パドックⅢ カスタマイズ計画 ブログ
足周り換装(フロント編)・Z1-R
2024-05-22
Z1-R足周り換装は、リヤに続いて「フロント周り」です。
主要構成部品は、オーリンズ製正立43mmフロントフォーク(XJR1200用)・ウィリー製Z1用ステムセット(35/38mm可変オフセット式)・ゲイルスピード製TYPE-Nアルミ鍛造ホイール(3.00-18/タイヤ:Q5A110/80ZR18)・APロッキード製対向2ピストン鋳造キャリパーとなります。
フロント周りの主軸(構成上の)となるのは、「オーリンズ製フロントフォーク」です。オーリンズ社としては、Z1など(ステアリングステムセットの換装が必要な車種)には設定が無く、「XJR1200用」の800mmバージョンを各々のショップで流用していました。またたく間に人気が上がり、オーリンズ正立フォークのための「Z1用ステムセット」は、カスタムパーツメーカー各社から販売されるようになりました。
その中で選んだのが「ウィリー社製」でした。決め手となったのは、「可変オフセット式」でした。当時から17インチホイールへの再変更を想定していたわけではなかったものの、進化した「18インチラジアルタイヤ」の特性が分からない状態でしたので、セッティングの幅(選択肢)を広げるために、こちらをお勧めしました。※もちろん「ウィリー」さんの製品のクオリティの高さは一級品です。
実際にZ1(18インチ仕様)に装着すると、オフセット38mmで良好なバランスでした。※その後に「Z1-R」では17インチラジアルタイヤに合わせてキャスターを立たせたので、オフセット35mmに入れ替えてディメンションを整えることが出来ました。
そこで今回の「Z1-R」では、38mmに設定し直して装着します。装着に当たって「ステムベアリング」には、良好な動きをもたらす「テーパーローラーベアリング」を使用したいところですので、作業前にあらかじめPMCさんのサイトで確認したものの、Z1-R用の製品が見つかりませんでした。Z1系との違いが判らないままでしたが、とりあえずZ1用を用意して作業にかかり、現物を確認することにしました。
ステムシャフト径はZ1と同径でしたが、アッパー側のアウターレース径(フレーム側)に違いがありました。あらためてベアリングメーカーのラインナップを調べてみましたが、既成サイズとしては存在していないようでした。
幸いにして、この車両には元々テーパーローラーベアリングに交換されていて、アッパーベアリングはかなりコンディションは良かったので再使用させていただくことにしました。※重力や減速時の軸方向の荷重はほとんどロアベアリングが受け持つため、アッパー側はいくらかの軸と直交方向に働く力を受けるだけなので、比較的に傷みにくくなります。
ステム(アンダーブラケット)がフレームに取付可能になれば、トップブリッジ・フロントフォーク・ホイール(アクスル径はZ1共通)は合わせて取付可能になります。あとは、この車両にすでに装着されていた「1:APロッキード製キャリパー」・「2:純正カウリング/メーターなどの周辺機器」・「3:純正フロントフェンダー」の取付への対応になります。
1:APロッキード製キャリパー(CP2696/3696)は一般的なキャリパーと違い、キャリパーブラケット(またはフロントフォーク)への結合部が貫通孔になっています。この方式ではキャリパーの内側に位置するブラケットに対してボルトで締付けをすることになります。純正フォークに比べてスパン(左右フォークの間隔)の広がっている「オーリンズ正立フォーク」で対応させるとなると、とても分厚い形状のブラケット(汎用性を高めるためにキャリパー取付部別体式)になってしまいます。
そのため、重量面・製作コストを考えて、キャリパーの貫通孔にネジ山(ヘリサート加工・画像③)を作り外側にブラケットを位置させる方式(フォーク・キャリパー共に外側を繋ぐことになり、比較的に薄い形状)に変えて、キャリパーブラケット(画像④⑤)を製作しました。
2:Z1-Rのカウリング・メーター・ヘッドライトなどは、左右フォークにかぶせられたブラケットが主体となってはいますが、各々でも支え合う構成になっています。
そこでブラケット製作にあたり、始めにメーターブラケット一式をトップブリッジに取付けるステーを製作して位置決めの基準とします。
フロントフォークを基点にするブラケットの取付方法をどのようするか?が難題でしたが、考え付いたのが、ステアリングダンパー用フォーククランプを流用する方式です。ダンパーロッド組付け用のネジ山を削り落とし、貫通孔に加工した上で、「上下2個のクランプ」で、丸棒(両端にM8-P1.25ネジ穴)をベースにしたブラケットを支えるようにしました。メーターブラケットの基準点から各部(ヘッドライト・カウリングアッパーマウント・ウィンカー)寸法を割り出して、板材(アルミ7N01材)を溶接組立で製作(画像⑤⑥⑦)しました。※ヘッドライト光軸調整のための円弧状穴も設置しています。
3:フロントフェンダーに関しては、純正が取付不可能ならば他の物でも良いとは言われていましたが、プレートとカラーを介して純正フェンダーを取付けることが出来ました。
足周り換装が完了したのち暖かくなってから、実走してセッティング変更(一般走行向け)を施し煮詰めていきましたが、あらためて「18インチラジアルタイヤ仕様」の特性の長所を再認識しました。しっかりしたグリップ感とスムーズに旋回を始めるハンドリングになっているものの、けっして鋭すぎないおおらかさを併せ持ち、安定感も高く気持ちよく走ることが出来ます。オーナーさんも、この乗り味の変化に驚くと同時に、たいへん喜んでいただけました。
※フレームには特別に補強は入っていないものの、Z1に比べて元(メーカー)から剛性が高められているため、一般走行レベルであれば、剛性不足から起こる不安定な挙動は感じませんでした。
※サスペンションセッティングの際にフロントフォークの突き出し量の変更もしましたが、この度製作したカウリングブラケットではフォーククランプを後側から緩めるだけで作業可能になっていて、あまり手間が掛からずにすみました。