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続・SRサブフレーム
2021-03-20
サブフレームに関連して、フューエルコックを「KEDO製」に交換しました。
左側サブフレームはフューエルコックレバーをぎりぎりに避けた設定にしていました。フューエルコックの大きさや形状によっては、その張り出しを抑えられるため、製作段階ではカラー(前10mm厚=M8ネジ用/後15mm厚=M10ネジ用)を挟んだ取付方法にしておきました。また、サブフレーム本体を極端に折れ曲がった形状にしたくないということもあり、この方法としました。結合剛性を考えるとカラーを挟まない直付けが最良で、どうしても必要な場合でも出来る限り薄くしたいところです。サブフレームの製作が終了したのちに、良いフューエルコックがないかと探してみました。
他車種流用も含めて探したところ、「KEDO製」に行きつきました。この製品は、純正の負圧式オートコックを、シンプルな開閉式(ON/OFF/RES)にすることで流量を上げて、FCRキャブレターなどに換装した際に用意されている商品のようです。シンプルな故にコンパクトに出来ています。また、ヤマハ車のコックは2点止め式で取付方向が変わらないのに対して、中央の差込口の大ナット1点止めに変換されており、取付方向の調整が可能になっているのも望ましい製品でした。
コックベースをタンクに取付けコック本体をセットすると、レバーの位置は純正コックとほぼ変わらない高さになるものの、コンパクトになった分少しはサブフレームとのクリアランスが出来ました。その後、取付方向を回して変えていくと、クリアランスが最大限に広がりつつ、吐出口も周りに干渉しないところが見つかりました。
その結果、「前=カラー無/後=5mm」にすることが出来ました。製作時点で前後5mm差だったので、最善の結果となりました。
SRサブフレーム
2021-03-06
モノショック仕様SRを製作しようとフレーム加工をした際に、ハイグリップラジアルタイヤを想定して補強は施していました。ヘッドパイプ周辺やメインパイプ/アンダーパイプなど各部連結部・ピボット周辺といった箇所への補強です。SRのフレームは基本的にはセミダブルクレードル(アンダーパイプ下方で2本に分かれた型)で、メインパイプがオイルタンク(ドライサンプ方式=エンジンの外にオイルを貯める)を兼ねた極太丸パイプとした構成になっています。シンプルな構成のわりに、極太メインパイプで思ったよりしっかりとしていますが、シンプルな構成であるがために、補強出来る箇所も限られています。現状から更に剛性アップをねらうには難しいものがありました。
サーキット専用であればメイン部材から作り直すことも考えられますが、あくまで公道を走らせられるSRにしておきたいので、ここではサブフレームを装着することにしました。以前にも考えたことはありましたが、SRの雰囲気を壊しそうで躊躇していました。それでも、エンジンが良くなるにつれて剛性不足(特にネジレ方向)が顕著になってきたので、なんとかしたいと決断しました。
市販のサブフレームではエンジンマウント間(前/後)を繋ぐ型が多いのですが、SRのようにエンジンがリジットマウントの場合には、ほぼ無意味(エンジンその物のほうが剛性が高い)となります。理想はサイドパイプ式ダブルクレードルフレームのメインパイプのように、ヘッドパイプとピボット部近辺を直接結ぶ線を描くことだと思いますが、現状のフューエルタンクやエンジンを避けるレイアウトで、出来るだけこれに近いところに装着するようにしました。
左側はヘッドパイプ下方のアンダーパイプに炭素鋼(S45C)製ボス(M8ネジ2個)・ピボット上方にM10ボス(1個)を溶接してサブフレームを取り付けます。右側はステアリングダンパーブラケットをすでに取り付ける加工を施していたので、このダンパーブラケットに接続することにしました。
サブフレーム本体には、以前に入手(特注品のおすそ分け)していた、アルミ7N01材製「桜パイプ」(通称=4隅がリブ状になった角パイプ)を用い、同じく7N01製の板材(10mm厚)とボスを製作して溶接しています。連結するダンパーブラケットはやはり7N01材の丸棒を組み合わせて溶接して製作していました。連結してサブフレームの一部として使うのにも、充分な剛性があると考えています。
形状はあまり横へ張り出さないように、シリンダーヘッドのフィンの上部を通し縦・横方向に軽く曲げたものにしました。右はカムポジションインジケーターを覗けるように、左側はフューエルコックレバーを避けるぎりぎりに設定にしています。
さて、これで実際に剛性アップが図れたのか?効果のほどは?
