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パドックⅢ カスタマイズ計画 ブログ

チタン製サイレンサー製作・グース350

2024-05-02
①グース350
②各パート
③各パート(シェル溶接側)
④サイレンサーエンドピース
⑤テールパイプ差込部
⑥パンチングパイプ&消音グラスウール
⑦サイレンサー組立
⑧エンドバッフル装備
 実際にはZ1-Rなどのカスタマイズ(アルミ加工系)の後に製作しましたが、少し繰り上げてグース350用に製作した「チタン製サイレンサー」を紹介します。

 このグースには車両を購入いただいた際に、中古品の「スーパートラップ製サイレンサー」と、それに組み合わされるエキゾーストパイプ(メーカー不明)のフルエキゾーストマフラーに換装されていました。その後の転倒もあってサイレンサーには凹みや傷がついてしまい、サイレンサーの交換を検討されました。
 以前、来店された際に見かけた「オリジナルサイレンサー(当店製作チタン製)」を気に入られたようで、この冬期間にサイレンサーの製作依頼を受けました。

 依頼をお受けたしたものの、問題がありました。
 これまで入手不可能なサイズのチタンパイプやテーパー管は、「手巻き」(バイスに固定した鉄パイプに押し当てて巻く方法です)で製作していたため、昨年の事故で右肩を負傷して回復しきれていない状態では、とても出来そうもありませんでした。※当店で使用しているチタン材は、パイプ材・板材とも1mm厚で、板材を巻く作業には渾身の力を使っていました。

 以前からロールマシン(金属板を巻く機械)は欲しいと思っていたものの高価なため諦めていましたが、手動の道具程度の物があれば導入したいと思い、探すことにしました。通販サイトで探してみると、「ロールローラー」と言う名称で、ハンドルでローラーを回すタイプの製品が見つかりました。多くがステンレス1mm厚板が巻ける能力と謳った製品で、能力的(チタン材の方が格段に硬いため)に不安がありました。手動とはいえ適用サイズが60cmクラスだと10万円を超える価格がして、お試しで購入するには高価過ぎたため、30cmクラスの小さい製品(テーパー管も可能らしい)を購入してみることにしました。※全く使えなければ痛い出費となりますが、20cm位のパイプ(テーパー管を含めて)が作れれば、少なくとも「砲弾型」のサイレンサーは製作可能になります。

 届いた製品を見ると、上下本のローラーに板材を挟んで押し出し、その先の本のローラーに押しつけて曲げる構造となっているようでした。その曲げる役割のローラーの位置角度を調節して、巻き寸法などを変えるようです。
 巻き作業に掛かってみると、まっすぐな円筒でも巻き始めるには、ローラーにかける前に端部を少し曲げておく必要があるなど、それなりに工夫が必要でした。不慣れながらも、真円に近く狙いの寸法に巻くことが出来ました。心配していた巻きの能力でしたが、巻き幅が20cm位ならば結構な力を使ったものの巻くことができました。※30cm幅(ローラーに挟める限界)だと、かなり難しそうな感じです。
 またテーパー管を巻くには、扇型に切り出した板材を機械まかせでハンドルを回すだけでは巻くことは出来ず、少しずつ挟む範囲を変えて巻いていかなければなりませんでした。真円に巻くにはかなりの難易度で、今回はかなり時間をかけましたが、完全とは言えませんでした。※合わせ面が一致していないと、溶接は難しくなります。

 それでも人力(手巻き)では不可能だったサイズのテーパー管(管長200mm)を作ることが出来ました。溶接には苦労(部材の切り出しを含めて)しましたが、何とか仕上げることが出来ました。

仕様
●差込部:外径53mm~38.1mm
●シェル:全長350mm(テーパー部200mm/円筒部150mm)
     円筒部外径120mm 
●パンチングパイプ:内径38.1mm
●テールエンド:外径60.5mm(3ピース2曲り)
●参考データ(当店測定値)
 近接排気騒音:94.7db/4000rpm(エンドバッフル装着時)
  
 ロールローラーの扱いに慣れる必要があるのはもちろんですが、道具自体の問題点も見つかったので、もっと良いものが作れるようにしたいと思います。

※チタン材の溶接には、アルミ材の溶接とは違った難しさ(特に薄物には)があります。そのため、同時進行での溶接・加工作業をしない(感覚が狂うので)ようにしています。
 
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