カスタマイズ事例
Z1-R(米田様所有)
Z1-R(米田様所有)
前後18インチ仕様Z1カスタマイズ車を製作して、スポーツライディングに楽しさを覚えたオーナーさんが、近年のスーパースポーツ車にも負けないハンドリングの「Z」にしたいと切望されるようになりました。さらにスポーツライディングに特化したマシンにするために、相談の結果、フレーム作りから新たに製作することになりました。
前後17インチラジアルタイヤ(サーキット対応)を想定した車体作りで、近年のレーシングマシン並みのディメンショを持たせた上で、軽量・高剛性に仕上げることを目標に製作しました。あくまでも使い切れるパワー・トルクで積極的にスロットルを開けられることを目指したエンジンは、18インチ仕様Z1から移植することになり、新たな試みのワイドホイール対応策など、17インチ仕様Z作りに際して当店流の取り組みをしています。レーシングスタイルのライディングに適応させるため、空冷Z系の中ではスポーツライディングに適したタンク形状を持つ「Z1-R」の意匠を取り入れて、外装に至るまで作り込んでいます。
カスタマイズ仕様
◆フレーム=①Z1-RⅡベースフレーム(通関証明付き国内未登録品)
※パイプ内部の錆程度がかなり悪く、メインパイプをはじめ大部分を作り直し
※クロモリ鋼パイプ材&高張力鋼板材
②ピボット部ワイド化(チェーンライン確保&高剛性化)
③リンク式モノショック対応(ショック&リンク取付部)
④17インチ対応ディメンション
●ヘッドパイプ位置を後方/下方に各30mm移設(ピボット位置基準)
●エンジン搭載位置を約10mm上方に移設(同上)
※アンチスクワットアングル&重心位置変更
⑤基本設定キャスター角=22.5°(0G)
◆エンジン=Z1チューンドエンジン移植
①ワイセコ製 70mmピストン(1015cc)
※高回転まで回しやすく伸びの良さを狙い小さ目の設定
②ヨシムラ製 ST-2カムシャフト
③JB製ビッグバルブKIT(インナーシムタイプ)
※IN&EXバルブ/強化バルブスプリング/リテーナー
④シリンダーヘッド加工(ポート研磨、ヘッド面研磨、スキッシュエリア加工)
⑤PMC製J系クラッチ流用KIT(軽量化)
⑥STD5速ミッション
⑦ワンオフ製作カウンターシャフト延長KIT
●アウターボード内ベアリング支持方式
●オフセット0mmフロントスプロケット(525サイズ)
⑧油圧クラッチシステム
●ブレンボ製RCSラジアルクラッチマスターシリンダー
●PMC製クラッチレリーズシリンダー
◆吸気系=①JB-ケイヒン FCR35キャブレター(ファンネル仕様)
②DNA製エアフィルター
◆排気系=ナイトロレーシング製チタンフルエキゾーストマフラー+加工
※サスペンションリンクを回避するためのテールパイプ形状
◆リヤサスペンション
①ボトムリンク式モノショックシステム(´08ZX10R流用)
②オーリンズ製ショックアブソーバーTTX46(´08ZX10R用)
③´08ZX10Rスイングアーム加工(20mm短縮化)
◆フロントサスペンション
①オーリンズ製43mm正立フロントフォーク(2011~2014年)
②ウィリー製ステアリングステムセット(上記フロントフォーク用)
③43mm倒立フロントフォークセット(´11ZX10R純正流用)
※フォーク内部部品を加工し、40mm延長
※ネジレ剛性不足対策(2015年)
◆ホイール=BST製カーボンホイール(3.50-17.6.00-17)
◆制動系= ①サンスター製320mmプレミアムレーシングディスク
②ブレンボ製RCSラジアルマスターシリンダー
③ブレンボ製ラジアルマウントキャリパー(倒立フォーク用)
◆外装= ①ワンオフ製作アルミフューエルタンク(意匠Z1-RⅡ)
②ワンオフ製作FRP製シートカウル(テールランプ内包タイプ)
③PMC製Z1-Rタイプビキニカウル(FRP)
※フレームマウント式カウリングブラケット
④カーボン製フロント&リヤフェンダー
◆ポジション系=①ワンオフ製作ステップKIT
※ペダル類はバトルファクトリー製
②ディトナ製セパレートハンドル
◆その他=ワンオフ製作アルミ製パーツ
①バッテリーケース
②オイルキャッチタンク
③書類&小物入れ(カバー開閉式)
④メインスイッチ&ハンドルロックフラケット
◆電装関連
●点火系= ①ASウオタニ製SPⅡフルパワーKIT
②テイラー製プラグコード
③SHORAI製リチウムバッテリー
●計器類= ①永井電子(ウルトラ)製タコメーター(ステッピングモーター式)
②アクティブ製デジタルスピードメーター/インジケーター
③ディトナ製デジタルテンプ&ボルトメーター
◆特記事項
●車両重量=178kg(半乾燥=燃料抜き)
クロモリ鋼を多用したフレームやカーボン製ホイール・アルミ製パーツなどの積み重ねで、半乾燥重量178kgという軽量さに仕上げることが出来ました。目標を180kg台(ZX10R並)と定めて、サスペンションの基本荷重設定もZX10R用の標準設定を活かせたため、セッティング作業もスムーズに進められました。
軽量な車体とレーシングマシン同等のディメンションで、完全にスーパースポーツハンドリングの「Z」に生まれ変わり、「Z」らしさの残るエンジンフィーリングとこのハンドリングの組み合わせは、新たな「Z」の世界感を味わえるようになったと思います。
走行会をはじめとして、スポーツライディングをさらに楽しまれているオーナーさんですが、意外にもツーリング(ショートですが)にも出かけてられるようになりました。(ツーリングでは多少の無理をされているとは思いますが)
※この車両はロードライダー誌(2013年6月号)でも紹介されました。