※2021冬(オフシーズン)に予定していた、SRカスタマイズ3点(ワンオフパーツ作品集にパフォーマンスダンパーブラケットを掲載)の製作が出来ました。バイクシーズンを待ちそれぞれ順にテストをしていきます。セッティング作業を含めて忙しくなりそうですが、シーズン到来を待ち遠しく感じています。(ぼちぼち進めていく予定です)
※心配していたルックスですが、サブフレームの描くカーブのおかげで、アルミタンクやエンジンとのマッチングが意外と悪くないな(個人的に)と感じました。いかがでしょうか?
SRエキゾーストパイプ仕様変更
2021-02-11
エンジン本体の仕上がりがかなり良くなってきたところで、排気系を見直してさらに煮詰めてみようと思います。
現状では、実用出来るエンジン回転数は約2000rpm~7500rpmの範囲で、4000rpm前後からしっかりしたトルクがのってきて、7200rpm前後でピークパワーを発揮し7500rpmまで回転が伸びるといったところです。最高回転数はもう少し伸ばせそうですが、これ以上引っ張ってもパワーは落ち始めているので加速は鈍るため、7500rpmをシフトアップのタイミングにしています。現状の中回転域のトルクを含め、特に6000rpm位からの高回転域にパワーの上乗せが出来ないかと考えて、排気系を見直すことにしました。サイレンサーをもっと抜けの良いものにすればパワーは乗りますが、明らかに音が大きくなってしまうので、エキゾーストパイプの仕様変更でパワーアップを狙うことにします。
RC390でも試しましたが、シングルエンジンでは脈動効果を上手く(エンジン本体の特性に合わせて)使うと、結果として高い充填効率(燃焼室内の)を得ることが出来ます。排気ガスの膨張・収縮による圧力変動を起こさせている、細目のパイプから太いパイプへと導くタイミングとその後の細く絞るタイミングまでの長さを変えると特性を変化させることが出来ます。※それぞれの内径を変えることなど、その他の要因でも特性は変化します。
この度は、主にテールパイプ側の太い部分(60.8mm径)の長さを短くしてみます。旧バージョンに比べて約2/3の長さに設定して製作しました。サイレンサーのレイアウトやパイプの取り廻しのスペースを考えて、細い部分(42.8mm径)は約120mm延長しています。この仕様変更に加えて最低地上高が低めなのが気になっていたため、フロントエキゾーストパイプのエンジンから下向きに配管されている部分を20mm短縮しておきました。結果、細いパイプ部は差し引き100mmの延長となりました。テールパイプはバンク角対策も考慮して車体に沿う形状にして、後端は追加工の余地(短縮/延長)を持たせるため、直線部を110mmに設定しています。
7000~7500rpmの回転数は、SRにとっては高回転域になりますが、他車種(RC390など)では中回転くらいに相当します。RC390では良い効果(最高速6~7km/h向上=岡山国際サーキット)が得られましたが、SRではどういう結果が出るでしょうか?シーズン到来次第、セッティング&テストを行う予定です。
SR 車検対応
2021-02-02
オートライト回路を組み込んで、始動時の省電力化をしつつ保安基準を満たすようになったSRですが、車検の期限が近付いたので点検・整備を実施しました。車検対応(定員2名)とする際に追加で仕様変更も施すことになりました。
この車両では、フレーム加工に着手した際(補強・モノショック化)に、定員変更して一人乗り仕様とすることも考えたものの、それ以降の選択肢を考慮して二人乗り対応としていました。切除した純正マフラー/タンデムステップブラケット部の代わりに、タンデムステップ取付部を新設・タンデムステップKITを製作してロータイプダブルシート(デイトナ製)を準備していたので、車検時や「二人乗り」する場合(まれに)にはこの仕様に換えています。
ただし、こちらのダブルシートではシングルシートで使用していたシートベースは取り外さなければ装着出来ません。MOS-FETレギュレーターに換えた際に、放熱性やスペース的に余裕があるシートベース裏に設置していたため、移設しなければならなくなりました。そこでオイルキャッチタンクに取付部を増設してキャッチタンクに装着出来るように追加加工をしました。2次空気供給装置のホース・フィルターはかぶりますが、放熱性も確保出来たと思います。(画像②)
またこの度、リヤウィンカーをアクティブ製LEDウィンカーKITに変更しました。ライセンスプレート一体式でリヤ周りをすっきりさせることが出来るので、お客様には良く使っていただいています。SRはフレーム自体にリヤウィンカー取付部が有り、けっこうな出っ張りが残ってしまうので、その後処理に苦慮していましたが、サイドリフレクター(アンバー色)を装着することにしました。近年のバイクを見ていて思いついたのですが、現在はサイドリフレクターの装備義務はありませんが(70年代以前は義務付け)、装備しても構わないようなので、SRのスペースに適したサイズの製品(デイトナ製)を探して取り付けました。フレームに厚みがあり、特殊なボルト/ナットを使うなど少し工夫をしています。取り付けてみると、さほど違和感なくスペースの有効活用が出来たのではないかと思います。※ちょっとしたことですが、なかなかこの発想が出ませんでした。
