製作した際に、余分に出た部材を見て、出来れば早いうちに作っておきたいと思い少しずつ準備はしていました。
 まずは、余った部材(角度を付けて切断した湾曲部用)のうち、Z1-Rのセンターパイプにあたる42.7mm径の部材を溶接してつなげておきました。その後、時間を作っては、湾曲部分に足らない分の部材を切り出しておき、本格的な製作に入るまでの準備をしていました。本格的に製作に取り掛かっても、少しずつ作業を進められるのが「輪切り溶接」工法の良い点?です。
 製作手順は、まずはあらかたの角度(少し足らないくらい)までの湾曲部分を作ります。次に、排気口直後の湾曲部分に、エンジンに取り付けるフランジ部を製作して、実際にエンジンに固定(この段階でフランジプレートも製作)出来るようにします。あとは、「湾曲角度長さ」を細かく設定しつつ、徐々にテールパイプとの差込部まで伸ばしていくように繋いでいき、完成させます。

 新作とは言え、ほぼ同じ仕様で、パイプ径42.7mmのエキゾーストパイプとなります。湾曲部分以外にも少しは仕様変更をしたいと思い、パイプ長が出来るだけ短くなるように、エンジンやフレームに近づけた取り廻しにしました。テールパイプの取付位置の大きな変更はできないため、結果的に旧作に対して、約20mm短くなっただけでした。※パイプ長変更の影響は、あまり無いかもしれません。
 Z1-Rのエキゾースト製作で余った部材で作り始めたことから分かるように、同じ定義(湾曲部分の部材が、片側°/台形の短辺10mm)で製作しています。旧作に比べて、遥かになだらかなカーブを描くように出来上がりました。※排気口直後の湾曲部分は約110°で、11個の部材で構成されています。(画像②)

 フランジプレートもZ1-Rと同様に、材質をアルミ7N01材(板厚mm)に変更しています。

 この新作エキゾーストパイプでは、旧作に比べて排気ガスの流れが良くなることは間違いないと思いますので、エンジンパフォーマンスにも、いくらかは良い効果があることを期待しています。

ナノタイプLEDウィンカー(テールランプ兼用型)ディスプレイ

2022-04-18
①ディスプレイ兼用一体型ナンバープレートホルダー
②極細配線加工
③車体側サブハーネス&デモ用ハーネス
④実演動画
 当店のSRで、フロントウィンカー(ウィンカー単機能=フロント・リヤ共用)として装着した「ナノタイプ」LEDウィンカーですが、製品には3タイプあります。
 他に、「ポジションランプを兼ねたウィンカー=フロント専用」と「テールストップランプ兼用型ウィンカー=リヤ専用」が販売されています。

 中でも、ルックスへの影響が大きい「テールランプ兼用型」は、カスタマイズとしての扱いは難しい(純正や元のテールランプの処理・配線加工・保安基準への適合)ものの、以前から気になっていました。一般的な大きさの「テールランプ兼用型」は、HD車(車種は不明)で初めて見ましたが、テールランプが無い(見当たらない)ルックスに驚いたものでした。HD車では、ウィンカー内に区分けがあってウィンカー部分とテール/ストップランプ部分が分かれて点灯していましたから比較的に認識しやすいものだったと思います。ただその兼用型が「ナノタイプ」となってどのようになるのか、実際に試しておこうと思いました。

 そこで、単にランプを単体でディスプレイするだけでは、装着したバイクのイメージが湧きにくいと思い、実際に車両に取り付けられるマウントブラケットを製作してディスプレイすることにしました。
 設置に関して保安基準には、テール・ストップランプを複数設置する場合は左右対称(個数制限は無いものの中央の一個を含む奇数はNG)であること、リヤウィンカーは光るレンズ部の左右最内縁の距離が150mmとなっています。「テールランプ兼用型」となって、この150mm離れた位置なら、けっこう自由度がありそうですが、ナンバープレートなどで隠れたりしないことを考えると、ナンバープレートの両サイドに設置するのが最も適しているかと思い、「ナンバープレートホルダー」として一体型のブラケットにしました。
 上記の保安基準により、テールランプが中央に在る車両では、取り外すことになります。テールランプがライセンス灯を兼ねていた場合、ライセンス灯を別途装着しなければなりません。ナンバープレートと共締めする市販のKITがありますが、せっかくなのでライセンス灯(LED)を直接装着できるようにすることにしました。素材は、アルミ7N01材で、mm厚板材を組み合わせて溶接(3辺溶接の高剛性タイプ)して製作しました。リヤリフレクターは、ナンバープレートの取付角度でリフレクターの角度も変わらなければならないので、一体とはしませんでした。

 肝心の製品は、SR(当店の)のフロントには「ハイサイダー製」を採用していましたが、リヤ用に用意したのは、日本の「キジマ」です。どちらも現物を確認して試しておこうと考えたからですが、似たような物だと思っていたものの、重要なところで違いが有りました。どちらも本体(ネジ部含む)が、アルミ合金キャスティング(鋳造)製なのですが、そのネジ径に違いがありました。ハイサイダー製がM8なのに対して「キジマ製」はM6ネジとされていました。配線はこのネジ部の中空孔を通してあるので、ネジ部肉厚が薄くなったとともに、4本の配線はさらに極細(ハイサイダー製でもかなりの細目)となっていました。

 ネジ部強度が低いことはメーカーも承知のことで、ナイロン製ナットとワッシャを付属して、必ずこの部品を使用するように指示されています。今回は配線保護の工夫のため、ナイロンワッシャは使いましたが、ナットは金属(鉄)製ロングナットに変更しました。締め過ぎには充分注意したものの、これは自己責任で行うもので配線保護を優先しました。※ナットの重量増加でネジ部破損の可能性があります。
 その配線は極細ゆえに、直接端子の取付すらできないものです。取付説明書では、製品の配線に通常の太さの配線を連結(付属のハンダ入り熱収縮チューブ使用)・延長した上で、そちらへ何らかの端子を取り付けるように指示されていました。この方法では、取付後のウィンカー脱着は出来なく(M6ナット=内径約4.8mmを通せない)なり、その都度、配線を切断・再加工しなければならなくなってしまいます。そこで独自の工夫として、製品の配線に通常の太さ(0.75VA=被覆の外径が約mm)の配線をまとめて(束ねて)端子を圧着(画像②)することにしました。端子は110型カプラーのオス端子(配線の太さ並)にして、カプラー本体から端子を引き抜けば、ナットを通して脱着(保護チューブは切断)出来るようにしました。LED製品は総じて配線が細いので、配線に負荷をかけずに脱着出来る「カプラー接続」が適しています。配線自体は、SRのフロント側と同様の保護策を施しました。

 車体側は1灯(1電球)式テールランプの場合、左右へ分配するハーネスを作ることになります。ゆくゆくはSRに装着する前提で「車体側サブハーネス」を製作しました。ウィンカーのアース線はテールランプと共用されるため、接続は必要ありませんでした。
 最後に「デモンストレーション用ハーネス」を作って、ディスプレイしたところで実演出来るようにしました。スイッチは装備していないので、+線を直接バッテリー端子に接触させて点灯させます。実演動画を撮影しましたので、ご覧ください。
※発光が強く、動画では赤色が橙色に近くなってウィンカーと判別しにくくなってしまいました。肉眼では良く分かりますので、興味のある方は店頭にてご確認ください。


 
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