※参考データ(車検関連)
◆排出ガス測定値 ( )内規制基準値=第1次規制(平成13年) 〔 〕内´04SR400純正仕様
●CO=0.51%(4.5%) 〔0.22%〕
●HC=3ppm(1000ppm) 〔20ppm〕
今回の車検での測定結果です。画像①②のようにエンジン関連は、FCRキャブレターをはじめ全ていつもの当店SRのまま(セッティングを含め)です。規制は余裕でクリアしているうえ、同時期に検査した2004年式フルノーマルのSRと比較しても遜色がなく、HCはノーマルより少ないくらいでした。SRは触媒を装備していませんから、燃焼効率の高さが結果として出たと思います。検査に合格(1/27)したところで、次はマフラーの仕様変更にかかる予定です。
オートライト回路Ⅱ
2021-01-10
オートライト回路について更に考えてみました。やはり、エンジン稼働時のみ、ヘッドライトを点灯させることが出来ないか?と。
考え方としては、引き続きジェネレーターの発電を利用する方向で考えて、試行錯誤しました。
まず、考えたのは、カワサキ車を参考にした回路(回路Ⅰ)の変化形です。「回路Ⅰ」では、一相分(一般のジェネレーターは三相)を半波整流した電気(パルス状の飛び飛びの電気)で瞬間的に作動したリレーを、ライトに流れ始めた電流で保持していたところを、ジェネレーターからの電流だけで作動し続けられるようになればと考えました。そこで、三相とも分岐させて三相全波整流にすれば、かなり一定の電流を取り出せるのではないかと考えて実験(画像④)してみました。
そしてこの段階で、大きな考え違いをしていることが判明しました。この回路を組み込んでもリレーは作動しなかったため、リレー入力電圧を測定する(エンジン稼働中)と電圧が検出されず、ジェネレーターから分岐させたカプラーでの端子間電圧(交流)も出ていませんでした。(「回路Ⅰ」の製作時にリレーの作動が確認出来ていたため電圧を測定していませんでした。)では「回路Ⅰ」でリレーが作動するのは何故か?ということになりました。考えられたのは、確かに瞬間的に電流が流れるものの、それは発電の始まった電気がレギュレーター内を完全に流れるまでに、若干のタイムラグがあるために、その間だけレギュレーター以前の回路内に電圧が発生し、分岐させた配線にも電流が流れるのだろうという事です。瞬間的なので一相半波整流で良かったのでしょう。試しにエンジン稼働中に「回路Ⅰ」を接続しても、リレーは作動せずライトは点灯しませんでした。※この分野に詳しい方なら、すぐに判ったのでしょうが。
そうなると、充電(発電)系を利用するには、レギュレーターからバッテリー(または間に接続されるメインハーネス)に出力された電気を使うしかないと思われました。バッテリーを充電しつつ各電装系に電力供給している部分なので、流れる電流が大きい上、充電不良など不具合の起きるリスクも有りますが、この方向性で引き続きやることにしました。
レギュレーター~バッテリー間に逆流防止のダイオードを設けて、レギュレーターから出力される電気のみをリレー作動コイルに接続する回路を製作してみました。スペース的に無理が掛かりそうだったので、割り込みハーネスを作りました。各配線は電流量に合わせた容量のものを使用したものの、用意していたダイオード(MAX=1A&6A)では容量不足だったので6Aダイオードを2つ並列接続して実験用としました。
結果は狙い通りに、エンジン稼働時のみライトを点灯させることが出来ました。(キックでの始動失敗の場合に消灯)バッテリーへの充電もしているようですが、充電電圧は0.7~0.8V程度低下していました。ダイオードの抵抗により、電圧降下したようです。とは言え、これで回路としては良さそうなので、ダイオードの更に大容量(15A位)のものに換えて完成させることにしました。
ダイオードを探していると、ちょうど15A(45V)容量の「ショットキーバリアダイオード」というものが有りました。電圧降下が小さいという特徴を持つようなので、最適だと思い採用して、割り込みハーネスを組み直して「オートライト回路Ⅱ」の完成形となりました。充電電圧の電圧降下は約0.2Vに抑えられて、より望ましい結果が得られました。
※ショットキーバリアダイオードは一般的なダイオードに比べて、電圧降下も小さく大電流の回路に適しているようですが、発熱が大きいため放熱環境を整えることが重要なようです。この度は、ケースに収めず、ほぼ露出させているので大丈夫だと思われますが、慎重に観察をする予定です。